「市民全員がスクラムを組んで災害に立ち向かう」を合言葉に、自主防災組織の設立を促して災害に強い地域をつくろうと、小山市で「自主防災組織設立支援講演会」が開かれた。防災と街づくりが専門の山口大大学院准教授、滝本浩一さんが自主防災組織を「劇団」に例えるなどして活動や役割を分かりやすく解説した。 (小川直人)

 市危機管理課によると、市内で活動している自主防災組織は五十団体。世帯のカバー率は58・5%。九日にあった講演会には、自主防災組織がない自治会の役員や、既に活動している防災組織のリーダーら七十人が参加した。

 滝本さんは「自主防災組織がない地域。すぐに作りましょう」と切り出した。その上で「劇団に例えるとイメージしやすい」と、説明を始めた。

 劇団が演じる「舞台」は地域の特徴やその地域に潜む災害。災害前後にする活動を「配役」として役割分担し、「台本」で避難の流れなどを具体的に検討する。「稽古」は訓練だ。

 多くの自主防災組織が、避難誘導や初期消火など発災後の対応に力点が置かれていると、滝本さんは指摘。地域をよく知るための防災マップづくりや、住宅の家具の転倒防止など「予防や被害抑止に努め、災害のリスクを下げておくことが重要だ」と訴えた。

 さらに「市民は日々の忙しさからなかなか災害への備えができない」として「コミュニティーの力でそれを働き掛けるのが自主防災組織の役割だ」と、重要性を強調した。

 滝本さんの話を聞き、組織がない自治会役員の山下統久さん(73)は「避難所まで距離がある。経路や危険な場所など地域の点検から始めたい」。防災組織は発足二年目という星野平吉さん(68)は「発災後の対応に目が向いていた。参考になった」と話した。

 講演会は、県の自主防災組織設立支援事業を活用して県内で初めて開かれた。市危機管理課の永山武志課長は「昨年の台風19号では自主避難する市民も多く、防災への関心は高まっている」として「避難などで重要な役割を果たす自主防災組織を、より多くの地域で立ち上げてほしい」と期待した。