国内女子ツアーの今季開幕戦となったアース・モンダミンカップ。大会2日目にまさかの波乱が起こった。大会前から最も注目を浴びていた渋野日向子がなんと予選落ちしたのだ。144人出場した今大会は上位70位タイまでの選手が決勝ラウンドに進むことができる。初日をイーブンで終えた渋野は、この日74でラウンド。通算2オーバーの71位タイと、わずか1打に泣いたことになる。今にして思えば、初日のボールマーカーを元に戻さなかったことで受けた2打罰が悔やまれるが、本人はあえてそれを理由にはせず、2日目のほうがもったいないプレーが多かったと反省した。一体、何が不調の原因だったのだろうか。

 今回、渋野はいろいろな課題を持って試合に臨んでいた。オフの間に改造したスイングを実践できるかどうか。52度のウェッジを使ってのアプローチはピンに寄るか。ルーティーンやパター自体を替えたパッティングはどうかなどだ。初日はまずまずだったが、2日目に関しては、すべてが思うようにいかなかったという。
 「このオフにやってきたことが全て意味のないことだったと思うぐらいの内容でした」と、言い切る。ドライバーショットはフェアウエーをとらえず、グリーンを狙ったショットもピンには絡まない。52度で行ったアプローチが原因のボギーもいくつかあった。パッティングでも1・5メートルの距離を2メートルもオーバーする場面があった。いくら風が強い中でのラウンドだったとしても、「全体的にダメダメなラウンドだった」のだ。

「練習でいくらできても試合でできなければ意味がないと痛感しました。本当に死ぬほど練習しないとダメだと思いました」

 今回は無観客で行われているため、いつものようなトーナメントという雰囲気は感じにくい。それでも「頭の中にこれは試合だとインプットしたことで、緊張感に襲われ、体が思うように動かなかった」と言う。そのことを分かっただけでも収穫だといえるが、人によっては、昨年、AIG全英女子オープンを制し、国内女子ツアーでも賞金ランキング2位に入った渋野が、スイング改造やアプローチなどのスタイルを変える必要があるのかと思うだろう。しかし、同じレベルをキープするだけでは、明らかに前年よりもゴルファーとしてのランクを大きく下げてしまうのが現実だ。ましてや渋野のように海外メジャーで勝つことを目標としている選手にとっては、その傾向は著しい。世界のトップクラスは常に進化しているからだ。
 「自分にはスイング中に体が浮くクセがあり、それが原因でボールが左右にブレてしまうんです。青木翔コーチからはもっとお腹を捻りながら回すと、最後まで振り切れるし、ボールも真っ直ぐ飛んでいくと言われて取り組んできたんですが、今回は力んでしまい上手くできませんでした」と分析する。予選落ちしたとはいえ、ラウンド後は練習場に行き、しっかりとスイングチェックを自身で行ったのは、今以上に高いレベルでゴルフができると信じているからだ。
  今回は残念な結果に終わった渋野。昨年の伊藤園レディス以来の予選落ちとなったが、その翌週の大王製紙エリエールレディスオープンでは優勝している。悔しさや失敗をバネにして成長するタイプだけに、今回の予選落ちも必ずや自分の肥やしとなるはずだ。

取材・文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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