新型コロナウイルス感染拡大の影響が、祈りの場にも広がっている。カトリックのミサやイスラム教の集団礼拝は多くの人が集まるため、中止して動画を配信したり、分散して実施したり。教会やモスク(イスラム教礼拝所)は集団感染のリスクを避けつつ、信者に応えるため工夫を凝らす。

 「感染症の拡大に当たって(終息を願った)お祈りを一緒に唱えたいと思います」。十五日午前、文京区のカトリック関口教会で神父が壇上から呼び掛ける映像が動画投稿サイト「ユーチューブ」で流れると、「アーメン」などの書き込みが相次いだ。

 同教会は、普段は大勢の信者が参加する日曜ミサをシスターら関係者だけで行い、ライブ配信。自宅のパソコンで見た練馬区の吉岡邦子さん(60)は「ミサがなくなるのは前代未聞でびっくりしたが、こうした形で参加できるのはありがたい」と喜ぶ。

 カトリック東京大司教区は信者に高齢者が増えていることや、観光客など不特定多数の人が集まる可能性を考慮して今月の日曜ミサを中止し、動画配信で対応すると決定。担当者は「異例の措置だが、感染防止のために判断した」と話す。

 イスラム教も、各地のモスクで金曜日の集団礼拝が中止に。日本ムスリム協会は品川区の礼拝所で実施していた集団礼拝を今月は全て取りやめると発表。再開のめどは立っていないという。

 規模を縮小して継続している豊島区の大塚モスクには十三日正午ごろ、マスクを着けた信徒が次々と訪れた。通常は三百人近くが集まるが、二月二十八日以降は集団感染のリスクを避けるため、数回に分けて実施。この日は一回当たり五十人ほどで行われた。

 礼拝前にはハグや握手を慎むよう呼び掛けるアナウンスが流れ、代わりに肘同士を突き合わせてあいさつを交わす姿も。ハールーン・クレイシ事務局長は「祈りの前に手や足を洗って身を清める習慣があるため、感染症対策そのものに抵抗を感じている人は少ないのでは」と話した。