話題沸騰の“ノルウェーの新星” 最大の武器は

水沼貴史です。日本代表のFW南野拓実がリヴァプール、そして2012年からサウサンプトンでプレイしていたDF吉田麻也がサンプドリアへ渡ったことなどが話題となったこの冬の欧州主要リーグの移籍マーケットですが、この他にも強豪クラブによる興味深い補強がありましたね。


そこで今回は、この冬に欧州のメガクラブへ渡った面々のなかから、皆さんにご注目頂きたい選手を私なりにピックアップしました。彼らが移籍先のクラブにどんなプラスアルファをもたらしているか、若しくはもたらしそうかについてお話しします。

まず紹介したいのは、昨年末まで南野と同じくRBザルツブルクに在籍し、今年1月にドルトムントへ移籍したFWアーリング・ハーランド(19歳/ノルウェー代表)です。ブンデスリーガ第18節のアウクスブルク戦では途中出場からチームを逆転勝利に導くハットトリック、19節のケルン戦と20節のウニオン・ベルリン戦でもそれぞれ2ゴールと、ドルトムントの一員として衝撃的なデビューを飾った彼。左足での強烈なシュートや圧倒的なスピードなど、彼の魅力はたくさんありますが、なかでもオフ・ザ・ボールの動きは絶品ですね。

U・ベルリン戦の前半18分のゴールシーンをぜひ見て頂きたいのですが、ユリアン・ブラントが右サイドからクロスを入れる直前、ペナルティエリア内にいたハーランドが相手DFマルヴィン・フリードリッヒの目の前から突如彼の背後に回り込み、ワンタッチシュートを打ってみせました。サイドからのクロスやスルーパスが出てくる瞬間に相手DFの背中に隠れ、そこから最終ラインの背後に抜け出すのが抜群にうまいなと感じましたし、これが彼の最大の持ち味であると私は思います。これからドルトムントの試合をご覧になる際は、前線にパスが送られる直前に彼がいかに相手DFの死角に入り、優位なポジションをとっているかにご注目頂きたいですね。彼の駆け引きの上手さが分かると思います。

2018年にルシアン・ファブレ監督が就任してからというもの、“高さ、強さ、速さ”の三拍子揃ったセンターFWがいなかったドルトムント。この冬にビジャレアルへ移籍したパコ・アルカセルは圧倒的なスピードの持ち主ではありませんでしたし、マルコ・ロイスやマリオ・ゲッツェは屈強なゴールゲッターというよりも、相手最終ラインと中盤の間へ下りてパスを散らす“偽9番”タイプのFWです。ハーランドが最前線にどっしり構えるようになってから、サイドからのクロスや最前線へのシンプルなスルーパスが得点に結びつきやすくなったような気がします。今シーズンも出ずっぱりだったロイスへの負担を軽減するという意味でも、ハーランドの獲得はドルトムントにとって有効な補強と言えるでしょう。1月末にユヴェントスからのローン移籍で加わったMFエムレ・チャン(26歳/ドイツ代表)のプレイも楽しみですね。ジェイドン・サンチョやトルガン・アザールといった強力なサイドアタッカーを擁する一方で、彼らが前がかりになることで生まれる中盤のスペースを相手に使われるのが難点のドルトムントですが、アクセル・ヴィツェルが中盤の底のスペースを埋めつつ、チャンがボールホルダーにアプローチして相手の攻撃を止めるという戦い方ができれば、今シーズン失点が多い彼らの守備がもう少し安定する気がします。攻守両面でテコ入れを行ったドルトムントが、シーズン終盤までブンデスリーガの優勝争いに踏みとどまれるかに注目していきたいです。