<ひと ゆめ みらい> 「シモキタボイス」実行委員長・河野義家さん

<ひと ゆめ みらい> 「シモキタボイス」実行委員長・河野義家さん

 世田谷区下北沢地区の住民らが「シモキタ」の街づくりを考える「SHIMOKITA VOICE(シモキタボイス)」の実行委員長に二〇一六年、就任した。本業は「六弦詩人義家」と名乗り、自作の詩をギターサウンドに乗せて披露するミュージシャンだ。

 千葉県鎌ケ谷市生まれ。クラシック好きの母親の影響で幼少から音楽に親しんだ。音楽バンドブームが盛況だった小学生の時にヘビーメタルやハードロックに開眼、エレキギターを手に音楽の道へ。その後も音楽制作に明け暮れた。

 大学を卒業して間もなく、作家でラジオDJのロバート・ハリスさんとの出会いが、自身の方向を決定付けた。通り掛かった渋谷の街でパーカッションの演奏をバックに詩を朗読する姿に衝撃を受けたのだ。

 「歌を歌うわけではないのに、詩として発せられる言葉の一つ一つに心が揺さぶられた」。ポエトリー・リーディングと呼ばれる表現方法を音楽活動に取り入れることを決めた。

 活動の拠点とする下北沢の街を訪れたのは、十五歳。街を歩いて目にしたのは、レコードショップやライブハウス、おしゃれな洋服屋…。個性があふれていた。「他の街にはない文化的な臭いがした。これほど自分にしっくりくる街はない。いつか絶対、この街に住むぞって決めたんです」

 一一年、結婚を機に念願の下北沢での生活をスタートさせた。その前年に、友人の呼び掛けでシモキタボイスに参加するようになったが、「住んでみて初めて駅前の再開発問題などシモキタが抱える問題を知った」。それまで何度も通ってきた街なのに、現状は何も分かっていなかった。

 街の景観を守りたい住民らが起こしたシモキタの再開発を巡る訴訟は昨年春、東京地裁が示した和解案を住民が受け入れ、被告の国と都も同意して終結。一方で、駅前のトタン屋根の食品市場は今秋更地になることが決まり、シモキタを象徴していた光景は少しずつ消えつつある。

 「長年積み重ねてきた街の文化は一度変わってしまうと、取り戻せない。自分が初めてシモキタを訪れたときのときめきや感動は壊したくないから、この街に関わってきた人たちの文化を受け継ぎ、新たな感覚をシモキタボイスに取り入れていきたい」 

  (神野光伸)

<シモキタボイス> 下北沢地区の再開発計画に反対する地元住民らが2007年にスタート。毎年、音楽ライブなどを通じて再開発のあり方を訴えてきた。今年は、再開発を巡る地元住民の動きを追ったドキュメンタリー映画「下北沢で生きる」の再編集版の上映も計画している。

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