大谷亮平が主演を務めるWOWOWオリジナルドラマ『異世界居酒屋「のぶ」』が、いよいよ5月15日(金)よりWOWOWプライムにてスタートする。

蝉川夏哉のライトノベルを、品川ヒロシ監督・脚本でドラマ化した本作は、突然異世界の古都・アイテーリアにつながってしまった居酒屋「のぶ」を舞台にした“異世界グルメドラマ”。庶民的な居酒屋メニューを通じて、「のぶ」の店員と異世界の住人たちが人間ドラマを繰り広げていく。

今回、主演の大谷にインタビューを敢行。独特の世界観を持つ本作に対する印象や現場の様子、さらには本作を通して感じ取った意外な思いなどを語ってもらった。

■ 料理シーンは監督にとって「アクションシーン」!?

――最初に本作のオファーを頂いた際、作品に対してどのような印象を受けましたか?

大谷亮平:異世界モノということで、もちろん経験したことのないような非日常的なストーリーなので、読む分には面白いんですけど、これを映像として作っていく上で「どれだけ説得力のあるものにできるのか」という難しさや、多少の不安も最初は抱きました。

――そんな中で、今回の「大将」という役柄を演じられていかがでしたか?

大谷:普段、料理を振る舞うことはあまりないんですが、今回の役は「自分が作ったものを振る舞って、お客さんが笑顔になってくれることが自分の幸せ」という、とても心優しい男です。

演じながら自分もほんわかと温かい気持ちになるところ、ホロッと来るところもありましたし、大将は僕にとって尊敬できるキャラクターです。

――台本には大将の料理シーンについて「ミュージックビデオ風に」といったト書きがありましたが、そのシーンはどのような感じで撮影されていたのでしょうか?

大谷:監督の品川(ヒロシ)さんは、これまでアクションものをたくさん撮られているんですが、今回のドラマはアクションがほぼ無いので、「(これまでの作品における)アクションのように気持ちを込めて大切に撮っていきたいものが、今回は料理なんだ」ということをまず仰っていて。こだわってカッコよく撮りたいということで、いろんなアングルから撮ってくださいました。

MV風のシーンについては、実際に僕がやっている部分もあれば、実は監督にやっていただいた部分もあるんですけど、その時は調理以外のシーンと同じように自信を持って演じました。

表情をいろいろと変えるわけでもなく、アングルだったり撮り方だったり、音楽が入った時に絶対作品のテイストに合ったものに作ってくれると信頼していたので、自分は黙々と普段どおりの演技に集中していました。それを監督がどう味付けしてくれるのか楽しみです。

■ 「店の表口が異世界と繋がった理由とか、考えだしたらキリがない(笑)」

――アクションのような「動」の部分を料理シーンで見せるというのは結構大変だったと思うのですが、演出的に意識されていたのはどのようなところですか?

大谷:大将は中華鍋を派手に振ったりしてパフォーマンスするような料理人でもないですし、あくまで居酒屋の大将として普通にやっていて。その点で言うと、監督は料理の見栄えの方にこだわっていて、並べ方や盛り付けなどをものすごく細かく演出されていました。

セットに並んだ料理を品川さんがチェックして、細かく位置を直したり、終いにはモニターをセットのカウンターのところに持ってきて映りを見たりしながら、いかにおいしそうに見えるかということにかなりこだわっていました。

――異世界モノであるこの作品の「世界観」についてはどのように思われましたか?

大谷:僕は結構現実主義なところがありまして、まず京都に構えるお店の表口が異世界と繋がった理由とか、そういうところをいろいろ考えちゃうんですよね。何でこうなったのか、そこに何の意味があるのか、考えだしたらキリがないんです。

現場でもそういう話は結構していたんですけど、大将や(武田玲奈演じる)しのぶは「なってしまったものは(しょうがない)」と言うか、別にそこに疑問を持たずに当たり前のように営業していて。異世界の住人たちが店にやって来て、ビール一つに感動してという、その世界に二人は馴染んでいるわけですから、役としても馴染むしかなかったんです(笑)。

特に大将は、お客さんが日本人だろうと異世界の人々だろうと喜ばせたいという思いは変わらないですし、演じている僕も「彼らの口に合うものをお届けしたい」という思いでやっていました。

個人の気持ちとして異世界とか、非現実的なものに目を向けていくとあんまりストーリーが進んでいかないので(笑)、「こういうものなんだ」と思って納得して、当たり前のように演じていました。

――居酒屋のセットも非常に精巧に作られていたようですが…。

大谷:すごかったですよ。写真だけでは伝わらないくらい、実際にセットに入ると居心地が良くて。

――中世ヨーロッパ風の格好をした異世界のお客さんたちが和風な居酒屋に入ってきても、意外と馴染むものですか?

大谷:僕もそれがすごく心配でした。とは言え、馴染むも何もお客さんが来ちゃったので(笑)。(お店に異世界の住人たちが)いるっていうことが日常的になった中から物語がスタートしているので、そこを成立させないと。こちらが違和感持っていてもしょうがないですし。

でもやっぱり、中世ヨーロッパ風の格好をしたキャストの方々がキャラクターをしっかり持ってきてくれて、それに沿ったせりふを言ってくださるので、対応する側としても違和感なくやれたと思います。僕はモニターでたまにチェックするくらいしか出来なかったんですけど、むしろ華やかな映像で、その融合が面白かったです。

■ 撮影中に覚えた「おしゃれな料理」とは!?

――今のお話にもありましたが、異世界の住人を演じたキャストの皆さんの演技は間近でご覧になっていていかがでしたか?

大谷:どこの居酒屋に行っても頼めば出てくるような料理の一つ一つに、とても新鮮なリアクションをしてくれるので、改めてこちらも気付かされることが多いというか。

役を通してじゃないですけど、唐揚げ一つとっても和食を知らない人が見て食べると、日本人が忘れていた和食のすばらしさというものを再確認させてもらう感じがありました。なので、そうした食に関する皆さんの演技が印象に残っています。

やっぱり難しいと思うんですよ。普段食べているものを初めて見た感じで演じたり、日本人では考えないような目の付けどころで驚いたりしなきゃいけないので。

そこをすごくリアルにやってくれたので、逆にこちらも気付かされましたし、ドラマをご覧になる方々も、新しい思いで一つ一つの料理を見て楽しめるんじゃないかなと思います。

――しのぶ役の武田玲奈さんとのシーンも多かったと思いますが、現場での武田さんの印象などもお聞かせください。

大谷:はじめはすごくおとなしい方なのかなと思ったんですが、面白いことも好きな方なんだと思いました。普段は比較的静かに過ごされているんですが、「大将がすごく優しくて真面目な男だからこそ、実はこんなこと考えていたら面白いね」なんて話をみんなでしていたら、そういう話にも乗ってくれましたし。

演技の面では、台本のト書きとして書かれていない部分を二人で埋めていくことが多々あったので、そこのコミュニケーションはとても大事で。例えば僕が調理などをやっている時、武田さんにタッパーやボウルを出してもらうとか、そういう動きも引きの画では映ってくるので。

そういったところは、本当に昔から二人で働いているようなリアリティーを出すために、シーンごとに話し合って決めて自分たちで作ってやっていました。なので、武田さんは見た感じも役柄にとても合っていますけど、大将のサポート役としても上手く動いてくれていましたし、パートナーとして一緒にやっていて非常にやりやすかったです。

――毎回さまざまなメニューが登場してきますが、大谷さんから見て「これはおいしそうだった!」というメニューは何でしたか?

大谷:登場する料理は裏で実際に食べさせてもらったんですが、「タコのアヒージョ」というものを作りまして。僕は料理に疎いので、そもそも「アヒージョ」って何なのか、あまりピンと来てなかったんですけど(笑)、出来たてのものを食べたらものすごくおいしくて。

やり方を聞いたら意外と簡単で、「これなら自分でも作れるな」と思って、撮影では僕が実際に作ったものを撮っていたんです。スタッフさんにも配って食べてもらいました。初めて人に振る舞える料理がここで出来たなと思いました。

■ 一歩引いて見るキャストの芝居は「ミュージカルを見ているような感覚(笑)」

――撮影中は“異世界”の中にどっぷり浸かっていたような感じだと思いますが、現実世界との切り替えのようなものはどのようにされていましたか?

大谷:どっぷり浸かっていたのかな? (セットは)居酒屋なので…(笑)。でも、物語の終盤で居酒屋にある問題が生じてしまうんです。

裏口から出れば現代の日本には戻れるんですけど、ここで出来た人間関係だったり、自分の料理を愛してくれる人たちがいるから、大将には「この居酒屋を守らなければ」っていう思いがある。

異世界で自分が得たものだったり、役ですけど、すごく周りに助けられて温かな気持ちになったので、撮影が終わった時は、まるでこれまで夢を見ていたかのような感覚でしたね。

いろんな場所で撮影していたらまた違うんですけど、いつもセット裏でみんな待機してて、呼ばれたらセットに入るみたいな感じで、本当にアルバイトの人が店の裏のたまり場にいるような感覚で。

仕事して裏行ってというような感覚だったので、切り替えというか、ここの世界を終える寂しさはあったし。撮影は2019年の12月30日に終わったんですよ。ちょうど年も変わるということで、「ああ、このセットも最後なんだな〜」って感じでした。

それからこの作品とお別れして現実世界に戻っていったわけですけど、今となっては懐かしい感じです。異世界の住人を演じた皆さんも、今は各々の作品をやられているんでしょうけど、写真を見ると「元気にしてるかな」って感じになりますね。ちょっと夢物語ではありました。

――そうしたいいチーム感も、作品が進む中で育っていった感じはありましたか?

大谷:皆さんそれぞれキャリアのある方たちですが、異世界の衣装を纏うと普段やられている現代モノの役どころと違う感覚だったんじゃないかなっていうのは思います。

本当に役に扮装するような素敵な衣装だったので、皆さんがその役を楽しまれているのを見ていて羨ましくもありましたね。逆に、引きで撮影する時は、何かミュージカルを見ているような感覚にもなりました(笑)。

中にはひげとか付けていてご飯食べたりするのが大変そうな人もいましたけど、わかりやすく変身できるし、なかなか経験できる扮装ではなかったと思うので。みんな気持ちよく、思い切って役に入っていたように思います。

現場の雰囲気はもう「居酒屋」そのものでした。キャストの皆さん以外にも、常連客役の方もたくさんいらっしゃって、結構ワイワイガヤガヤしている時が多かったので。実際に料理もありましたし、本当に居酒屋にいるような感覚でした。(ザテレビジョン)