<東京人>没後70年 太宰治 チャーミングな側面に光

<東京人>没後70年 太宰治 チャーミングな側面に光

 二〇〇八年の没後六十年、〇九年の生誕百年をきっかけに、近年、太宰治は新たな読者を獲得しています。特に生誕百年にあたる〇九年、親族である津島克正さんおよび津島家の協力のもと始まった「太宰治検定」は、幅広い年齢の太宰ファンを試験会場に向かわせました。

 近年の太宰リバイバルにおいては、従来のイメージされていたような暗くじめじめした側面とは異なり、どこか憎めないチャーミングな側面が発見されているようです。これまで太宰は、政治運動の挫折、苦悩、心中といった、ショッキングで破滅的な、ゆえに魅力的な「太宰神話」とともに語られてきました。しかし太宰作品には、苦しく切実な場面でふと見せる愛らしい表情やユーモラスなサービス精神があります。

 マジでいるときほど、そのマジさを滑稽に思ってしまうような感覚。あるいは、きわめてマジな態度でふざけているような感覚。このような太宰の愛らしい魅力を引き出した人として、ピースの又吉直樹さんを挙げることができるでしょう。芥川賞作家でもある又吉さんは、二〇〇九年の桜桃忌(六月十九日)以来、「太宰治ナイト」を主催し、太宰についておもしろおかしく話したり、太宰作品をモチーフにしたコントを披露したりと、太宰のユーモラスな側面に光を当てています。

 暗い太宰治から明るい太宰治へ。破滅型の無頼派として知られていた太宰治は、現在、そのチャーミングさが再発見されているのです。 (矢野利裕)      ◇

 「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」をキャッチコピーに掲げる月刊誌「東京人」の編集部が、7月号の記事をもとに都内各地の情報をお届けします。問い合わせは、「東京人」編集部=電03(3237)1790(平日)=へ。


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