いよいよ2020年のMLBが幕を開ける。60試合という超異例のシーズンを制するのは一体どのチームなのか。ナショナル・リーグ各チームの戦力を分析し、地区ごとに順位を予想してみよう(★はワイルドカード)。

【東地区】
1 ブレーブス
2 ナショナルズ
3 フィリーズ
4 メッツ
5 マーリンズ

 昨年、世界一を勝ち取ったのはナショナルズだったが、実は地区優勝したのはブレーブス。ロナルド・アクーニャJr.ら優れた若手スターが何人もおり、今季も有力な優勝候補と見られていた。しかし、主砲のフレディ・フリーマンが新型コロナウイルスに感染し「一時は死を覚悟」する事態に。無事に回復はしたものの、他にもニック・マーケイキスがシーズン不参加を決め、その代わりに契約寸前だったヤシエル・プイーグも感染して獲得を見送るなど、コロナに祟られ続けている。

 王座防衛を狙うナショナルズは、マックス・シャーザー、スティーブン・ストラスバーグを中心とした強力先発投手陣は健在。だが、打線の中心的存在だったアンソニー・レンドーンが抜けた影響は大きい。代わりに複数のベテラン選手を獲得して穴を埋める算段だが、その戦略がうまくいくかどうかがカギになりそうだ。
  メッツもヨエニス・セスペデス復帰という朗報の一方で、3月にノア・シンダーガードがトミー・ジョン手術を受け今季絶望となっている。こうして見ると、大きなマイナス材料のないフィリーズが浮上してくる可能性もある。MLB.comのパワーランキングでは、この4チームが6位から14位までの間にひしめいていて、実力差はほとんどないと見られている。再建真っ只中のマーリンズ以外はどこが勝っても不思議ではない。


【中地区】
1 レッズ
2 ブルワーズ
3 カーディナルス
4 カブス
5 パイレーツ

 ESPNの記者予想では32人中14人がレッズが優勝と回答。もともとオフに秋山翔吾を獲得するなど積極的な補強を施し、ダークホース的存在とみられていただけでなく、新たに組み直された日程の恩恵を最も受けそうなチームでもあるからだ。移動による感染の危険性を考慮し、ア・リーグ東地区の球団と当たらなくなったのは、同地区の他球団と同じ。だがア中地区の「2弱」であるロイヤルズ、タイガースのとの対戦が、レッズはカブスやカーディナルスより3試合多い。また、打力は良くても守備が不安な選手が複数いて、DH制導入のメリットが一番大きいチームともみられている。
  カーディナルスは常に侮り難い存在ではあるけれども、夏に復帰する予定だったクローザーのジョーダン・ヒックスが不参加。カブスも戦力的には優勝を狙えるが、監督が采配経験のないデビッド・ロスであることがマイナスに働く恐れがある。チームを把握し、采配の勘をつかむ前にシーズンが終わってしまいかねないのだ。むしろブルワーズのほうが、弱点である投手陣の層の薄さは、短期間だとボロが出にくいかもしれない。パイレーツはブルージェイズに本拠地球場を貸すことになったのが唯一のニュース、という状況だ。


【西地区】
1 ドジャース
2 パドレス
3 ダイヤモンドバックス
4 ロッキーズ
5 ジャイアンツ

 レッドソックスから加入したデビッド・プライスが欠場を決めても、ドジャースの優勝を危ぶむ声はどこからも聴かれない。コディ・ベリンジャー、ムーキー・ベッツのMVPコンビをはじめ、特に野手の戦力層の厚さは他球団とは段違い。新人王候補のギャビン・ラックスを開幕ロースターから外したのも、余裕の現れとすら思える。
  対抗馬の一番手に挙げられていたダイヤモンドバックスは、ローテーションの一角であるマイク・リークが不参加で戦力ダウンとなり、ドジャースとの差は広がっている。優勝争いとまでは行かないかもしれないが、面白そうなのはパドレス。抑えのカービー・イェーツを筆頭として厚みのあるブルペンは「6回までリードしていたらテレビを消して大丈夫」と言われる陣容。しかも短縮シーズンということで、惜しみなくフル回転させられるのも大きい。

 ロッキーズが上位に食い込むには、他球団の投手の調整不足に乗じて、とにかく打線が打ちまくるしかない。ジャイアンツはバスター・ポージーが不参加を決めたが、たとえいたとしても下位に変わりはなかっただろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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— Cincinnati Reds (@Reds) July 22, 2020