高崎市で二〇一八年三月、当時生後二カ月の男児が父親に鼻や口をふさがれて脳死状態になった事件を受け、県が設置した外部の有識者による専門部会の検証報告書がまとまり、二十三日、県庁で小川恵子部会長(県看護協会監事)が県の吉田誠・こども未来部長に手渡した。

 前橋地裁は昨年四月、女性と同居していた無職森田誠被告が、二人の間に生まれた男児の鼻や口を手でふさぎ、体を前後に強く揺さぶるなどの暴行を加えたとして、殺人未遂などの罪で懲役十年の判決を言い渡した。弁護側は即日控訴したが、東京高裁に棄却され、最高裁に上告中。男児は現在も意識不明の重体。

 県社会福祉審議会の児童福祉専門分科会児童措置・虐待対応専門部会の報告書によると、出産後、女性から市に男児を乳児院に預けたいと相談があり、児童相談所に連絡。支援が必要な特定妊婦と認定し、市が主に担当することになった。

 その後も両機関で情報共有はしていたが、住民登録のない父親に対し、女性へのドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待を念頭に置いた戸籍調査など情報把握が不十分だった。

 男児は事件の直前に予防接種のために病院を受診。医師が顔に数カ所のあざを確認したが、事前に病院に男児に関する情報提供はなく、あざの情報は医師から市や児童相談所に共有されなかった。

 報告書では「子どもを家庭で育てるにあたってリスク要因がないか十分に評価できるように見直しを行うこと」などを提言した。

 専門部会は小川部会長に加えて大学院教授ら三人が委員を務め、弁護士がアドバイザーとして参加。昨年五月から今年二月にかけて五回の会合を開いた。 (市川勘太郎)