「仮面ライダーエクゼイド」(2016〜2017年テレビ朝日系)のパラド役で注目を浴び、その後、多くのドラマや映画などにも出演する若手俳優・甲斐翔真。2020年1月には「デスノートTHE MUSICAL」で初のミュージカル出演ながら、主演を務めるなど、さらに活躍の場を広げている。そして、現在公開中の映画「#ハンド全力」では“ハンドボール界の新星”とされる高校生を、映画「君が世界のはじまり」ではサッカー部の主将を務める学年で指折りの人気者を演じている。

ネクストブレーク必至の彼にインタビューすると、役どころにも共通するような“スポーツマン”な一面が見えてきた。

■ タイチは根っからのスポーツ少年で、自分がやりたいことは曲げない人

――「#ハンド全力」で演じられたタイチは、主人公・マサオ(加藤清史郎)の幼なじみで親友という設定です。熊本震災をきっかけにハンドボールをやめたマサオとは対照的に、地元を離れてからもハンドボールに青春を捧げている男の子ですが、彼のことをどう捉えていましたか?

根っからのスポーツ少年で、自分がやりたいことは曲げない人。熊本の震災で廃部に追い込まれてしまったハンドボール部にいたんですけど、それでも彼はハンドボールをやめずに「俺はやりたいからやる」と宣言するんですね。

普通だったら震災で気持ちが落ちるはずなのに、それでもハンドボールをやり続ける精神力はすごいなと思うし、とても強い人なんだと思います。ある意味、マサオを含めた周りの高校生たちよりも少し大人な考えを持っている人なのかなと思いました。

――ご自身も小学生から高校生までの12年間サッカーをやってらっしゃったということで、スポーツの種類は違っても共通するところがあったのではないでしょうか?

父親の影響でサッカーを始めて、小学生の頃は漠然とプロサッカー選手になりたいなと夢を見ている感じはありましたが、本当は高校に入ったらやめようと思っていたんです。

でも、サッカー推薦で高校に行くことになったので、やるしかないなと(笑)。結果的にはやっていてよかったなと思います。スポーツで培える精神力というのは必ずあると思っていて。そういう精神力やものの捉え方、判断力が見についたのは、サッカーをやっていたおかげだと思っています。なので、タイチにもきっとそういうところがあるんだろうなと思うし、そこが僕との共通点かもしれませんね。

――「#ハンド全力」で描かれる高校生たちは、ハンドボールの練習よりもSNSでバズることに全力をかけています。そんな彼らをどう感じてましたか?

高校生らしくバカ騒ぎしている姿は、うらやましいなと思いました。僕の高校時代は、運動部の厳しめのルールに従わないといけないところがあって、あまり下手なことはできないというか…。

だから、余計にマサオたちがうらやましく感じるのかもしれません。たいして面白くないことでも腹を抱えて笑うとか。そういうことって、本当にあの時期だけじゃないですか。大人になると、どうしてもそういう瞬間が少なくなるし、あんな高校生活を過ごしてみたかったです。

■ 岡田は純粋な心を持っていて、良い人過ぎる

――もう1作品の「君が世界のはじまり」では、サッカー部の主将・岡田を演じられました。こちらの方がご自身との共通点が多かったのではないでしょうか?

“サッカー”という意味ではそうですね。でも、岡田は並外れたレベルの好青年なんです。例えば、クラスを分類したときに「目立たない人」「普通の人」「明るいリーダー的存在の人」がいるとしますよね。岡田はその全員と仲良くなれる人。しかも、家から学校まで1時間かけて自転車で通うような超マジメなやつなんですよね。

それこそ下心なんてまるでないし、ほかの登場人物が悩んでいても「こうすればいいじゃん」と言えてしまう人。たぶん、それは彼が愛情をたっぷり受けて育ってきたからだと思うんですけど、悩んでいる人たちからしたら「それはそうなんだけど…」となる。いい意味でも、そうじゃない意味でも、物事の本質を見抜く力がある人だと思います。

――岡田は学校の人気者で、女子生徒たちからも熱い視線を浴びていますが、自分の恋愛には奥手ですね。

恋愛偏差値はかなり低いと思いますよ(笑)。純粋な心を持っていて、ある意味、良い人過ぎるんですよね。そもそも彼は人を好きになることがどういうことなのかをわかっていないと思うんです。そういうところは僕に似ているかも(笑)。

――甲斐さんも相当モテたと思いますが…。

サッカー一筋という感じでサッカーに明け暮れていたので…。でも、今思うと、高校時代の3年間って、宝のような時間だと思うんです。何か、もったいないことをしたなと思います(笑)。

■ 学生時代はサッカーの練習が嫌いだったんです

――「君がこの世界のはじまり」では10代特有の悩みを持った高校生たちの姿が描かれます。彼らが抱える“心の痛み”みたいなものを感じたことはありましたか?

これもサッカーの話になってしまうのですが、スポーツの世界は、レギュラー争いもあったし、こいつには負けたくないと思ったこともありましたが、結局は自分との戦いだと思います。自分で絶対にできると思っていたことができなときが一番キツイというか。それは今、この世界でも続いていて、「やれないことをなくす」にはどうしたらいいのかをいつも考えています。

――まさにスポーツマンシップという感じですね。

でも、サッカーやっていたときは、大会は大好きだったんですが、練習が嫌いだったんです。もちろん、今は大会で全力を出すためには練習が大切だということをわかっています。なので、今は台本をもらったら、できる限り台本を読み解き、物語や役に対する解釈を深めるようにしています。そうすれば悔しい思いをしなくてすむんじゃないかと思うので、そこは心掛けています。

ただ、僕は悔しい思いはマイナスではないと思うんです。人は痛みを感じながら強くなっていくものだと思うので、そういう経験も必要なのかなと思います。

――11月には舞台「RENT」への出演も決まっています。舞台と映像作品ではどちらが楽しいというのはありますか?

似ているように見えますが、やることはまったく違うので、どちらも楽しいです。それこそ舞台は練習すればするほど本番が楽しくなるので、そういうところは好きですね。

――今後、演じてみたい役はありますか?

僕は音楽が好きなので、音楽系の作品をやれたら最高ですね。昔から「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(2013年)という作品が好きで、あれの男女逆バージョンというか、男の子が歌うような作品があれば、ぜひ挑戦してみたいです。

■ 「#ハンド全力」あらすじ

廃部寸前の男子ハンドボール部をSNSを使って再建させようと奔走する男子高校生の姿を描く青春ドラマ。熊本地震で家を奪われ、今も仮設住宅で暮らす高校生のマサオ(加藤)。無為な日々を送る中、かつて熱中していたハンドボールの写真をSNSに投稿したところ、応援コメントが殺到。舞い上がったマサオは幼なじみの岡本(醍醐虎汰朗)と「#ハンド全力」というハッシュタグで次々に投稿を続け、復興の盛り上げ役となり、さらにフォロワーを増やそうと廃部寸前だった男子ハンドボール部に入部する。

■ 「君は世界のはじまり」あらすじ

小説家でもある監督のふくだももこが、自身の小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」の2 作を基に描いた青春映画。線路脇に大きなタンクのある町に暮らすえん(松本穂香)は、何でもない高校生活を送っていた。そんなある日、深夜の住宅街で中年男性が殺される。(ザテレビジョン・取材・文=馬場英美)