九州地方のローカル番組ながら、毎週Twitterでトレンドワード入りしている特撮ドラマがあることをご存知だろうか。福岡が舞台の「DOGENGERS(ドゲンジャーズ)」だ。

地上波放送では福岡県などでしか見られない同番組だが、ケーブルTVのほか、ネット配信のTSUTAYA TV、ニコニコチャンネル/ニコニコ生放送などでも配信されている。6月28日(日)に最終回を迎えるが、好評につき最終回当日に1話〜12話まで一挙放送することも発表された(6月28日[日]夜9:30-、ニコニコ生放送)。

ローカル発特撮番組の珍しさはあるが、同番組がなぜ、ローカルの枠を超えた盛り上がりを見せているのか、その人気をひもとく。

■ 実在するヒーローたちの親しみやすさ

4月12日よりKBC(九州朝日放送)でスタートした本作は、福岡では毎週日曜朝10:00から放送。日曜朝といえば、仮面ライダー、スーパー戦隊シリーズが放送される、いわゆる“ニチアサタイム”と呼ばれる時間帯だが、「ドゲンジャーズ」それらに続き放送されている。

そこに登場するのはほとんどが実在するヒーローたち。もともと地元で活躍しているご当地ヒーローの「吹王火剣(ふくおかけん)フクオカリバー」「キタキュウマン」、企業・団体が誇るヒーロー「天元の勇者エルブレイブ」「営業部ヒーロー課ヤマシロン」「薬剤戦師オーガマン」「ヤバイ仮面」、そして番組から生まれた「ルーキー」(正木郁演じる田中次郎が変身したヒーロー)…が集結した作品なのだ。

「吹王火剣フクオカリバー」は、福岡県内でヒーローショーを行っており、二刀流を得意とする正統派ヒーロー。目の形がフクオカの「F」、めんたいこ型の鎧、マントは博多織などの特徴も。「キタキュウマン」は、福岡県北九州市のPR活動を行っているご当地ヒーローだが、体が硬いことなどを理由に戦闘に参加したがらないというキャラクター。SNSでの飯テロも話題に。

「天元の勇者エルブレイブ」は、東京のプロレス団体・BRAVES所属のプロレスラーであり、福岡県中間市を拠点にしているヒーローだ。有限会社八幡建設の職人たちと働く肉体派で熱血タイプ。「営業部ヒーロー課ヤマシロン」は、山代ガス株式会社営業部ヒーロー課所属の3人、レッドロン、アオイロン、ダイダイロンが合体稟議を申請し、稟議が通過して合体した姿だという。佐賀県の会社だが福岡県にも営業所があることから本作へ参加。

「薬剤戦師オーガマン」は、白衣がモチーフのスーツに身を包み、子どもたちに『薬育』を普及するために降臨、ショーの終わりには服薬を管理するための『やくいく手帳』を配布するという、株式会社大賀薬局のヒーロー。パンチ力200t、キック力400tと圧倒的なパワーを持つ彼には、「薬飲んで、寝ろ」という決めぜりふがあるが、Twitterでちょっとした一言だったりQ&A方式で答える形だったりで「〇〇して、寝ろ」や大喜利にも思える言葉が書かれた画像をツイートし、度々バズるなどSNSでのパワーも強い。

さらに悪役の「ヤバイ仮面」は福岡県に実在する、ヒーローショーに特化したイベント会社・株式会社悪の秘密結社の代表取締役社長。

番組開始前から存在しており、Twitterアカウントも持っている彼らは、それぞれの個性を存分に発揮。そんな彼らの親しみやすさもあり、番組は爆発的なスタートダッシュを見せた。

■ 初回平均視聴率3.9%、Twitterトレンド入りで人気を実証

番組平均世帯視聴率(北部九州)は、第1話で3.9%を記録し、第11話までの平均は2.7%。一見高くないように見えるが、近年の仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズも平均ではほぼ3%台ということから考えると、遜色ない数字を記録した。そして放送を見た地元の子供や特撮ファンだけでなく、ネット配信を見た全国の大人にも人気が広がっていった。

4月にはアニメ雑誌「アニメージュ」の表紙も飾り、6月20日にはテーマ曲のCD「なんしよーと?ドゲンジャーズ!」「その名はルーキー!」が発売、初公式本として児童向けのキャラクター図鑑「ドゲンジャーズずかん」が7月18日(土)に発売することも決定しているなど、展開は続く。

Twitterでは「ドゲンジャーズ」が毎週全国トレンド入りするほどの人気ぶりで、作品の知名度もより一層上がっていった。

愛すべきキャラクターたちはもちろん、福岡のローカルネタや、時に映画・アニメ・リアリティー番組などのオマージュとも思える言葉や構成、大人が気になる「稟議」「決算書」「ベンチャー企業」などの会社ネタ、ご当地アイドルとのコラボ、ついツッコミたくなるコミカルなストーリー展開やせりふが散りばめられており、ニコニコ生放送やTwitterで盛り上がりやすい本作だが、映像としてのクオリティーもかなり高い。それは制作陣の顔ぶれを見れば納得だ。

■ 特撮のプロフェッショナルが集結!

本作の監督・荒川史絵は、高校生の時に見た「激走戦隊カーレンジャー」をきっかけに特撮の道に進み、さまざまな仮面ライダーや戦隊シリーズの助監督を務め、2015年に「烈車戦隊トッキュウジャー」のVシネマ作品で監督デビュー、他にも特撮ドラマ「牙狼<GARO>」シリーズや、ドラマ「トクサツガガガ」の特撮パートなどにも関わってきた人物。

「―カーレンジャー」に出演していたスーツアクターの横山一敏、2015年に引退したスーツアクターの押川善文が本作で復帰し、アクションのクオリティーの高さを支えている。声優も数々のスーパー戦隊シリーズに出演経験のある岸祐二(オーガマン役)や関智一(ナレーション)が参加。さらに、押川と「仮面ライダー電王」で共演していた中村優一の友情出演も。

彼らが、これまでに培った特撮での経験を注ぎ込んでいるのだから本家特撮シリーズさながらのクオリティーの高さを大人ファンたちが絶賛しているのも当然だ。最終回が近づくにつれ、第2期を期待しSNSで盛り上げようとする声やグッズ購入で作品を支えたいという声が上がるが、本作の使命の一つに、SDGs(持続可能な開発目標)にまつわるテーマがある。

■ おもちゃ…ではなく「やくいく手帳」を普及

『薬育』を普及するべく降臨した「薬剤戦師オーガマン」が登場する本作では、SDGs第三項目「すべての人に健康と福祉を」における持続可能な社会実現の一環として、おくすり手帳を番組オリジナルの「やくいく手帳」として作成。全国の薬局(オールジャパンドラッグ加盟店をはじめとした希望店舗)へ合計100万部を無償配布している。

薬の飲み残し(残薬問題)の解消と、子供たちが家族の服薬状態をチェックして家族の健康を守るヒーローとなれるようにという願いが込められた作品でもあるのだ。

番組自体の面白さとともに社会的テーマを発信する本作の最終回で、ヒーローたちや制作陣の最後の勇姿を見届けたい。

■ 作品あらすじ

福岡のヒーロー達は地域の平和を守り、大変な人気者だった。

ある日、そんなヒーロー達に新しい番組のオファーが入る。

「HEROHOUSE」だ。ヒーロー達と女性たちが真剣恋愛を求めて能古島の1つの家で過ごすというどこかで見たような企画だったが、ヒーロー達は鼻の下を伸ばして参加していた。

撮影が終わり、船で福岡本島に帰り着いたとき、福岡は(株)悪の秘密結社に侵略され切り、モヒカン達がひしめく修羅の国へと様変わりしていた!焦るヒーロー達と勝ち誇った悪の秘密結社、そこに現れたのは結婚しているのでHEROHOUSEに参加出来なかった最強のオーガマンだった。

怪人を一網打尽にするオーガマンと、善良な市民を能古島に避難させるヒーロー。しかしいつもと様子が違う悪の秘密結社。金色に輝くヤバイ仮面の一撃に、ヒーロー達は散り散りに、オーガマンは一人の青年をかばい、傷を負う。そしてオーガマンはその青年に「ヒーロー」を託す。

東京から出てきたばかりのその青年は福岡のヒーロー達を再び集結させ、悪の秘密結社から福岡を奪還する戦いに身を投じるのだった。(ザテレビジョン)