昭和の名作曲家・古関裕而と妻をモデルに、二人三脚の人生を描く連続テレビ小説「エール」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月〜金曜の振り返り)が東京編に突入した! 音楽家の道を目指す主人公・古山裕一(窪田正孝)と、歌手になる夢を抱くヒロイン・関内音(二階堂ふみ)が互いに結婚の意思を固め、東京での新生活がスタートしている。

この東京編では、多くの新キャラクターが登場し、裕一と音、それぞれが夢への第一歩を踏み出すのが見どころ。裕一がプロの作曲家として最初の壁にぶつかる舞台となる「コロンブスレコード」では、古田新太が演じるディレクター・廿日市(はつかいち)誉や、RADWIMPSの野田洋次郎が演じる新進作曲家・木枯正人ら、個性豊かな面々がそろう。そんななか、ひときわ存在感を放っているのが、廿日市の秘書・杉山あかねを演じる女優・加弥乃だ。

杉山は、昭和初期でありながら、ヒット曲を量産するレコード会社の秘書という人気の仕事に就く、言わば先進的な“職業婦人”。そのうえ、楽譜を見るだけで曲の良し悪しを判断できるほどの音楽的見識も備えている、というキャラクターだ。才色兼備な都会のエリートである彼女が、福島から上京したての新進作曲家である裕一を少々見下しぎみでいなす様を、加弥乃は時にクールに、時にチャーミングに好演している。

2歳から芸能界に入ったという加弥乃は、現在26歳ながらキャリア24年という“若き熟練者”。女優としては映画、テレビ、舞台と幅広く活躍し、映画「W〜二つの顔を持つ女たち〜」(2015年)では主演も務めた。「エール」演出チームの橋爪紳一朗監督は、「窪田さんをはじめ、古田新太さんや野田洋次郎さんといった年上の演者さんを相手に、手のひらで転がすようなところがある杉山を、絶妙の間で演じている」と太鼓判。「ご本人も、現場では自然体で物怖じせず、役としてのたたずまいを最初からつかんでいた」と、演技勘の良さ、俳優としての器の大きさに、今後への期待を寄せる。

加弥乃本人も役同様に洋邦問わずの音楽好きで、妹・朱里乃はシンガー・ソングライターとして活躍する音楽姉妹。まさに適役と思わせる杉山役で“朝ドラ”初出演を果たしたわけだが、「長年の夢がかなって、気持ちが新たに引き締まった」とコメント。「昭和初期の女性を演じるのは初めてだったので、時代背景から理解しようと、当時の職業婦人について調べました。歯に衣着せぬ杉山ですが、当時の女性らしく基本的には上司の一歩後ろに立っていて、意見を求められたら明確にズバッと言う、という点を心掛けました」と、“絶妙の間”の秘密を明かす。

「コロンブスレコード」には、大御所作曲家・小山田耕三も時折顔を出す設定だが、演じているのは、3月29日に新型コロナウィルスへの感染で急逝した志村けん。その出演に関して、先般NHKは「収録したシーンは、そのまま放送させていただく予定です」と発表されたが、加弥乃は志村とも、共演の機会に恵まれたと言う。その話を加弥乃に向けると、「その時のことは今思い出しても…」としばし絶句し涙。「本当に短い場面でしたが、ご挨拶して共演させていただきました。志村さんとの共演で、『エール』は私にとって、より大きな宝物になりました。きっと今後、『エール』以外でもご一緒したい、そうなれるように頑張りたいな、と思っていたところが、かなわなくなってしまったので…」と悔しさをにじませた。

芸へのストイックさからドラマ出演を拒み続けてきたことで知られる志村の「エール」出演は、70歳を機に新たな挑戦として挑んだとも言われている。そんな志村から最後の“エール”を受けた同作、「コロンブスレコード」での人間模様と、いま出演中の加弥乃の入魂の演技は必見だ。(ザテレビジョン)