“ラジオの中の学校”として、10代を中心に支持を得ているラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」(毎週月〜金曜夜10:00-11:55、TOKYO FM系列)。パーソナリティーを校長、教頭、リスナーを生徒と呼ぶこの番組では、放送開始から15年間、生徒たちの声に校長らが親身に耳を傾けて続けている。

「WEBザテレビジョン」では、この3月をもって10年間務めた校長を退任する“とーやま校長”こと、お笑い芸人・グランジの遠山大輔にインタビューを実施。生徒への向き合い方などについて話を聞いた前編に続き、後編では、生放送ならではのエピソードや、4月から就任するさかた新校長(サンシャイン・坂田光)、こもり新教頭(GENERATIONS from EXILE TRIBE・小森隼)に期待することなどを語ってもらった。

■ 原動力は「今日も笑えたらいいな」

――10年にもわたって平日の生放送を務められてきましたが、その原動力となったものはありますか?

ケラケラ笑いたいというのがあるんですよ。10代の子と喋っているとめちゃめちゃ笑えるので、「今日も笑えたらいいな」と。最近気付いたんですけど、僕、人より笑いやすいらしくて、わりとゲラっぽいんですよ。だから、「今日も笑わせてくれよ」というのが原動力の一つだったかもしれません。

――受け身の姿勢なのですね?

僕がギャンギャン騒いでいる瞬間もたくさんあるんですけど(笑)。電話で喋っているときはなるべく話を聞いて、こいつは面白そうなやつだなと思ったら、そっちに向かっていくみたいな感じで、完全に向こう主導ですね。それが一番楽しいので。

狙ってくるやつもいれば、狙わずに本当に天然で喋っているのが面白いという子もいるし、タイプに分類できないような全員の面白さがあると思うので、そういう生徒にまた会えたらいいなと日々思っていました。

――とーやま校長は、たくさん笑うだけでなく、時には涙を見せるなど、等身大で生徒と接してこられていますよね。

お恥ずかしいですね…。でも、泣いているのは、全部ディレクターがSEで用意してくれているんですよ。

――泣いているような、グズグズした感じのエフェクトを…?

ここで泣いている風を装えば効果的だろうなと、全部で3パターンくらいあるんです。たぶんオーディションのときにとったんじゃないかな?鼻すすりオーディションみたいなものがあって、それでも好成績だったみたいです。…っていうのは冗談ですけど(笑)。

■ 職員からの印象深いサプライズ

――生放送ならではの印象深い出来事を挙げるとすると?

生徒が告白をしてその返事をみんなで待っていて、放送の終わり際に「返事が返ってきました、OKもらいました」となって、みんなでお祝いをして、曲がかかって(番組が)終わることだとか、その逆で、失敗してしまったことだとか。

生放送でスタッフに何かを仕掛けられて、僕が責められる構図ができたとき、聞いている生徒のみんなも僕のことを追い詰める書き込みを(「学校掲示板」に)一気にしてきて、それに僕が応戦して「ふざけんなよ」というので2時間進んでいくこともあって、そういうのは生放送の面白さでもありますね。聞いている子たち自身も番組を作っているという感覚になる日がたくさんあったんじゃないかと思います。

あと、サプライズもたくさんしていただいたんですけど、職員が僕に仕掛けてきたサプライズがあって。一応、放送前に毎回打ち合わせをするんですよ。でも、何の曲がかかるかとかは1曲目くらいしか決まっていなくて、あとはその場その場でディレクターが選曲していくので、それもすごい番組だなと思うんですけど(笑)。

(2011年の)僕の誕生日の5月10日も、打ち合わせが終わって、生放送が始まって、台本にある1曲目にいくんだなと思っていたら、確か曲がかからなくて、「ミス?」とか言っていたら、当時のやしろ教頭(マンボウやしろ)が、「とーやま校長、今日は誕生日じゃないですか。プレゼントが届いていますので」と。

「え!?」と混乱していたら、突然、僕が大好きなThe Birthdayのチバユウスケさんからのメッセージが流れて、僕の知らない間にスタッフさんがチバさんのところに行って、僕の誕生日のためにコメントをとってくれていて、さらに、新曲解禁もしてくれて。こんな粋なことあります?次の月には、生放送で初めてお会いして喋らせていただいたんですけど。その放送音源はCDをもらって、チバさんからのメッセージの部分は切り抜いてもらってウォークマンに入れてるんですよ。

――スタッフの方々からの愛ですね…!

もちろんスタッフは僕のためにやってくれている訳ですけど、喋り手の気持ちがそこで高ぶるじゃないですか。それが結局、聞いているみんなにも伝わっていると思うんです。だから、僕に向けてのものではあるけど、僕は仲介役みたいなもので、全体の空気を上げるためのものでもあったような気がしています。

■ 校長と教頭が両極端にいるのが一番いい

――今後のSCHOOL OF LOCK!について、新校長、新教頭に期待することやアドバイスはありますか?

新校長、新教頭の発表の日に3人で一時間生放送をやって、最後に言ったんですけど、僕が言いたいのはそれだけですね。あのときに言ったのは、教頭先生は全員のことを考えてくれということと、校長先生には1人(目の前の生徒)のことだけを考えてくれということです。

両極端に2人がいるというのが一番いいなと思うので。校長が右に全速力で走っていったときは、教頭は同じ方向に行くんじゃなくて、逆の方向に走って行くのが理想だと思うので。でも、真逆に走って行くって、勇気がいるのでなかなか難しいんですけどね。「合っているのかな」と思うだろうし、まして、始めたてのときなんかめちゃめちゃ怖いと思います。でも、2人同時にスタートというのはすごくいいと思います。

――番組開始以来の2人同時スタートとなりますね。

初代のやましげ校長(山崎樹範)、やしろ教頭以来はなくて、僕は長くやりすぎちゃったので、交代するのであればそれがいいなと思っていました。あとはもう、僕からは何も言うつもりはないです。10年やってきたやつが口うるさくなっちゃったら嫌だなと思って。あくまでも僕は前例なので、新しく始める2人には新しい価値観とかを生み出してほしいじゃないですか。それの足かせになるような気がするので。

やってきたことに誇りはあるけれど、それに対して2人も絶対にやってくれだとかは一切思っていないので、(退任後の)5月とかに聞いていて、偉そうですけど、もっとこうした方がいいんじゃないかなと思うかもしれないですけど、それを言うつもりも全くないし、新しく好きに作っていってほしいということだけですね。

生放送のときに伝えたこと(「全ての生徒と1人の生徒を」)だけは守ってもらって、それだけは開校以来ずっと引き継がれていることだと勝手に自分は思っているので、それさえ守ればあとは何をやってもいいと思っています。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

「ザテレビジョン」で言うことじゃないのは重々承知ですが、やっぱりラジオってすごくいいものだと思います。SCOOL OF LOCK!は特殊で、普通のラジオ番組ではないし、今聞いているみんなもアーティスト講師も女子クラスに通っているみんなも、ラジオなんですけど本当に学校だと思って来てくれている、聞いてくれている子たちが本当にいっぱいいるんですよ。

10代の子たちは、普段通っている学校がリアルなんですけど、そこが楽しい人は楽しいでいいし、そこで楽しさを見いだせない子がもしもいるのであれば、15年間、SCOOL OF LOCK!が続いていて、本当に自分の学校だと思っている子たちがいっぱいいるということは、たぶん本当にそうだと思うんです。だから、こっちに通ってくれたらいいなと。

でも、通えとも思わないんですよね。ここは駆け込み寺でもないし。だから、通うのも通わないのも自由だけども、これだけ長いことなぜあるのかと考えたときに、聞いている子たちのことしか考えていない大人たちがここにはいるので、何にも信じられなくなったら、ここを信じてみてもいいんじゃないかということですかね。(ザテレビジョン)