映画アドバイザー・ミヤザキタケルが厳選!セットで観ると面白い青春映画2作品<ザテレビジョンシネマ部>

映画アドバイザー・ミヤザキタケルが厳選!セットで観ると面白い青春映画2作品<ザテレビジョンシネマ部>

映画アドバイザー・ミヤザキタケルがおすすめの映画を1本厳選して紹介すると同時に、併せて観るとさらに楽しめる「もう1本」を紹介するシネマ・マリアージュ。

第9回は、ともに難解かつ特殊な設定を扱った作品ですが、その実、うまくいかない現実から抜け出すすべを模索し続ける者たちの葛藤を描いた『アンダー・ザ・シルバーレイク』(11月23日 夜10:00 WOWOWシネマほか)と『ダウンサイズ』(11月28日夜7:30 WOWOWプライムほか)をマリアージュ。

■ 『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)

『イット・フォローズ』(2014)でクエンティン・タランティーノ監督を驚愕させたデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督によるサスペンス。漠然と日々を過ごす青年サム(アンドリュー・ガーフィールド)が、恋する隣人の失踪を機にLAの街シルバーレイクに潜む陰謀に巻き込まれていく様を通し、人生において向き合うべきは何なのかを模索していく。

暗号解読や都市伝説、サブリミナル、陰謀論などを頼りに、失踪した隣人を捜し街をさまようサムの姿に翻弄され、あなたもまた未知の世界へといざなわれることだろう。ただ、描き方がぶっ飛んでいるだけで、本作はあくまでも青春映画。シンプルにいえば、ワンチャン狙えた女の子がいきなり消えて、諦め切れずに捜し回る男の話。

捜していく過程があまりにも難解なため混乱しがちだが、根っこにあるのは、恋する気持ちが原動力となって行動を起こし、その果てに良くも悪くも成長していく人間ドラマ。その辺りをくみ取りながら観ることができたのなら、より一層本作を楽しめるはず。

キャッチーな広告コピー、SNS、アイコン的存在が発する言動、追い掛ける義務のない世間の流行など、いつの世も、気付かぬうちに僕たちは何かに踊らされてはいないだろうか。今あなたが抱いている感情や趣味嗜好も、何者かによって誘導させられた末にたどり着いたものかもしれない。だが、どれだけ世の中を疑ったり勘繰ったりしたところで、すべての答えは得られない。

隣人を捜すサムを見ていればそんなふうにも思えてくる。どんなに答えを追い求めたところで、僕たちでは介入することの許されない領域が、存在自体認識することの叶わない何かがある。

この世の中は“知る者”と“知らぬ者”に二分され、その境界線を突き破るのは至難の業。それならば、今目の前にある世界で生きていくしかない。踊らされているかもと思っていても、あらがうすべを持たぬのであればどうしようもないのだから。

社会や政府の陰謀に迫るよりも先に、自身の生活を何とかする方が先決だし、どんな社会的立場の人間だろうが、この世に生まれたからには今この瞬間を楽しむ他ない。人に迷惑を掛けないに越したことはないが、迷惑を掛けずに生きられる人間なんていやしない。それならば、多少むちゃしてでも人生楽しんだ者勝ち。いや、踊らされた者勝ちなのかもしれない。

どれだけあがいても分からなければ、分かる人に聞けばいい。それでも答えが出ないのなら、考えたって仕方がない。もっと別のことに目を向けたり時間を費やす方が効率的。

現状をややこしくしているのはいつだって自分自身。トリッキーでクレイジーでエキセントリックな展開のオンパレードによってカムフラージュされているが、本作が描いていたのは、人生につまづいた男が再び一歩を踏み締めるまでの短くも果てしない時間であり、誰もが歩んできた、もしくは歩むことになるであろう普遍的でパーソナルな時間。難しく考えずシンプルに向き合えば、大いに得られるものがある作品です。

■ 『ダウンサイズ』(2017)

『ファミリー・ツリー』(2011)、『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2013)のアレクサンダー・ペイン監督作。増加の一途をたどる人口問題を解決すべく、人類を大きさ13cmにする技術“ダウンサイズ”が発明された少し先の未来。より良い生活を追い求め、妻と共にダウンサイズすることを決意した主人公ポール(マット・デイモン)の紆余曲折を通し、人生において幸福を得るためのヒントを与えてくれる作品です。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』を経て、一歩踏み出すまでの険しさと価値をあなたはおそらく垣間見る。だけど、一歩踏み出す=ゴールというわけではない。言わずもがな、人生はトラブルやイレギュラーや選択を迫られることの繰り返し。

人生の大きな一歩を踏み出しダウンサイズすることを選んだポールもまた、その先で新たな壁に直面していく。2本を併せて観ることで、人生は絶えず自問自答の連続で、良いことも悪いことも等しく訪れ、その上で自分にとっての幸福が何であるのかを模索していくことに意義があるのだと気が付けるはず。

誰もが幸せを追い求めて生きている。絶対とは言い切れないが、それは他人から与えられるものではなく、自らの手でつかみ取るものだということも重々承知。しかし、約束された幸せをチラつかせられたのなら、そんなうまい話などないと分かっていながらも揺らいでしまう。幸せかどうかなんて、本当は後にならないと気が付けないはずなのに。

不器用で損な生き方しか選べないポールを見ていてそう思った。母の介護のため大学を中退し、医者になる夢を断念した彼は負い目を抱えながら生きているが、学んだ知識や技術を母のために活かせていたのは事実。多くを無駄にしてしまう人もいるが、彼の場合はそうじゃない。自分を認めることができないだけで、幸せの扉をノックする権利は持っていた。が、他者から与えられるものにすがってばかりで、その事実に気が付けていない。

高望みすることも時には大事だが、これまで培ってきたものに目を向けることも時には重要。己自身の中に、幸せになるための可能性はいくらだって宿っている。キッカケを逃しているのであれば、原因もまた己自身の中にある。

最後にポールは選択を迫られる。その選択が人として最善、最良であったのかは分からないが、彼個人の幸せを追求するのであれば正しい選択であったはず。

多くの不要な情報であふれ、本当に必要なものを見誤ってしまいがちな現代。そんな世界であっても最良の道を見据え、自分にとっての幸福を追求していくこと。そこに宿る価値や人生の醍醐味を感じさせてくれる2作品、ぜひセットでご覧ください。(ザテレビジョン)


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