僧侶であり、救命救急医でもある異色の主人公・松本照円を伊藤英明が演じるドラマ「病室で念仏を唱えないでください」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)で、松本の同僚の救命救急医・吉田太郎を演じている谷恭輔、29歳。そうそうたる先輩キャストに囲まれながら、レギュラードラマで初の救命救急医役に挑んでいる。

――「救命救急医」という専門的な職業を演じるにあたり、準備は大変でしたか?

はい。レギュラードラマにここまでしっかりと出演することも初めてだったので撮影前はかなり緊張しましたが、できるだけのことはやろうと思いました。

救命救急の本をしっかり読み込んだり、医療監修してくださっている日本赤十字社医療センターの林(宗博)先生の病院で医療研修を実施してくださり、その際実物の救命救急センターや器具を見せていただけたので最善の準備ができました。それから専門用語は言い慣れないものばかりなので、イントネーションの間違いがないように、現場で林先生に聞くようにしています。

――谷さん演じる吉田太郎は生真面目な救急医ですが、ご自分の中で作り上げている設定などはありますか?

吉田は33歳で、救命救急センターの中でちょうど真ん中ぐらいの年齢なのですが、そこが演じる上でとてもカギになると思っています。僕は29歳なのですが、このぐらいの年ごろというのは仕事をする上で色々なことが分かってくる年齢だと思うんですね。

吉田が抱く理想の救急の中で、これはできる、これはできないということの線引きができてくる。その中で体も心も助けようとする理想の形を信条とする松本先生が身近にいるというのは、とてもいい環境だと感じていると思います。本当は理想を追い求めたいから、他部署から疎まれたり、勤務が過酷でも続けていけるのかな。と思います。

あと、中間管理職の立場として、上の人が言うことも、下の世代が言うことも理解できるので、間に挟まれつつバランスを取っている状態なのかな?とも思います。

■ いじられすぎて、撮影前から疲れている(笑)

――田中役の片寄涼太さんが「A-Studio」(TBS系)に出演された際、伊藤さんが現場で子供のようなことを言う話をされていましたが、それは谷さんに対しても同じですか?

『小学生みたいだ』って、よくぞ言ってくれたと思いました(笑)。伊藤さんはとてもコミュニケーションを取ってくださるので、そこはとてもうれしいのですが、いじられすぎて、撮影前から疲れているときがあるんです(苦笑)。

――どんないじり方をされているんですか?

まず、なかなか名前を呼んでくれないんですよ。僕、劇団KAKUTAに所属しているので最初は「KAKUTAくん」で、最近は役名で「だーよし」と呼ばれています。いまだに本名で呼ばれたことがないので、多分、覚えてもらえていないんだと思います(笑)。ほかにもいろいろいじられるのですが、そんな伊藤さんを中谷(美紀)さんが戒めてくださるんです。まるで三宅先生のように“やめなさいよ。それは失礼じゃないの?”とかって。そうすると伊藤さんは「いや…」とモジモジするので、僕やうらじぬのさんは「そんなひどいことしたら、中谷さんに言いますよ!」と伊藤さんに言っています(笑)。

その一方で、命を救うシーンでは、伊藤さんや中谷さん、萩原(聖人)さんが緊迫感を作り出してくださるので、自然とお芝居に入れています。

――メリハリのある現場なんですね。

はい。でも、このインタビューを読んだら、伊藤さんに『もうおまえのことはいじらない』と言われる気がします(笑)。ただ、そうして居場所を作っていただけたことは、本当にありがたくて…。ドラマにしっかりとレギュラー出演することに気負いを感じていましたが、伊藤さんや中谷さんや萩原さんが受け入れてくださったので、自然と現場にいられているんだなと感じています。

――このドラマは僧医である松本を軸に“心も体も救う”ことをテーマに描かれていますが、第4話(2/7放送)では田中が松本に向かって「どんな患者も救いたいって松本先生の自己満足ですよね?」と言い放つシーンがありました。このシーンを谷さんはどう感じられましたか?

田中の言う通りな部分はあると思いますが、理想としてはどんな患者さんの心も体も救いたいですよね。それに理想を追い求める先生がいないと、医療現場の理想を目指すことはできないと思うので、松本先生の存在は大切だなと思います。

――中盤となる第5話(2/14放送)では、松本が無期限の出勤停止処分を受けることで、救急の人々が新たな窮地に立たされました。

救命救急はいつ人が亡くなるか分からない場所で、今作でもそこがシビアに描かれていますが、そういった局面を描くことで命の大切さや人とのコミュニケーションの大切さを実感させられるドラマになっていると思います。そんな中で、第5話ではこれまでと異なる命の看取り方が描かれるので、凝り固まった心がほぐされる感覚を得ていただけたのではないかと思います。

――最後に、この先、吉田はどうなっていくと思いますか?

もしかすると仏門に入っているかも?(笑) というのは冗談ですが、救急というところは体力的にも本当に大変な場所なので、33歳の吉田にはこの先、救命救急医を続けることが果たして正解なのか迷いが出てくると思うんです。そこをつなぎとめているのは松本先生や三宅先生の存在だと思うので、先生たちの境遇が変わると、吉田の居場所も変わる可能性があるのではないかと思います。

それから、救急のスタッフルームにあるマッサージチェアに「吉田はいつ座れるの?」と友達に聞かれるんですけど(笑)、第5話では松本先生が不在でもダメだったので…今後もそこも楽しみにしていただけると!

たに・きょうすけ=1990年5月9日生まれ、大阪府出身。B型。BSプレミアムドラマ「主婦カツ!」(2018年)や「凪のお暇」(2019年TBS系)にも出演(ザテレビジョン・取材・文=及川静)