<解説> 「誰もがいきいきと活躍できる」「日本の発展をけん引し、世界で輝く」。小池知事の一期目を締めくくる予算案の発表資料には、華々しいうたい文句がいくつも並び、夏の知事選をにらんだアピールにも映る。

 現実に目を向ければ、楽観はできない。都の六十五歳以上人口は昨年九月時点で三百九万人(高齢化率23・3%)。二〇四〇年の推計は三百七十八万人(同27・8%)とされ、民生費が右肩上がりで増えることは確実な状況だ。

 都の財政収支見通しでは、三二年度に赤字に転落し、四〇年度には千三百億円のマイナスになる。都は基金の取り崩しで対応可能としているが、赤字が慢性化すれば、基金はいずれ底を尽く。

 今は、堅調な景気を背景に高水準の都税収入を維持している。だが、国による税の偏在是正措置で、二〇年度だけでも約八千億円以上の税収を失う見込みで、今後の財政への影響も大きい。

 バラ色の未来を語るだけでは足りない。五輪後に向けて重要なのは徹底した事業の評価と見極め、目指す東京を実現するための道筋を示すことだ。例えば、予算案に何度も登場する第五世代通信規格5Gの技術で、街を、都民の暮らしをどう変えるのか。理念にとどまらず、具体的な説明が求められる。 (岡本太)