6月21日の開幕3戦目で揃って7回無失点の好投を見せたプロ2年目の梅津晃大(中日)と、ドラフト1位ルーキー・森下暢仁(広島)。将来のエース候補と目される両投手の投げ合いが予想された28日の試合は、一週間前からファンの間で屈指の好カードとして話題になっていた。注目の結果は、森下が9回途中3失点の好投でプロ初勝利。対する梅津は5回7失点の乱調で今季初黒星と、明暗がくっきり別れてしまった。本格派投手として将来を嘱望される両右腕の投球にどのような違いがあったか、くわしく見ていこう。

●梅津晃大 投球成績
5回 104球 被安打10 奪三振2 与四死球2 失点7

▼投球割合 / 平均球速
43.3% ストレート 146.5キロ
26.0% フォーク 136.5キロ
24.0% スライダー 126.8キロ
5.8% カットボール 136.3キロ
1.0% カーブ 118.0キロ まず梅津は、初回7球連続でストレートを投じ、広島打線を力で制圧しようと試みた。ただ、前回登板で平均148.4キロのストレートを50%以上の高い割合で投げていたことを広島打線は把握していたのか、先頭のピレラから三者続けて積極的にストレートを打ちにいき、あっという間に一死一、三塁のチャンスを作った。

 梅津と木下拓哉のバッテリーは続く鈴木誠也に変化球を6球続けて空振り三振、続く松山竜平も変化球主体でファーストゴロに打ち取って無失点に切り抜けたものの、ストレートを積極的に狙う広島打線を見てゲームプランの変更を余儀なくされた感は否めない。2回以降は変化球中心に組み立てたが、ゾーン内のストレートは積極的に狙われ、甘く浮いたスライダー、フォークが痛打されることで失点を重ねた。

 前回登板と比較してストレートの平均球速は2キロ程度落ち、制球も甘かったことから、調子が良くなかったのは間違いない。ただ打者の狙いを察知し、それを逆手に取って打ち気を逸らす投球術を備えていなかったことが、敗戦の本質的な理由と考えられる。
 ●森下暢仁 投球成績
8.2回 136球 被安打9 奪三振7 与四死球2 失点3

▼投球割合 / 平均球速
44.1% ストレート 149.7キロ
31.6% カットボール 139.0キロ
12.5% チェンジアップ 131.1キロ
11.8% カーブ 111.6キロ

 一方の森下は、前回登板と同様に最速153キロのストレートと、ストレートと同じ軌道から変化するカットボール、チェンジアップのコンビネーションを軸に中日打線を翻弄した。中日の与田剛監督は試合後「球種によってフォームが変わらない」とコメントしたが、打者にとってはストレートを狙おうにも同じ軌道から両コーナーに変化するボールが頭にあったためか、どうしても差し込まれる姿が目立った。さらに時折、落差の大きいカーブを低めギリギリに投じたこともアクセントとなり、狙い球を絞ることは非常に困難だったと思われる。
  梅津と森下の結果を左右したのは、この「ストレートと同じ軌道で変化するボール」と、「緩急を生み出すカーブ」の使い方であったと言えるだろう。梅津は初回、ストレートが狙われたことを察知した後にスライダーとフォークを多投したが、特にリリース直後から大きく変化し、球速も遅いスライダーは打者も見極めが難しくなく、ストレートに張っていても対応が容易だったと考えられる。

 打者に思い切り踏み込ませないためには、投球割合が限定的だったカットボールやカーブを森下のように効果的に活用すべきだ。梅津のカットボールは、6月7日の西武との練習試合では空振りを奪うボールとして十分機能していた。現時点で精度に不安があり投球割合を減らしているのなら、今後は積極的に活用できるよう修正が急務だろう。

 先発投手不足に喘ぐ中日にとって、梅津にかかる期待は大きい。今回の反省を糧に、次回登板が予想される7月5日の巨人戦ではまた目覚ましい投球が見られることを、中日ファンは心から楽しみにしている。

文●ロバートさん (@robertsan_CD)

【著者プロフィール】
1988年生まれ。Twitterにて中日ドラゴンズの戦力分析・考察を行う中日ファン。中日新聞プラスにて「データで考える中日ドラゴンズ」を連載中。

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