テニスのショットの中でも、サービスのフォームは難易度が高い。実はプロでさえ、最初から完璧なフォームで打てていたわけではない。改良しながら自分に合うフォームを探求しているのだ。プロがどのようにフォームを変えて効果を上げたのか、史上最年少で全日本選手権を制した谷澤英彦氏に解説してもらった。プロの変更点を参考にして自分に適したより良いサービスフォームを手に入れよう。

 2回目はノバク・ジョコビッチで、2010年と2016年を比較した。2010年といえば、ジョコビッチはまだ1位になっておらず、最高位は2位だった時。ストロークの精度の高さは折り紙付きだったが、サービスは課題だった。

 この6年の間にジョコビッチは、かなり大胆にフォームを変えている。大きな違いはテイクバックだ。

「テイクバックを変えることで、右腕の使い方が変わり、腕の振り抜きが速くなりました」と谷澤氏。詳しく説明してもらおう。
 「2010年の時はテイクバックの段階からラケットが身体から離れて行っていましたが、2016年ではラケットが身体の近くにキープできています。ヒジから引いていくことで腕を内側にひねる動作が加わりました。この動きが入るとヒジから先を使うイメージを持ちやすくなり、打点付近では自然とプロネーションを行ないやすくなります。

 腕を存分に使うためには、トロフィーポーズで右ヒジが肩のラインと同じ高さにあることが重要です。ジョコビッチはこの点も改善しています。それにより、ヒジが先行するスイングが可能になり、スイングスピードが速くなりました。2016年ではボールにパワーが十分に伝わるフォームになっています」

 テイクバックでラケット面が開いている、ラケットダウンでラケット面が上を向いていると注意される人は、ジョコビッチのようにテイクバックをヒジから引くように変えてみると、サービスが改善されるかもしれない。

解説=谷澤英彦(マサスポーツシステム)
1989年に17歳9カ月の史上最年少で全日本選手権を制覇。現役時代はデ杯日本代表に名を連ね、引退後は守屋宏紀をジュニア時代から育てた。現在は橘テニスアカデミーでジュニア育成に携わる。日本テニス協会公認S級エリートコーチ。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2017年9月号から抜粋・再編集

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