<水辺の風景 2017 夏 かわさき>早野聖地公園 池広がる里山守る

<水辺の風景 2017 夏 かわさき>早野聖地公園 池広がる里山守る

◆ボランティアが間伐や下草刈り

 ため池のほとりから虫やカエルの鳴き声が、クヌギ林の奥から鳥のさえずりが聞こえた。川崎市営の霊園がある早野聖地公園(川崎市麻生区早野)の一角では、ボランティアが森林に手を入れ、昔ながらの里山の環境を守っている。間伐した木を炭にして水質浄化などに利用したり、近所の小学生に植樹してもらったりして、自然の循環の大切さを伝えている。

 「池と田んぼがあって、雑木林がある。失われつつある里山の原風景です」。一九九九年からボランティアを続ける小泉清さん(69)=麻生区=が話した。

 小泉さんによると、周辺では一九六〇年ごろまで、夏に農業、冬には炭焼きという里山の農家の営みが続いてきたという。

 木を植えて育てながら、切り出した木材を利用する。地面に日が差し込むように間伐することで、高さが違う多様な植物が育つ。森林には人の手を入れることが欠かせない。

 区は、次世代に受け継いでいきたい魅力があるとして、公園を含む早野地区全体を「ふるさと麻生八景」の一つに指定。七つのため池が点在する三〇・五ヘクタールの公園のうち、小泉さんたち約七十人のボランティアが保全するのは約五・五ヘクタール。

 拠点にするのは炭焼き小屋。水道も電気も通っていないが、谷戸からしみ出した水を、焼いた炭と砂利でろ過して利用する。

 ボランティアの仕事は、間伐と炭焼きだけではない。遊歩道の下草を刈ったり木材で階段を付けたりするほか、小さな田んぼでもち米を育てたり、キノコの栽培も。四十〜八十代の男女がそれぞれの得意分野を生かして、楽しみながら活動している。

 七月下旬、記者は公園内の遊歩道を小泉さんと歩いた。人の手が入っているおかげで、思った以上に歩きやすい。木漏れ日が適度に差し込んで見通しも良く、軽い散歩にちょうど良さそうだ。ため池が安全管理のためにフェンスで囲まれているのが少し残念だが、ほとりにたたずんで虫や鳥、カエルの声に耳を傾け、夏らしさを満喫できた。

 クヌギの木には、樹液を求めてカナブンが集まっていた。カブトムシやクワガタもいそうだが…。「子どもたちが捕っていったのかも」と小泉さん。

 地元の小学生は、小泉さんたちがわき水で育てたクヌギの苗を、卒業記念に毎年植樹している。中学生になっても木の様子を見に来る子がいるそうだ。小泉さんは「自分の成長とともに、植えた木も育っていく。地元に愛着を持ってもらうきっかけになれば」と、いとおしそうに林に目をやった。 (大平樹)

 ◇ 

 公園の住所は、麻生区早野七三二。東急田園都市線あざみ野駅か小田急線新百合ケ丘駅から「虹が丘小学校」バス停下車。里山保全エリアは園内の西側にあり、公園事務所から西へ徒歩約五分。

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