身長151センチの田中瑞希が大きく見えた。アース・モンダミンカップ3日目、単独首位でスタートすると、この日もスコアを2つ伸ばし、通算11アンダーでホールアウト。前日同様に、2位以下との3打差をキープした。

「昨日までよりもバーディチャンスにつく確率が低かったので、今日は耐えたゴルフという印象です」と、ラウンドを振り返るが、勝負の流れをしっかりと読む冷静さが光った。前半の9ホールを1アンダーで終え、後半の10番パー4を迎えたときだ。ティショットを右に曲げてボールが深いラフにつかまる。やむを得ず2打目はフェアウエーに出すだけとなったが、残り90ヤードからピンそばにつけてパーセーブに成功する。
  続く11番でこの日初めてのボギーを叩いたが、「10番をパーセーブできたんだから、流れはまだ自分にある。バーディが1個くれば、もう1個くるはず」と分析。ラウンドのリズムを崩すことなく、自分のスイングを信じてプレーした結果、14番パー5でバーディを奪う。さらに、分析どおりに16番でも7メートルのバーディパットを沈めて見せた。キャリーで250ヤードを飛ばすドライバーショットを武器に、堂々とプレーする姿はまさに“小さな巨人”だ。

 熊本県出身、現在21歳の黄金世代だが、他のメンバーと比べると、スポットライトが当たることが少なかった。プロテストも昨年3度目の挑戦で合格した遅咲きだ。しかし、九州小学生ゴルフ大会では2アンダーで優勝し、中2で出場した九州ジュニアでは2位以下に7打差をつけて優勝した実績を持つ。勝みなみや新垣比菜といった選手とも互角の勝負を繰り広げており、ポテンシャルは決して低くなかった。
  今季は最終予選会17位の資格で出場するが、前半戦の出場権しか保持していないため、早めに賞金を稼いでリランキングに備える必要があった。そこで、オフには自分の弱点が何かを考えたと言う。「パー5でのバーディ率が低かったので、100ヤード以下の距離を徹底的に練習しました」。それが功を奏し、初日、2日目はパー5で7個のバーディを奪っている。3日目も2つのバーディを奪っただけに、田中の作戦は大成功と言える。しかも、本人が大きかったという10番のパーセーブも90ヤードをしっかりとピンに寄せたことが要因だ。100ヤード以下の距離を磨いたことは、パー5だけに有効とは限らなかったわけだ。

 最終日は、自身初の最終組でのラウンドとなるが、緊張よりもワクワク感のほうが強いと言う。古江彩佳、西郷真央という自分よりも年下との同組も「逆に新鮮です」と違和感はない。ただ、3打差リードは大きなアドバンテージになるが、優勝争いのプレッシャーは容赦なく田中を襲うだろう。
  昨年の賞金女王・鈴木愛も4打差ながら、虎視眈々と逆転優勝を狙っている。ツアー初優勝への道はそう簡単に開かれないかもしれないが、「いつもどおりにショットして、いつもどおりにアプローチするだけです」と平常心を貫くつもりの田中。勝てば、黄金世代としては10人目のツアー優勝者になる。

取材・文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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