独自技術と新たな萌芽 “離陸”する日本の航空宇宙産業

独自技術と新たな萌芽 “離陸”する日本の航空宇宙産業

 YS-11以来、50年ぶりとなる国産旅客機への歩み、世界初の独自技術の開発、米航空産業に広がる日本流「ものづくり」の方式――。日本の航空産業は、アメリカ、ヨーロッパに次ぐ「航空第三軸」として、高いポテンシャルを発揮しつつあると、航空ジャーナリストの藤石金彌氏はいいます。東海地方を中心に航空宇宙産業の萌芽も見えつつあります。最新事情を踏まえて、藤石氏に2017年を展望してもらいました。

「MRJ」1号機引き渡しに向け一歩一歩

 昨年10月に東京ビッグサイトで開かれた「JA2016・国際航空宇宙展」では、50年ぶりの国産旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の展示ゾーンが関心を集めた。機体後部モックアップには入場者が列を作り、シートに座ってスリムな機体と敏捷さを体験する入場者も多かった。

 MRJは昨年11月15日、アメリカで行われている飛行試験のため、4号機がモーゼスレイク(ワシントン州)まで機体を移動させる「フェリー・フライト」を実施。晴天が続き、テスト条件が整った当地で1500回の飛行試験を行い、離着陸性能など400項目をチェックしている。

 「安全飛行の基準」を満たしているかを検証・評価する「全機静強度試験」も終了し(同11月1日)、2018年度の国土交通省の「型式証明」取得と、量産1号機の航空会社への引き渡しに向けて歩を進めている。

 しかし、またしても引き渡し日程の延期が取り沙汰されるなど、順風満帆とは言い切れない状況。海外販売に苦慮したYS-11の経験の教訓化と伝承ができていない点や、ユーザーサポート体制構築も急務である。

日本の高い開発力が発揮された「P-1」

 哨戒機P-1は、海上自衛隊の哨戒機P-3Cオライオンの後継機で、機体サイズはB-737に近く、エンジンはIHI(石川島播磨重工業)が独自開発したF7(-10)ターボファンエンジン4発。

 離陸時推力6.1トンの高バイパス比エンジン(※1)で、コア(中核部分)の技術基盤をステルス実験機X-2用のXF5と共用する。XF5も世界水準の高性能を実現している。こうした低燃費、低騒音のエンジンを単独で開発できるのは目下、アメリカ、イギリス、日本ぐらいだ。

 また、世界で初めて操縦系統に「フライ・バイ・ライト(FBL)方式」を独自開発・採用した。

 航空機の操縦は従来、ワイヤを介して油圧や電動でなされていた。しかし、最近の旅客機などでは、フライ・バイ・ワイヤ(FBW)に変わっている。操縦データは導線を通じてコンピューターに入力され、半自動的に操縦が行われる。それをさらに、導線を光ファイバーに変えたものがフライ・バイ・ライト(FBL)で、電子的干渉を避け、配線の軽量化、消費電力の低減に成功している。こちらもX-2は採用している。

 並行して航空自衛隊の中型輸送機C-1の後継機C-2の開発も進められ、生産数が限定される両機の機体・部品の共通化を機体重量比で15%、システム・部品では75%を達成し、開発の効率化と費用削減に成功した。

 主契約社の川崎重工では、C-2の民間機転用が検討されている。P-1の旅客機化「YPX」は残念ながら進んでいないようだが、日本はジェット旅客機MRJに加えて、中型双発ジェット機C-2と4発ジェット機P-1を自力生産する航空機生産国になっている。

(※1)…ターボファンエンジンのバイパス流と燃焼室に流れる空気の比

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