デンバー・ナゲッツの中心選手と言えば、現役屈指の万能ビッグマンであるニコラ・ヨキッチ、高い得点力を備えたジャマール・マレー、攻守のバランスが取れたベテランのポール・ミルサップの名前が浮かぶ。

 昨季は彼らを中心に、ウエスタン・カンファレンス2位となる54勝をマーク。6年ぶりに出場したプレーオフでもカンファレンス・ファイナル進出まであと1勝に迫るなど、快進撃を見せた。

 自信をつけたチームは、今季もシーズン中断までウエスト3位の43勝を記録し、2年連続のポストシーズン進出を決めた。

 エースのヨキッチらのほかにもロースターにはシューター兼ディフェンダーのギャリー・ハリス、身体能力の高いウィル・バートン、ジェレミー・グラントといった好タレントが所属している。

 ただ、レブロン・ジェームズ&アンソニー・デイビス率いるロサンゼルス・レイカーズ、カワイ・レナード&ポール・ジョージ擁するロサンゼルス・クリッパーズと比較すると戦力や経験面で見劣りすると言わざるを得ない。

 そんなチームに新たな戦力が加わった。

 彼の名はボル・ボル。20歳のルーキーはスーダン出身で、1980年代後半から10年間NBAでプレーしたブロッカーのマヌート・ボル(2010年に他界)を父に持つ二世選手だ。
  昨季はオレゴン大で平均21.0点、9.6リバウンド、2.67ブロックの好成績を残した218㎝のビッグマンは、昨年のドラフトでも上位指名が予想されていた。

 ドラフト当日、ボルは指名予定の選手とその関係者が待機するグリーンルームに招待された。しかしながら1巡目でアダム・シルバー・コミッショナーから彼の名前が呼ばれることはなく、開始から4時間以上が経過。最終的に指名されたのは2巡目44位だった(ドラフト日に指名されたマイアミ・ヒートからナゲッツへトレード)。

 実力自体は申し分ないものの、2018年の12月に左足を骨折したケガの影響を鑑みて、各チームはボルの指名を回避したのだ。

 さらにナゲッツから与えられたのは本契約ではなく、2WAY契約。開幕後もGリーグでのプレーを余儀なくされ、シーズン中断までトップチームでの出場は1度もなかった。

 しかし、7月23日からスタートしたスクリメージ(練習試合)初戦、先発で出場したボルは32分間の出場で16得点、10リバウンド、6ブロックと大暴れ。攻撃では3ポイントを軽々と決め、守備ではブロックを連発するなど、抜群の存在感を放ったのだ。

 その後の試合でも、攻守で好プレーを披露したボルは3ゲームで平均13.7点、6.3リバウンド、3.00ブロック、3ポイント成功率35.3%を叩き出した。
  本来、2WAY契約選手がプレーオフに出場するには、契約を本契約に切り替える必要があった。だが今季は特例によって、2WAY契約選手もポストシーズンの出場資格があるという。

 レジェンドのシャキール・オニールは、息子のシャリーフがAAU(アマチュア運動連合)でボルとチームメイトだったため、10代の頃から彼を知っている。昨年のドラフト時には「私はザイオン(ウィリアムソン)を指名せずにボル・ボルを指名する。彼は218㎝で、シュートを打ち、ドリブルし、パスもできる」とその実力を評価するとともに、「ケガをしていたから、誰もそれを知らないだけ」と語っていた。
  現在のナゲッツにはヨキッチに加え、控えにもベテランのメイソン・プラムリーがいるが、ボルにはこの2人にはない身体能力を備えている。

 またチームはここ数年でヨキッチ(2014年2巡目41位)を筆頭に、モンテ・モリス(2017年2巡目51位)、トーリー・クレッグ(ドラフト外)と、ドラフト下位指名やドラフト外選手を重要な戦力に育て上げた実績がある。

 昨年のドラフト時に「全員が間違っていたと証明したい」と決意を述べたナゲッツの“秘密兵器”は、7月30日からスタートする第二幕、そしてプレーオフで彼の指名を見送った球団を見返す活躍を見せられるか注目したい。

構成●ダンクシュート編集部

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