<ひと ゆめ みらい>SL 解体から修復の動輪 東村山D51684保存会長・石井知之さん(45)

<ひと ゆめ みらい>SL 解体から修復の動輪 東村山D51684保存会長・石井知之さん(45)

 東村山市の東部にある市運動公園(恩多町)の一角に、一両の蒸気機関車(SL)が展示されている。形式は「D51684」。長年、風雨にさらされた表面は、さびてぼろぼろになり、形式を示す正面のプレートは外れたままだ。

 解体の危機にひんしているSLを守ろうと、地元住民ら約四十人が六月、市民団体「東村山D51684(でごいちろくはちよん)保存会」を結成し、署名活動に取り組んできた。「全国から寄せられる『頑張れ』の声が励み。クラウドファンディングなども活用し、残せる方法を探りたい」

 このSLは一九七六年に引退し、国鉄(現JR東日本)が市に貸与。当時の市の広報紙は一面のトップ記事で「SL(D51)がやって来る」との見出しを付けて伝えている。石井さんは「当初は周囲に柵はなく、運転席に座ることもできた。子どもたちに大人気だった」と話す。

 だが、過去に行われた修復は三回のみで、九六年にペンキを塗り替えたのを最後に放置されていた。市が専門家に依頼して五月に実施した調査で、地震による倒壊の危険性やアスベスト(石綿)の露出が指摘され、市は解体を決めた。これを受けて市民有志が声を上げた。

 自身は生粋の鉄道ファン。SLは全国で約五百両が展示されているが、メンテナンスの大変さや各地の保存会員の高齢化など課題も知っていた。「他の人たちには『感情だけでは残せない』と保存の厳しさを伝えるつもりだった」。だが、会合を重ねるうちに地元の人たちの熱意に動かされ、会長に就任した。

 約二カ月間で全国から寄せられた署名は約二千二百人分。七月には、JR西日本が山口線で運行する「SLやまぐち号」の乗客全員百九十一人が署名してくれた。それを知ったとき、涙があふれた。支援の輪は、さらに広がりつつある。

 山口県山陽小野田市や埼玉県熊谷市などで、解体の危機にあったSLを復活させた例がある。会が目指すのは、こうした市民ボランティアの協力による再生だ。市は修復に一億二千三百万円、解体に二千万円かかるとしているが、西武鉄道の車両を活用した地元の「くめがわ電車図書館」の修復に携わった経験から「市民が力を合わせれば、SLも数十万円単位で修復できるのでは」と期待する。「必要なのは、まず解体を止めること。かつての雄姿をもう一度見てみたい」と前を向いた。 (服部展和)

<D51684> 車両は1942年製造。戦時中の所属は不明だが、46年に大阪の吹田、55年に兵庫の姫路、67年に秋田の各機関区で運行。76年3月に根室本線(北海道)での運行を最後に引退。保存運動の問い合わせは東村山D51684保存会事務局の岩間弘さん=電090(8332)2904=へ。


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