朝鮮人追悼碑訴訟判決 「表現の自由」で疑問残る判決

<解説> 今回の判決は、政治的行事を規制した朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑の設置条件と、設置更新の不許可処分がそれぞれ「表現の自由を侵害する」という、市民団体側の主張を認めなかった点で疑問が残る判決だ。

 判決では、「公園が政治目的に利用された場合、異なる意見、考え方を持つ者などが自由に利用することが困難になることも想定される」との趣旨の指摘をして、設置条件の合理性を認めた。

 しかし、仮に市民団体が政治的な発言をしたとしても、違う意見を持つ市民もそれを許した上で、お互い自由に意見を交わすことこそが、民主主義の根幹を支える表現の自由なのではないか。

 追悼碑を巡っては、碑と同じ公園内にある県立近代美術館の企画展で昨春、県内の美術家が碑をモチーフにした作品を出品したが、県が係争中を理由に開催直前に美術家に撤去させた。この際にも「表現の自由」に絡んで議論が起きた。今回の判決により、県が今後の県政運営で「表現の自由」に対してより厳しい姿勢を示すことが懸念される。

 追悼碑の問題では、県は碑文の中に市民団体が主張した「強制連行」との言葉を認めなかった経緯がある。碑文の内容に不服な一部の保守団体は碑の撤去を求めている。しかし、県内では、大戦中に労務動員した旧ハザマが社史で自ら、朝鮮人を「強制連行」したと史実を認めている。

 今回の判決は「強制連行」という言葉には歴史的に踏み込んだ判断は示していない。ただ、碑を巡る一連の動きにより、日本とアジア諸国との間で起きた戦前の不幸な史実に正面から向き合い、次世代へ誠実に伝える姿勢も同時に問われている。 (菅原洋)

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