“ナスD”こと友寄隆英ディレクターが、“アジア最後の秘境”ともいわれる極寒の地を訪れる特番「テレビ朝日開局60周年記念『氷と雪に閉ざされた秘境の地 天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間』」(テレビ朝日系)が3月8日(日)に放送決定。放送に向け、友寄Dが見どころなどを語った。

■ 地球上でも屈指の極寒の地へ

「陸海空 地球征服するなんて」(2017-2019年)で、南米アマゾンに暮らす部族に体当たり取材を行い、全身真っ黒の姿になった友寄ディレクター。今回は日本から約5000km、行きつくまでに最悪1カ月間掛かる“ヒマラヤ最奥の聖地”ネパール・ドルポを訪れる。

富士山を超える高度4000mに位置し、冬季はマイナス40°まで下がることもあるという、地球上でも屈指の極寒の地。そのドルポ地方の中でも、最奥にある集落“ティンギュー村”を目指して旅をする。

ティンギューに行きつくためには、標高5000m以上の3つの大きな峠を徒歩で越える必要があり、20人のスタッフは雪山を進むことに。たどり着いた先には、何世紀もの間、変わらない暮らしを送る部族がいた。

■ 数々の功績を残した大谷映芳氏が同行

今回の旅に同行するのは、今から30年ほど前に過酷な海外取材を手掛け、そのほとんどに自ら出演してきたディレクター・大谷映芳氏。

「ニュースステーション」(1985-2004年)の取材ディレクターとして世界の集落や高山への潜入リポートを行い、世界第2の高峰“K2”の西陵世界初登頂、パキスタン・ラカポシ北稜初登攀を果たすなど数々の功績を残している。

南米のギアナ高地、パタゴニア、チベット、ブータンといった、世界の秘境VTRを100本以上制作した大谷氏は、いつしか“辺境ディレクター”と呼ばれるように。

大谷氏は「ニュースステーション」でドルポを訪れたことがあり、今回は友寄ディレクターをガイドする重要な役割も担当する。

2人は今回、四季を通じてドルポを取材。その期間は計150日にも及び、文化、歴史、絶景、人物、グルメ、動物など、長期密着取材だからこそ可能となる現地の“今”を伝える。

雪と氷に閉ざされ、完全に周囲から孤立する厳冬期のドルポ地方を取材するのは世界初。ドルポの“今”から見えてくる“未来”の地球の姿を、高山撮影用に改良されたドローンなどの最新機材を駆使し、映し出していく。

■ 打倒・NHKスペシャル!?

友寄ディレクターは、動物好きだった子ども時代から、アマゾン、ヒマラヤ、アフリカの大自然に触れることを夢見てきたという。だが、2018年秋にヒマラヤ・ドルポに初めて到達したときは「大地は全面、茶色。正直、全く面白くなくて、この土地で特番なんか撮れるのかなと思ったんです」と明かす。

しかし、四季を通して取材を続けるうちに、茶色から白銀、そして緑へと姿を変える大地の移り変わりに感動。

「『大地ってこんなに変わるんや』って、初めて大地がいとおしく思えたんです。『大地で人間は生きている』ということ、そして『ドルポにはこんな生活を送っている人たちがいる』ということを、日本の皆さんに伝えたいと心から思いました」と話す。

今回の番組制作で、一貫してこだわり続けているのは“リアル”とのこと。

「今回は風景と現場の音、ナレーション、音楽で見せていきたいと思っています。目指すは“打倒NHKスペシャル”(笑)。

ヒマラヤはめちゃくちゃ絶景が広がっているので、150日の間に、映像的にはNスぺを超えたのでは!?と思う瞬間がたくさんあるんです。リアルなものを真っ正直に撮り続けるしかない。2020年のヒマラヤ部族のリアルはこれなんです」という友寄ディレクター。

真摯(しんし)にヒマラヤに向き合った本作は、衝撃のインパクトをもたらしたこれまでのバラエティーとはひと味もふた味も違う、骨太のドキュメンタリーに。

「もちろん“笑い”の部分はありますが、破天荒なキャラがヒマラヤでどんなことをしてくれるんだろう…と期待してくれる固定ファンの皆さんの期待はある意味、裏切ってしまうのかもしれません」としながらも、「でも、その裏切りを超えるものを作らなければならないと思っていますし、ディレクター人生26年間の集大成として全てを出しています。決して無駄な時間にはさせないので、ぜひ2時間半お付き合い願いたいです」とアピールした。

■ 友寄隆英ディレクターコメント全文

――なぜ新たな冒険の地にヒマラヤを選んだのでしょうか?

「いきなり黄金伝説。」(1998-2016年)を担当していたとき、僕はチーフディレクターとしてチヤホヤされていたんですよね(笑)。

でも、「黄金伝説。」が終了したら周りから人もいなくなって、行き場も失って…。ずっとVTRを作ってきた人間なので、デスクワークなんかできるわけもなく、どうすべきなのか悩んでいたんです。

それを察してくれた上司が「おまえは何がしたいの?」って声を掛けてくれ、「子どものころからアマゾン、ヒマラヤ、アフリカに行って動物を撮るのが夢だった」と話したんです。そしたら、「まずアマゾンに行ってこい! その代わり、出演もしてみろ」と言われたんです。

僕は自分が賢くないことを分かっているので、ロケの前にはその土地について猛勉強してノート2冊分ぐらい調べ上げるのですが、上司はそれをよく知っていて「1番詳しいおまえがリポートすればいい」と…。

それで、「陸海空 地球征服するなんて」でアマゾンを旅したのですが、それが終わったときにまた呼ばれて「次はヒマラヤだって言っていただろう?」って言われたんです(笑)。

――四季を通して取材したとのことですが、実際の取材期間は?     

2018年10月末から2019年12月まで、計4往復しました。冬は氷と雪に阻まれて、危険過ぎてドルポに踏み入ることができないので、厳冬期の取材は世界初です。

ドルポを取材するのは日本のテレビでは「ニュースステーション」以来ですが、そのときも厳冬期は撮影できていません。

――同行した大谷映芳ディレクターはどんな方でしたか?

その「ニュースステーション」でドルポを取材したディレクターが、大谷映芳さんなんです。大谷さんは2年ほど前に紹介されたのですが、すぐに意気投合して、2人で飲みに行くようになって、この企画が実現しました。73歳の大谷さんは、僕よりもだいぶ大人なので温かく見守ってくれる感じ。

そして、また大谷さん自身もディレクターなので、何を撮影しようか話し合いながら進むことができました。そもそも大谷さんはK2西陵を世界初登頂したすごい登山家。地図も読めるし、「進めるか否か」の感覚が研ぎ澄まされている。

僕もそうなのですが、大谷さんも日本よりも向こうの方が過ごしやすいんです。2人とも酸素濃度53%と言われても、何ともないんです(笑)。

ちなみに、自分も無人島やアマゾンでしんどいと思ったことはなくて、東京にいる方がしんどいんです(笑)。

――現地を訪れて感じたことは?

最初に訪れたときは秋だったので、大地は全面、茶色。正直、全く面白くなくて、この土地で特番なんか撮れるのかなと思いました。でも、それは思い違いでした。

その茶色の大地が冬は白銀に覆われ、春になると人々が水を引いて大麦の種を植え、真っ黒になるんです。それが夏になると全面、緑になり、やがて実って金色に…。

そのとき初めて「大地ってこんなに変わるんや」って、大地にいとおしさを感じたんです。

「大地で人間は生きている」ということ、そして「ドルポにはこんな生活を送っている人たちがいる」ということを、日本の皆さんに伝えたいと心から思いました。

――本作で最もこだわっていることは?

今回は風景、現場の音、ナレーション、音楽で見せていきたいと思っています。目指すところは“打倒NHKスペシャル”(笑)。ヒマラヤはめちゃくちゃ絶景が広がっているので、150日の間に映像的にはNHKさんを超えたのでは!?と思える瞬間がたくさんあるんです。

僕はテレビで1番大事なのは奥行きだと思っているんです。今はYouTubeも技術的にすごいと思いますが、奥行きがない。テレビの強みは深さ、高さが見せられること。視聴者の皆さんには、ぜひヒマラヤの奥行きを感じていただきたいです。

そして、僕らはリアルなものを真っ正直に撮り続けるしかない。今や部族だって裸じゃない。普通の服を着ていたり、靴も履いていたりする。でも、これがリアルなんです。100%、本物。2020年のヒマラヤ部族のリアルは、これなんです。

――…ということは、ナスDの破天荒ぶりは封印なのでしょうか?

もちろん“笑い”の部分はありますが、破天荒なキャラがヒマラヤでどんなことをしてくれるんだろう…と期待してくれている皆さんの期待はある意味、裏切ってしまうのかもしれません。

でも、その裏切りを超えるものを作らなければならないと思うので、今は日夜編集に没頭していますし、僕のこれまでを超えたものがこの番組にはあります。正直、ディレクター人生の集大成としてすべてを出していますし、恥ずかしくないものを作っているつもりです。

僕はひたすら普通の人間で、いまだにテレビ出演に値する人間だとは思っていませんし、芸人さんにはやっぱりかなわない。だから死ぬほど努力して、誰もやっていないことに挑戦する。

そんな普通の人間でも、命がけで頑張ったら視聴者もちょっとは見てくれる。それを芸人さんたちが見たとき、「俺らはプロなんだからもっと頑張ろう」と思ってさらに努力してくれるんじゃないか。そうしたらテレビはもっと面白くなる、活性化すると信じています。

――視聴者の皆さんにメッセージをお願いします!

僕の今の思いは、「皆さんの代わりにヒマラヤに行ってきましたので、2時間半お付き合い願えませんか?」ということ。「150日間を何とか、ぎゅっと2時間半に詰め込もうとしていますので、一緒に旅してもらえませんか?」と…。

見終わった後、「幸せってなんだろうな」と考えたりすると思いますし、決してむだな時間にはさせないので、ぜひ2時間半お付き合い願いたいです。

■ 大谷映芳氏コメント

私が初めてネパールのドルポを訪れたのは1993年だった。当時の「ニュースステーション」の取材だったが、ヒマラヤの奥深くの辺境の地に住む人々に圧倒された。

それ以来、何度もドルポに足を運んだが、厳しい自然に守られたそこは地球上に残された桃源郷のような気がしてならない。

そのドルポを、あのナスDくんが取材した。5000mの峠を何度も越え、厳冬の村へも分け入り長期間にわたり撮影を敢行した。

初めて訪れたドルポで、彼が独自の感性で何を感じ、どう心を打たれたか? とても興味深い。ヒマラヤのドキュメンタリーとしては久しぶりの、厚みがあり幅のある番組なったに違いない。(ザテレビジョン)