4大大会優勝17回を誇り、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダルとともにビッグ3として君臨し続けるノバク・ジョコビッチ。トッププレーヤーとして活躍するようになって久しいジョコビッチだが、その才能の片鱗は10代の頃から確実に現れていたようだ。16年前に対戦した経験を持つ、イタリアのフィリッポ・ボランドリが、スペインメディアの『マルカ』に語った。

 ボランドリは2004年、クロアチアのウマグで、ツアーデビューして間もないジョコビッチと1回戦を戦った。当時17歳だったジョコビッチは、下部大会ではタイトルを獲得していたが、ツアーレベルではまだ目立った成績を挙げられていなかった。一方のボランドリはトップ50入りを記録し、初のツアータイトルを獲得するなど波に乗っていた時期だ。

 試合が始まると、第1セットはボランドリがゲームカウント5−1でリードを奪い、幸先の良いスタートを切る。ボランドリは「彼(ジョコビッチ)はまだ、私を脅かすほどの力は持っていないだろうと感じていた。呼吸が苦しそうだったし、自分自身と戦っているような様子だったよ」と、その時のことを思い返す。
  しかし、ジョコビッチはここから驚異的な粘りを見せた。苦しみながらも確実にプレーレベルを上げ、タイブレークにもつれ込むまで追い上げたのだ。「本当に驚いたよ。あんなに苦しい状況で、諦めずにファイトし続けるなんて、あの年齢(17歳)ではなかなかできないことだ」

「彼は自分の悪いところをすぐに見極め、即座に修正する能力がある。キャリアの最初はベースラインよりもはるか後方でプレーしているようだったが、今は違う。ポジションをベースライン上まで上げてプレーしているし、そのスタイルをずっと維持し続けるなんて驚きだよ」。試合は結局、ボランドリのストレート勝利に終わったが、土壇場でジョコビッチが見せたテニスセンスは、彼にかなりのインパクトを残したようだ。

「もちろんその時は、ジョコビッチがナンバー1になれるかなんてわからなかった。でも、間違いなく特別な何かを感じたよ。とてもつらい経験(ベオグラードでの空爆)をしたひとりだけど、それを乗り越え、トップに立ち続ける姿は、彼が偉大なチャンピオンだということを示している」と語った。

 今年の全豪オープンを制し、まだまだ実力に陰りが見えないジョコビッチ。今後も変わらず全プレーヤーの大きな「壁」として立ちはだかることだろう。

文●中村光佑

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