深田恭子が扮する泥棒一家の娘・華と、瀬戸康史が演じる警察一家の息子・和馬の禁断の恋を描くコメディ「ルパンの娘」(フジテレビ系)。2019年夏クールにオンエアされて人気を博した本作の続編が、10月15日からスタートする。そんな個性的なキャラクターが数多くした登場した前作で、視聴者により強いインパクトを与えた、世界を股にかける泥棒・円城寺輝(えんじょうじあきら)が、今作ももちろん登場。そんな円城寺を演じる大貫勇輔に、作品や俳優業への想いを聞いた。

ーー突然歌って踊りだすキテレツなキャラクターの円城寺輝は、SNSでも大きな話題になりましたね。

円城寺は原作には登場しない、ドラマオリジナルのキャラクターなんです。スタッフの方々が、「炎上して欲しい」という願いを込めて、円城寺という名前をつけて作ってくださったんです。監督が円城寺という役をとても愛して、遊び心たっぷりに演出してくださいました。おかげさまでいい形で炎上して(笑)、また円城寺として続編に参加できることを嬉しく思っています。

ーーうれしかった言葉や反響は?

子供たちから「あ! 円城寺だ!」と声を掛けられたり、知り合いからは「うちの子が円城寺の場面ばかり何回も見るんだよ」「円城寺の歌を歌ってる」と言われたりしました。子供たちに響くのは純粋にうれしいですね。

ーー円城寺のダンスのシーンは、どのようにして作っているのでしょうか?

台本を読んで振り付けを何となく雰囲気で考えて、現場でプロデューサー、監督、カメラマンさんに「こんなことをやろうと思っています」と、見ていただくんです。監督の「それいいね」「もうちょっと足して」「ちょっとやりすぎだね」という反応を受けて、「じゃあこんな感じで……」と動きを作っていきます。前作もそうでしたが、現場で30分くらいかけて「一緒に作る感」がすごく楽しいんです。

ーー特に思い出に残っているシーンを挙げるなら?

前作ですと第5話で、レーザーを避けるシーンです。スタッフの方々全員と息を合わせないとOKテイクにならないシーンだったので、なかなか大変でした。1回でもレーザーが僕に当たってしまうと、カットが掛かってやり直し。かなり時間を掛けた撮影だったため、とてもやりがいがありました。

ーー続編ではどんな円城寺の姿を見せてもらえますか?

監督もいろいろ考えてくださっているみたいで、新しいものも存分にお見せできると思います。第1話ではさっそく見せ場があるので期待していてください!

ーー華との関係はどうなりそうでしょうか?

前作では華に好意を寄せていましたが、今回は妖精というか、サポートする存在というか。ただ、僕もまだ分からない部分があるので台本をいただくたびにワクワクしながら読んでいます(笑)。撮影現場はとても楽しいです。真剣にふざけていますし、達成感もものすごくあります。円城寺をやるとアドレナリンが出るのか、その夜、寝付きが悪いです(笑)。

ーー大泥棒の円城寺にちなんで、大貫さんが「あの人のこれを盗みたい」と思うものを教えてください。

華の父親を演じてらっしゃる渡部篤郎さんの、現場での佇まいや雰囲気を盗みたいです。ちょっと眉間にしわを寄せた表情が渋くて、手の仕草や居住まいがスマート。自分もいつか渡部さんのような雰囲気のある俳優さんになりたいです。

ーー以前、ドラマ「グランメゾン東京」(2019年、TBS系)で共演された木村拓哉さんのファンだそうですが、いつ頃からですか?

「HERO」(2001年ほか)「プライド」(2004年、ともにフジテレビ系)「GOOD LUCK!!」(2003年、TBS系)あたりからです。木村さんのファッションはもちろん、香水、喋り方、仕草も真似をしました。学生時代に仲の良かった友達グループは、みんな「HERO」で木村さんが着ていた茶色のダウンジャケットを着て、木村さんと同じ香りを漂わせていました(笑)。

ーー木村さんとの共演や、「グランメゾン東京」への出演で得たものは?

たくさんあります。映像で見ていた木村さんの仕草やお芝居の仕方を間近で生で見たときに「格好いい!」と本当に興奮しました。塩を振る仕草ひとつでも、カメラに対する角度が緻密に計算されていて。素晴らしい経験をさせていただきました。

僕が演じた柿谷光は裏切り者で、知り合いのシェフの方々からの反響もすごく大きくて! 「お前、ちゃんとウニ出せよ」「うちで雇ってやるからちゃんと修行しろよ」「まともに魚も焼けないのか」といったメッセージをたくさんいただいて、飲食店の方々から可愛がられるようになりました(笑)。趣味が食事なので、シェフの方たちとの繋がりが深くなって、すごく嬉しかったです。

ーーキャリアの始まりはダンサーでしたが、近年は俳優のお仕事が定期的に続いています。ダンサーと俳優の仕事は大貫さんの中でどのように共存していますか?

5年前にストレートプレイが2本続いたときに、「お芝居にどっぷり浸かってみよう」と思い、8カ月間ダンスを完全に止めてみたんです。その後、ダンス公演のために、ダンサーの体に戻すのに3カ月かかってしまった。そのときに、やっぱりダンスは手放しちゃいけないし、自分の強みはダンサーであることだと気づいて、ダンスとお芝居の両立を考えるようになりました。そこから「大貫勇輔ならではの芝居とはなんだろう?」と考えながらお芝居をしています。ドラマの現場はモニターでチェックができるので、自分がイメージしたお芝居になっているのかを客観的に見るようにしています。自分で「できた!」と思ったときにイメージ通りなのか、違う映り方になっているのか、確認する作業がすごく面白いです。

ーーダンスを休んで良かったと思いますか?

そう思います。僕は身体で物事を考えるタイプなので、台詞を言うときにいろんな体勢で言ってみるんですね。そうすると、しっくりくる身体のポジションというのが見つかるんです。7年前に初めて映像のお芝居をさせていただいたときに、「声をもうちょっと小さく」「姿勢をもうちょっと悪く」と言われたんですよ。「ナチュラルな芝居」を求められて、舞台と映像では肉体のあり方みたいなものが違うことに初めて気づいて、人間の生理的な運動を自分の中に落とし込んでいきながら、役の身体のポジションを見つけるようになりました。「グランメゾン東京」の柿谷であれば、何か考えているものがありながら嘘をついている感じの身体のポジションを見つけてみたり、円城寺だったら日常的ではない動きをしてみたり。

ーー円城寺の正解にたどり着くまでには試行錯誤がありましたか?

7年前のダメ出しとは逆に、「ナチュラルな芝居をしないでくれ」「ミュージカルっぽくしてくれ」と言われましたが、舞台ではなく映像なので、ナチュラルとミュージカルの間を探りました。「イスタンブールから舞い戻ってきた円城寺輝です」という台詞を言うキャラクターに、「いるかもなぁ」という説得力を持たせる作業には時間がかかりましたが、及川光博さんや宮尾俊太郎さんのような貴公子感や王子感の佇まいがある方のテンションや声のトーン、表情をイメージして、いろんな方法を試しながら台本を読んでいきました。

ーー現在は、「ルパンの娘」と並行してミュージカル「ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜」の再演中です。

自粛期間が明けて、生でスタッフやキャストとものづくりをするライブ感や、稽古ができる喜びを実感しています。僕はお客さんと直に会話やエネルギーの交換ができる本番も好きですが、稽古の時間が本当に幸せですし、映像でもリハーサルとドライの時間がものすごく好きです。煮詰めていくときのピリピリした空気に興奮するし、そこに面白さを感じています。リハや本番に向けて、いろんなお芝居を見て、台本を読み解いて、ダンサーとして体を整えて、発声練習をして、歌のレッスンをして…と、準備をどれだけできるのか。自粛期間を経て、すべてのことが楽しいので、求められたものを返せるように、一つ一つのことに真摯にぶつかっていきたいです。

ーー大貫さんが所属する事務所では、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」を主催していますが、第44回となる今年は「未来のキング&クイーンを探せ!」を掲げ、「ミュージカル次世代スターオーディション」を開催中ですね。

はい。僕も何度もオーディションに落ちてきましたが、そこで得たものがたくさんあります。何もしないよりも挑戦して失敗したほうが経験になるし、もしも成功したら世界が広がります。自分の人生経験のためにも、エンターテインメント界のためにも、ぜひ勇気を出して応募してほしいです。そして、世の中に必要なエンターテイメントを盛り上げていけたらなと強く思います。(ザテレビジョン・取材・文=須永貴子)