1946年の創設から74年。その長い歴史の中でNBAは何人ものスーパースターを輩出し、ファンを楽しませてきた。では、各チームの「歴代ベスト5」を選出したら、一体どんな選手が並ぶのか。『THE DIGEST』では、NBAに精通する識者に依頼し、全30チームのベストメンバーを選んでもらった。今回はリーグ優勝3回を誇り、近年は再び強豪の地位に返り咲きを果たしている「フィラデルフィア・76ers」編をお届けしよう。

【ポイントガード】
ハル・グリアー 
1936年6月26日生。188cm・79kg。
在籍期間:15シーズン(1958〜73年)
成績:1122試合、平均19.2点、5.0リバウンド、4.0アシスト

 1958〜73年にかけてシクサーズ一筋(注:1963年まではシラキュース・ナショナルズというチーム名)で活躍した往年の名ガード。ナチュラルポジションはシューティングガードだが、スピードと得点力を兼ね備え、オールスターには合計10度選出。特にウィルト・チェンバレンと抜群のケミストリーを奏で、1967年のプレーオフではチームトップの平均27.7点をあげて優勝に大きく貢献した。翌68年には平均24.1点、5.4リバウンド、4.5アシストの好成績を残し、このシーズンはオールスターのMVPにも選ばれている。

 これだけの実績を誇りながらもなぜか知名度は高いとは言えないが、通算得点、出場試合数、出場時間は依然としてチーム史上1位、アシスト数は同2位を誇る。紛れもなく76ersの歴史に残るプレーヤーであり、チームの練習施設の前には銅像が建てられている。
 【シューティングガード】
アレン・アイバーソン
1975年6月7日生。183cm・75kg。
在籍期間:12シーズン(1996〜2006、09,10年)
成績:722試合、平均27.6点、3.9リバウンド、6.1アシスト

 2000年代以降のNBAファンには説明の必要もないはずだ。小柄な身体で平均30点以上を4シーズンにわたってマークし、得点王に輝くこと4回、オールスター選出11回。2001年はシーズンMVPに輝き、層が厚いとは言えなかったチームをファイナルに押し上げた。

 2008年、ESPNが選定したNBA史上最も偉大なSGのランキングでは、マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、ジェリー・ウエスト、ジョージ・ガービンに次ぐ5位にランクイン。公称183cmというサイズを考えれば、この順位に入ったことは驚異的だと言っていい。

 もっとも、アイバーソンの魅力はこういった記録や勲章を超えたところにある。「毎試合が最後だと思ってプレーする」と口癖のように語り、実際に捨て身でゴールにアタックし続けた姿はファンを熱狂させた。そのファッションやヘアスタイルも特徴的で、同世代のシンボルになった。

 アイバーソンが去った後、これほどのカリスマ性を持ち、ファンをエキサイトさせた選手はほとんど現われてない。特に最高のはまり具合を見せたブルーカラーの街フィラデルフィアにおいて、その功績は永遠に語り継がれていくに違いない。
 【スモールフォワード】
ジュリアス・アービング 
1950年2月22日生。201cm・95kg。
在籍期間:11シーズン(1976〜87年)
成績:836試合、平均22.0点、6.7リバウンド、3.9アシスト

 アービングは76ersに属した11シーズンのすべてでオールスターに出場し、チームを毎年プレーオフに導いた。芸術品と呼ばれたダンクはもちろん、そんな安定した実績も彼の価値を物語る。当時のライバルリーグABAからNBAに移ってからもハイレベルなプレーを続け、1983年にはモーゼス・マローンとともにプレーオフ通算12勝1敗という圧倒的な成績で優勝に大きく貢献した。

 通算得点とアシストはチーム史上4位、リバウンド7位、スティール3位、ブロックは1位。オールラウンドなスタッツが示す通り、“ドクターJ”こそがチーム史上最高の選手ではないかという声も少なからず存在する。その長年にわたる功績が讃えられ、引退を宣言して迎えたラストシーズンではフィラデルフィア以外の街でも大歓声を浴びたというエピソードは有名だ。
 【パワーフォワード】
チャールズ・バークレー
1963年2月20日生。198cm・114kg。
在籍期間:8シーズン(1984〜92年)
成績:610試合、平均23.3点、11.6リバウンド、3.7アシスト

 ビッグネーム揃いの76ersのベスト5の中で、最も難しいのはPFの選定ではないか。後述するセンターには外せないレジェンドがいるだけに、センターとしてはサイズ不足だったモーゼス・マローンをここに組み入れる選者もいるだろう。また、1977〜84年に8年連続でオールディフェンシブ1stチーム入りを果たしたボビー・ジョーンズや、50〜60年代の主砲ドルフ・シェイズを買う人もいるかもしれない。

 ただ、ここでは在籍中の支配力とインパクトの大きさを評価し、やはりバークレーを選びたい。アービング、マローンといった大御所に囲まれて経験を積んだ“サー・チャールズ”は、エースとして期待通りに成長し、92年にチームを去るまで6年連続オールスター出場、91年の大会ではMVPに輝いた。その爆発的なリバウンド力はアンダーサイズのPFとしては規格外で、87年には平均14.6本でタイトルを獲得している。最終的にはフロントに不満を抱え、トレード志願した上でサンズに移籍したが、それでもフィラデルフィアでは英雄視されているという事実がその存在の大きさを示している。
 【センター】
ウィルト・チェンバレン
1936年8月21日生。216cm・125kg。
在籍期間:4シーズン(1965〜68年)
成績:277試合、平均27.6点、23.9リバウンド、6.8アシスト

 1983年にシーズン、ファイナルの両方でMVPを獲得したマローンも捨てがたいが、やはりリーグ史上最も支配的なセンターと称されたチェンバレンは外せない。在籍は3シーズン半と短かったが、その間は平均27.6点、23.9リバウンドと圧巻の数字をマーク。67年にはそれまで個人的に煮え湯を飲まされ続けてきたセルティックスの壁をついに破り、悲願の初優勝も遂げた。
  平均得点、リバウンド、FG成功率、平均出場時間はすべてフランチャイズ歴代1位。通算リバウンドで5位というのも在籍期間を考えれば驚異的で、様々な意味で“怪物”と呼ぶにふさわしい規格外のセンターだった。

 付け加えると、76ersと直接は無関係だが、チェンバレンはフィラデルフィア(現ゴールデンステイト)・ウォリアーズ時代の1961−62シーズンに有名な“100得点ゲーム”、“シーズン平均50.4点”というとてつもない記録を残している。こういった経緯を振り返れば、チェンバレンがフィラデルフィアのスポーツ史でも最大級のレジェンドと認識されているのも理解できるのではないだろうか。

文●杉浦大介

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