秩父市の酒造業「矢尾本店」と「武甲酒造」は、市内産の酒米「山田錦」を使った日本酒を発売した。酒造業者や農家などでつくる「日本酒テロワールプロジェクト」の一環で、初めて市内で取れた酒米を酒造りに使用した。「純秩父産」の一品として、地元の飲食店や一般家庭で珍重されそうだ。

 矢尾本店の酒は「純米吟醸 秩父錦」。県内で開発された「埼玉C酵母」を使い、こくのある味わいに仕上げた。一方、武甲酒造は「純米大吟醸 七色酵母仕込 彩虹(さいこう)」を発表。県内産の七種類の酵母でフルーティーな味わいを醸し出した。

 プロジェクト名の「テロワール」は、収穫する土地によって食の味わいが異なることを意味するフランス語。山田錦は秩父市下吉田の農業町田一郎さん(61)の水田で栽培し、コメ約二トンを収穫した。プロジェクトに当たっては、県の地域ものつくりブランド力強化支援事業の補助金も受けた。

 十五日に同市宮側町の秩父地域地場産業振興センターでお披露目・試飲会が開かれ、酒造二社の担当者が、行政の担当者や日本酒ファンたちに、これまでの経緯を説明した。

 武甲酒造の長谷川浩一社長は「酒米の最高級品の山田錦を秩父でつくることができた。皆さんには秩父の飲食店や旅館に来てもらい、地元の食材と酒を心ゆくまで楽しんでほしい」とPRした。

 ともに七百二十ミリリットル入り税込みで、「秩父錦」は千九百八十円、「彩虹」は二千三百十円。いずれも秩父地域の酒販店で取り扱っている。 (出来田敬司)