「アリの街のマリア」賛美歌で追悼 戦後の隅田公園で奉仕 北原怜子さん

「アリの街のマリア」賛美歌で追悼 戦後の隅田公園で奉仕 北原怜子さん

 戦後の一時期、生活共同体「アリの街」があった隅田川西岸の隅田公園(台東区浅草7)で23日、街で生活し、奉仕の精神で「アリの街のマリア」と称された北原怜子(さとこ)さん(1929〜58年)の生誕90年追悼式が催された。地域の有志らによる「アリの街実行委員会」(北畠啓行(ひろゆき)代表)が主催。参加者は怜子さんが好きだった賛美歌を斉唱するなどして、在りし日の姿に思いをめぐらせた。(井上幸一)

 言問橋の北側に、戦災で家族や家を失った人たちが身を寄せたのがアリの街。廃品回収を生業に、アリのように勤勉に働き、助け合って生活していた。

 怜子さんは、ポーランド人のゼノ修道士(一八九一〜一九八二年)とともに街の人のために働き、結核を患い二十八歳で病死した。

 その献身は一九五八年に「蟻(あり)の街のマリア」として映画(松竹、千之赫(かく)子主演)となり、舞台化もされている。

 二十三日は怜子さんの命日で、式では地域の人や教会のシスターら約二十人が公園に置いた写真に献花。晩年のゼノさんと練馬区で共に生活した聖母の騎士修道院(長崎市)の神父、水浦征男(いくお)さん(77)も駆け付け、「怜子さんは、カトリック教会で聖人に一番近い『尊者』の称号を与えられた唯一の日本人女性。地元の方が存在に気付かれ、大きな仕事をされている」とあいさつした。

 この日、「戦後の平和の原点が、アリの街にある」と、記録作家の石飛仁(いしとびじん)さん(76)が訴え、参加者らはゼノさんや怜子さんの情報発信の継続を確認。公園へのプレート設置を区に働き掛けたり、ローマ法王来日の際に関係者に訪れてもらえるよう模索したりするという。

 今年の計画では、四月に台東区内でアリの街の資料展を開催予定。五月には区内で、ゼノさんに関する講演会も計画している。昨年は怜子さんを主人公にした舞台公演を行ったが、今年はゼノさんに焦点を当てた「風の使者ゼノ」を七月に北とぴあ(北区)で上演予定。

 再び脚本を担い、出演もする岩浦さちさん(28)は「日本とポーランドの国交樹立百周年記念の舞台。幅広い層に見ていただきたい」と、今から意欲を示している。 


関連ニュースをもっと見る

スゴ得でもっと読む

スゴ得とは?

関連記事

東京新聞の他の記事もみる

関東甲信越の主要なニュース

東京 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

地域 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

地域選択

記事検索