国内女子ツアーの『TOTOジャパンクラシック』最終日、渋野日向子は2バーディ、ノーボギーの70で回り、通算6アンダーの30位タイでフィニッシュ。国内では今季初めて順位による賞金116万1600円を手にし、賞金ランキング111位につけた。

 ノーボギーを喜ぶのか、2バーディしか取れなかったことを悔やむのか、今季なかなか調子が上がらない渋野の答えは後者だった。「めっちゃ悔しいです。後半全てパーオンしてバーディチャンスが何回あったの?という状況で一つも決められませんでした」と嘆いた。確かにこの日はグリーンを外したのがわずかに一度だけ。パーオン率も前日の88・9%から94・4%に上がった。前日のスタート前にわざわざ距離計測機を持ち出し、振り幅に応じたアイアンのキャリーをチェックしていたが、その効果がこの日も表れたといえる。
  ただ、唯一グリーンを外したホールが2番のパー5であったことは反省点だろう。本来ならバーディを奪いたいところでグリーンを外すと勢いがつかないからだ。

 また、いくらバーディチャンスについてもそれを沈めなければ意味がない。この日のパット数は33とこの3日間で最も悪く、それがラウンド中のイライラにもつながった。「ストロークに関しては大分よくなっていますが、読みが合ってないから入らなかったと思います」と自身のパッティングについて分析する。しかし、前日からスライスラインをカップの右に外したり、この日の最終18番パー4で4メートルのバーディパットを打ち切れなかったように、距離感が合っていないようにも感じる。初日からイントウインのストロークを意識してきた渋野だが、まだそこまでフォローできていないのだろう。

 それでも、打ち切れないことに対する打開策は見つけたようで、「ダフるぐらいの気持ちで低めのストロークをすることによって、厚く当たった感じの転がりが出ることが分かりました。今後はそこを意識していこうかと思います」と語っていた。要は、ヘッドのソールが地面を擦るぐらいギリギリの低さでヘッドを動かそうというわけだ。それが理論的に正解かどうかは別として、ボールの転がりがよくなり、渋野のフィーリングに合っているのなら、今後は苦手とするスライスラインに悩むことが少なくなるかもしれない。
  どちらにせよ、この日一度しかフェアウェイを外さなかったドライバーも含めて、ショット自体の調子は戻ってきている渋野。「パッティングのことをこれだけ悔しいと思うのも、ショットがすごくよかったわけですし、ポジティブに考えていきたいです」と前を向く。

 海外遠征から帰国して、ゴルフに対してもう一度ゼロから取り組もうとする姿勢が随所に見られる渋野だけに、今は土台作りの時期と考えれば焦る必要はないだろう。昨年、『   AIG全英女子オープン』で優勝してメジャー制覇を達成しただけでなく、国内ツアーでも4勝を挙げ、賞金ランキング2位に入った。たとえ向こう数年間の成績が悪くてもその実績が色褪せることはないし、非難される理由はどこにもない。むしろさらに上を目指すために辛酸をなめ続けながらも必死に試行錯誤する姿には尊敬の念しかない。
  前日は100点満点中3点という自己採点だったが、この日は「久しぶりにノーボギーで回れたので5点ぐらいにしておきます」と2点を加算した渋野。自身が納得する合格点に達するまでどれぐらいの時間を要するのかまだ先は見えないが、彼女が前を向き続けている限りは点数の加算が止まることはない。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。