7月12日(日本時間13日、日付は以下同)、フロリダ州オーランドに滞在しているワシントン・ウィザーズの選手たちはこの日、全体練習ではなく基礎練習に励んだ。

 シーズン中断時点のウィザーズは、24勝40敗でイースタン・カンファレンス9位。8位のオーランド・マジック(30勝35敗)と5.5ゲーム差、7位のブルックリン・ネッツ(30勝34敗)とは6.0ゲーム差をつけられた状態で、30日から始まる8試合のシーディングゲーム(順位決定戦)に臨む。

 ただし、開催地に乗り込んだメンバーは、残念ながらベストと呼ぶにはほど遠い。今季全休のジョン・ウォールに加え、ブラッドリー・ビール、ダービス・ベルターンスは出場を辞退。トーマス・ブライアントとゲイリー・ペイトン二世は9日に新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たことでまだ合流できておらず、ギャリソン・マシューズ(2WAY契約)も個人的な事情を理由に不在という状況だ。

 11日にチーム練習を終えたシャバズ・ネイピアーは、現状についてこう話している。

「俺たちは今、第8シードから5.5ゲーム差。プレーイン・トーナメントに進むためには4.0ゲーム差に縮めなければならない。それを8試合でやらなければいけないんだ。多くのチーム、ファンは俺らの活躍なんか期待しちゃいない。それがモチベーションになっているんだ」
  現在のロースターにおいて、チームのトップスコアラーは平均13.4点を記録している八村塁。それに続くのが今季途中加入したネイピアー(12.0点)で、以下ベテラン司令塔のイシュ・スミス(10.5点)、トロイ・ブラウンJr.(9.7点)、モリッツ・ヴァグナー(9.5点)と続く。

 不参加を表明したビールとベルターンスは、今季のチームトップ2スコアラーであり、2人で平均45.9点をマークしていた。オフェンス面は大幅な戦力ダウンになったのは言うまでもないだろう。

「とにかく互いを信頼すること。(期待されていない分)気楽にプレーできるけど、落とし穴だってある。ビールとベルターンスがいないから、1人で全部やってやると思ってしまうことがあるからね。大事なのはケミストリーの向上。お互いに競り合って、勝ちに行くこと。ビールのように平均30点を奪う選手が抜けたわけだから、みんながいいプレーを見せようと、高いモチベーションを持っている。ベンチ入りしているすべての選手が貢献していかなくちゃいけない。このリーグの選手は、誰だって日替わりでヒーローになれるだけの能力を備えている。だから全員の活躍が必要なんだ」とネイピアーは話す。
  ただ、現状の戦力で考えた場合、ウィザーズの牽引役として期待がかかるのはやはり八村だろう。「得点する機会が増えると予想されるなか、ゴンザガ大でエースを務めた経験を生かせるか」と聞かれた八村は、その大役を務める責任を背負っているかのような返答をしていた。

「もちろん。ゴンザガ大だけでなく、日本代表チームでも自分が軸になっているので、得点とプレーメークの機会が増えるのは僕にとってはいいこと。僕ら若いチームにとってもすごくいい機会です。だから僕はすごく楽しみです」

 また、中断期間に約4.5kg増量した八村は、体重を増やした理由についてこう話す。

「プレーしていて感じたのは、力とかはあまり気にしてなかったんですけど、ドライブした時にコンタクトして、別に押し負けるわけじゃないんですけど、バランスを崩すことが多かった。なので、そういうところを意識して筋肉を増やそうと思いました」

 オーランドで対人練習も始まったことで、その効果も如実に表われており、「プレーしていて当たりも強くなってるな、と感じますし、動きももっと機敏になってるような気もしています」と八村は自信を覗かせている。
  ウィザーズはシーディングゲーム初戦となる31日のフェニックス・サンズ戦を前に、スクリメージ(練習試合)が3つ組まれている。その相手はデンバー・ナゲッツ(22日)、ロサンゼルス・クリッパーズ(25日)、ロサンゼルス・レイカーズ(27日)という、ウエスタン・カンファレンスの勝率トップ3チームだ。

 ナゲッツにはポール・ミルサップ、クリッパーズではマーカス・モリス、そしてレイカーズにはアンソニー・デイビスというフィジカルコンタクトに秀でたパワーフォワードがいるため、八村にとってはスクリメージの段階から、早速タフなマッチアップが続くことが予想される。

 だが、八村とウィザーズにとって失うものなど何もない。シーディングゲームとして行なわれる8試合は、プレーオフ進出に向けていずれもレギュラーシーズンの試合よりも重みが増す。そのなかで、与えられたチャンスを最大限に生かし、コート上でベストを尽くしたいところだ。

 どれだけチームとしてハードにプレーしようと、バスケットボールで勝敗がつくのは当然であり、多くの試合で黒星を喫してしまう可能性も十分にある。それでも、今後に向けて貴重な経験となるのは間違いないため、アグレッシブな姿勢を保持して戦い抜いてほしい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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