7月3日(日本時間4日、日付は以下同)、“日本が誇る至宝”八村塁(ワシントン・ウィザーズ)がメディアに向けた『Zoom』による会見に登場。「1か月前くらいですね。髪の毛がすごく伸びてしまったので、さすがにエージェントに『切れ』と言われて切りました(笑)」と白い歯をのぞかせた八村は、短くカットされた髪型で画面に姿を見せ、現在の心境を語った。

 NBAは新型コロナウイルスの影響により、3月12日からレギュラーシーズンが前代未聞の中断。ウィザーズの選手たちは5月29日に練習施設「メッドスター・ウィザーズ・パフォーマンスセンター」が解禁されるまで、約2か月半もの間、自粛期間として個人でワークアウトなどを行なってきた。

「僕はずっとLAにいて、家にウエイトがあったのでそこでトレーニングしたり、ジムも何回か借りて使ったりして、バスケしてたんです。あとは『Zoom』でチームとして毎日ワークアウトセッションがあったり、フィルムセッションがあったりしたので、それをずっとやって過ごしてました」
  3月26日にMLBのダルビッシュ有と共演したインスタライブ内で、「もう110(kg)ぐらいあります。自分でもなんでこんなに体重あるのか、とは思います。骨とかもあると思います。一回、(骨密度を)計った時に、僕は骨がすごいがっしりしてるってわかったんです」と明かしていた八村。自粛期間を経た現在も、その肉体をキープしているようだ。

「体重も増えて、身体つきも大きくなったと言われます。身体を鍛える時間が欲しかったので、それに関しては時間を無駄にせずにできたんじゃないかなと思います。シーズンが中断してから今で、10ポンド(約4.5㎏)くらいは増えましたね」

 また、八村は自粛期間中に3ポイントやミドルレンジジャンパー、ボールハンドリングの向上に取り組んだと語ったが、スキル向上の手応えを感じているかと聞かれた際には、身体の強化について話している。

「まだ対人(の練習)はやってないんですけど、そこで身体ができてきているか(の結果)が出てくると思うので、プレーするのが楽しみです。それによってもっといろんなことができてくるので、これから楽しみになるなと思います」
  もっとも、新型コロナウイルスの感染拡大が収束していないなかでプレーすることには不安もあるという。

「もちろんあります。僕は子どもとかがいるわけじゃないので、そこまでなんですけど、チームでも(不安に思っている選手が)いますし、子どもがいたり家族が一緒に住んでいる選手がたくさんいるので、『僕ももし子どもがいたらどうだったのかな』と思いますし。それぐらいの状況にあると思うので、僕としては健康第一でいきたいと思います」

 イースタン・カンファレンス9位のウィザーズ(24勝40敗/勝率37.5%)は、今後シーディングゲーム(順位決定戦)としてオーランドで8試合を戦う。その結果8位チームとのゲーム差が4.0以内に縮まれば、プレーオフ最後のスポットを懸けてプレーイン・トーナメントに出場できる資格を手にし、そこで2戦全勝すればプレーオフ進出に手が届く、という流れだ。

 8試合のうち、勝率5割を上回るのは5チームだが、残りの3チームもここまでのシーズン戦績でウィザーズを上回るチームだけに、依然として厳しい状況にあることは否定できない。

 それでも八村は「僕らにはプレーオフに行けるチャンスがあると思うので、その8試合をしっかりと戦って、僕としてもルーキーシーズンをしっかり終わらせて次のステージに行けたらいいなと思います」と前を向いていた。
  八村が自粛期間中もモチベーションを保ち、ワークアウトに励むことができた背景には、やはり東京オリンピックの存在もあったようだ。今年は新型コロナウイルスの影響で延期となり、来年開催されるかどうかも現時点では不透明なものの、この大舞台が八村を突き動かしている要因のひとつであることは間違いない。

「オリンピックでプレーするのが今までの夢、大きい目標としてやってきたなかで、こうなってしまってすごく残念に思ってます。でもこれは仕方のないことなので何とも言えないんですけど、もし来年できればやりたいですし、まだチャンスがあると思うので、僕としても準備していきますし、日本代表チームとしても準備していかなきゃいけないなと思います。今のところ、まったく状況や日程とかもわからないんですけど、チャンスがあればもちろんプレーしたいなと思います」
  八村はバスケットボールをプレーする日本の中高生たちへ「こういう状況になって残念ですし、もし僕が高校生で、インターハイやウインターカップが中止になったら最悪なことだと思います。でもこれからチャンスが絶対あるので、そこを忘れないでモチベーションを高くもってやってもらいたいなと思います」とエール。そして自身に対しては、シーズン再開に向けてこう意気込んだ。「ルーキーシーズンをプレーしたっていう感覚はあるんですけど、82試合を乗り切ったとは思ってないです。チームとのケミストリーとかもありますし、ディフェンスの部分でもまだまだ足りないところがあるので、(残りの)レギュラーシーズン8試合と、プレーオフに行けたらディフェンスを課題にして臨みたい、個人としては学びたいなと思います」

 今月末に迫った今季の第2幕。肉体強化に成功した八村が、ウィザーズの主力としてコート上でどんな活躍を見せてくれるのか。今から楽しみでならない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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