茨城空港(小美玉市)が今月で開港十年を迎えた。当初の評価は「無駄な空港」と散々だったが、北関東の空の玄関として旅客数を着実に伸ばし、昨年は過去最高の約八十二万人を記録した。県はさらなる成長を目指すものの、発着枠がほぼ満杯で路線拡大の余地は乏しい。空港を利用した訪日外国人の多くが、県内を素通りするために経済効果は薄く、課題は山積している。 (鈴木学)

 茨城空港は航空自衛隊と共用の空港として、二〇一〇年三月十一日に開港した。羽田、成田に続く「首都圏第三空港」との触れ込みだったが、開港時の定期便はアシアナ航空(韓国)の一路線のみ。「無駄な空港を造ってどうするのか」などと批判が絶えなかった。

 低評価を覆したのは、格安航空会社(LCC)を狙ったコンパクトで低コストの仕様だ。出発・到着ロビーをビル一階に集約し、搭乗橋を使わずにタラップで飛行機に乗降。これがLCCに支持され、定期便は国内外に七路線まで拡大し、チャーター便も好調だ。旅客数は右肩上がりで推移し、昨年初めて開港時の国の需要予測八〇・七万人を突破した。

 ただ、共用空港のため発着は「一時間に一便」との取り決めがあった。満杯に近い発着枠を拡大するには国との協議が欠かせず、空港対策課は粘り強く話し合っていく方針だ。

 訪日外国人対策も急がれる。多くが東京に流れ、県内の観光地で消費しないのが悩みの種。県は東京への高速バスに対する補助をやめ、新年度から訪日外国人客らを対象に、県内の観光周遊で旅行会社が使うバス料金の半額を助成(上限十一万円)。県内宿泊者が水戸駅やつくば駅、石岡駅から茨城空港まで行くバスの料金を無料にする支援もスタートする。

 残念ながら節目のタイミングで、新型コロナウイルス感染拡大に見舞われ、お祝いムードは吹き飛んだ。県が予定していた記念行事は延期・中止され、国際便は全て運休に追い込まれた。県空港対策課の担当者は「早く収束してほしい」と話している。

◆栗木空港ビル所長に聞く

 二〇一六年から茨城空港ビル管理事務所の所長を務めている栗木一男さん(58)に話を聞いた。

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 マスコミには開港前から「無駄な空港」とたたかれた。私も同様の疑問を県の担当者にぶつけたが、「おまえには見えないのか、いろんなところに飛行機が飛んでいく姿が」と逆に熱い答えが返ってきた。「茨城空港は大化けするかも」と言ってくれた有識者もいた。今なら、その言葉も素直に信じられる。

 十年で取り巻く環境は大きく変わった。便の増加に伴って、駐車場が約千三百台から約三千六百台になった。観光物産施設「そ・ら・ら」ができ、レンタカー会社の県内本社が移転してきた。常磐道のスマートインターチェンジまでの道路整備も進んでいる。

 一方、変わらないのは利用者に優しいことだ。駐車場は無料。駐車場から空港ビルまでは最短百メートルと近く、迷うことはないと思っている。

 空港自体が一つの事業所のようで、国や県、航空会社、テナントなどがワンチームで仕事をしている。荷物を運ぶベルトコンベヤーが壊れた時は、我々も加わって荷物をリレーした。

 乗降客年八十万人対応で造った空港なので、それ以上になると手狭になってくる。いつまで新型コロナウイルスの影響が続くのか心配だが、茨城空港をどうすべきかを考える時期に来ていると思う。