6月26日/西武7―4ソフトバンク/メットライフドーム

 試合の流れを一気に変えた。

 西武8回表のマウンドに上がったリード・ギャレットの投球は、まさに「ゲームチェンジャー」と呼ぶにふさわしい出来だった。

 西武は4番・山川穂高の2本のホームランもあって、6回終了まで3対1でソフトバンクをリードしていた。先発のニールも盤石と言っていいピッチングをしていたが、7回先頭の上林誠知にヒットを許すと、山川の後逸もあってピンチを作って降板。後続のリリーフが立て続けに打たれ、ソフトバンクに試合を一気にひっくり返されたのだった。

 全西武ファンが悲嘆にくれる中、試合のモメンタムを加入1年目の助っ人右腕が一変させた。1点リードされた8回表に投入されたギャレットは、わずか4球で先頭の長谷川勇也を空振り三振に仕留めると、続く上林をまたも4球目のスプリットで三振。そして3人目の松田宣浩を2球で追い込むと、3球目にはアウトローいっぱいに157キロの速球を決め、何と11球で3者連続三振を奪う快投を見せるのだった。

 この流れに打線が“便乗”。四球と連打でチャンスを作ると、2死から木村文紀が逆転グランドスラムを叩き込んで試合を一気にひっくり返し、功労者のギャレットに来日初勝利が転んできたのだ。
  普通なら動揺してマウンドに上がりそうな場面でもぶれなかったのは、もしかしたら彼のキャリアが関係しているのかもしれない。今でこそ体重97キロと屈強な肉体を持つギャレットだが、バージニア州軍事学校に入学する以前は70キロ前後しかなく、「棒のようだった」と自ら振り返る。
 
 しかし、在学中は野球以外にも軍隊の訓練も行ったことで肉体が強化、それがピッチングにも反映されていき、2014年ドラフト16巡目でテキサス・レンジャーズに指名されるに至った。その後、5年間マイナーで研鑽を積むことになり、なかなかメジャーからお呼びがかからない中、ギャレットは自分にこう言い聞かせたという。

「打者をアウトにしてしまえばいい。そうしたら、誰かが認めてくれるはずだ」

 忍耐、努力。普通なら挫折しそうな状況でも、ギャレットは諦めることはしなかった。
そのメンタルの強さは、マイナーのコーチいわく、軍事学校での訓練が背景にあるという。だからこそ、その恩師は自らの教え子をこう評している。

「リードはまさに、娘が結婚してほしいと思うような男なんだ」

 チームの流れが悪くても、黙々と自らの職務を全うして打者をアウトに仕留める。かつて“棒”だったと自虐する男は、気付けば160キロ近い速球とスプリッターで蹂躙する“大木”のように頼りになるピッチャーとなった。

 長年リリーフ陣に苦しむ西武を救う存在として、ギャレットを「認める」日はそう遠くない未来になるかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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埼玉西武 (@lions_official)・ギャレット投手(@reedgarrett12)逆転勝利を呼び込んだ『3者連続三振』#ギャレット #seibulions #パーソルパ・リーグTV pic.twitter.com/6gDlXc4NFC

— パ・リーグ.com / パーソル パ・リーグTV公式 (@PacificleagueTV) June 26, 2020