恋の大三角形 最終回:次の彼女とはスピード婚!?結婚願望ナシだったはずの、モテ男の裏切り

恋の大三角形 最終回:次の彼女とはスピード婚!?結婚願望ナシだったはずの、モテ男の裏切り

商社勤務で爽やかモテ男の洋平と2年にわたり交際していた繭子。

しかし30歳の誕生日、洋平に「まだ結婚は考えられない」と断言されてしまう。

繭子は駆け引きのつもりで「結婚できないなら別れる」と告げるがその策は完全に裏目に。あっさり「わかった」と言われ、二人は破局してしまうのだった。

一方、スリランカで洋平に運命を感じた彩花は、彼女持ちと知りつつも洋平とデートを重ねていた。

そして二人の関係が親密になったタイミングで「彼女と別れて欲しい」と迫る。そして後日、洋平から本当に彼女と別れたと聞かされ、いい雰囲気の二人はそのまま男女の関係に。

洋平を巡る、繭子と彩花の恋の行方は。



鉄は熱いうちに打て


−彩花side–

「やばっ…そろそろ行かないと」

隣で寝ていた洋平くんが、慌てた様子で飛び起きる。

あの日…私たちが初めて抱き合った夜から、洋平くんは2日と空けずにうちに泊まっている。

同じスーツで仕事に行くわけにいかないから、彼は朝、一度自宅に寄ってから出社しているのだ。

私の家は目黒、洋平くんは恵比寿。

近所とはいえ楽な作業ではないだろう。それでも彼は、会いに来る。

それは私に会いたいから、私と抱き合いたいからに違いない。

しかし−。

さっきまで裸で隣にいた彼が、ワイシャツを着てテキパキ動き回る姿を眺めていると、無性に不安が襲ってくる。

私はまだ、洋平くんからはっきりと「付き合ってほしい」と言葉にされていなかった。


「男は、言葉より行動。それだけ彩花のために時間と労力を割いてくれているんだから、自信持っていいんじゃない?

...とはいえ、形にするのは早い方がいい。“鉄は熱いうちに打て”って言うでしょ。仕事も恋も時機を制するものが勝つのよ」

洋平くんとの現状を話す私に、夏美さんはそう言った。


...やはり、ここらではっきりさせておくべきだろう。なるべく早く、彼が私を、熱く欲している間に。

「ねぇ洋平くん、行かないで」

私は甘えた声で後ろからしがみつき、唇を近づけた。

時間がなくて焦っていることは知っている。それでも彼がキスを受け入れるのを確認して、私はまっすぐに洋平くんを見据えた。

受け身で待っている間にタイミングを逸してしまっては、元も子もないのだ。

「...私って、洋平くんの彼女だよね?」


彼が言ってくれないなら、自ら言わせる。彩花の問いに、洋平はなんと答える?

彼を、信じる


「そうだよ。…彩花は俺の彼女、でしょ?」

洋平くんが、何の迷いもなくあっさりとそう言うものだから、私は拍子抜けしてしまった。

ホッとしたのと、彼が「彼女」と言ってくれたことに心がキュンとしてしまって、私は無言で強く抱きつく。

「そっか。もしかして、不安だった?ごめんな」

そう言って頭を撫でてくれる洋平くんは、正真正銘、信頼できる私の“彼氏”だった。

「ああ、もう時間ない。また夜に連絡するから」

「…行ってらっしゃい」

慌てて家を出て行く洋平くんを、私は満面の笑顔で見送る。

出会った当初「彼女はいない」と嘘をつかれたり、彼女の前で存在を無視されたりした印象が拭えないまま、これまでどうにも不安が付き纏っていた。

しかし冷静に振り返ってみれば、それは彼が私を好きになる前の話。

「次に私を誘うなら、彼女と別れてからにして欲しい」と告げたあと、洋平くんはその約束を守ってくれたし、一線を超えた後の彼は、私を不安にさせるようなことなど一切していないのだ。

その誠実さは、きちんと認めてあげなければ。

私は、もう彼を疑わないと決めた。

こうして洋平くんと私の絆が強固になった、その後間もなくだった。

私と彼に、急展開が訪れたのは。



−繭子side−


冬の海デート


「冬の海もいいものだね。静かで、心が穏やかになる」

夏には大混雑の、七里ヶ浜の『モアナマカイ 珊瑚礁』。

土日でもやはり冬場は空いていて、並ばずに入ることができた。

日高さんの声につられて窓の外を見ると、ちょうどオレンジ色の絶景。海に夕陽が沈む所だった。

「本当に綺麗。今日は連れてきてくれて、ありがとう」

彼とのドライブデートは、自分でも驚くほどに楽しかった。

決してスマートではないけれど、私を楽しませようと頑張ってくれている姿は純粋に嬉しかったし、運転も穏やかで助手席の私を終始気遣う安全運転。

プライベートで会ってみると意外にもおしゃべりで(彼は最近姪っ子が誕生したらしく、その可愛さを夢中で話していた)、それでいて無言の時間も気を使う必要がなくとても居心地がよかったのだ。

「小柳さん」

「はい」

カツカレーを美味しそうに頬張っていた日高さんが急に改まった声を出し、私は身構える。

夕陽のせいでよく表情が見えないが、きっといつも通り固まっているのだろうな、と思うとなんだか愛しい気持ちになる。

「僕と、付き合ってもらえませんか。お互いいい歳ですし、もちろん結婚前提で。

…あ、しまった。カレー食べながら言うことじゃなかったかな…でも今言いたくなっちゃったんだ」

その決まらなさに、私は思わず吹き出す。まったく、日高さんはスマートじゃない。

しかし結婚は、生活だ。日常に必要なのは、居心地の良さ。そして何より、愛されているという安心感だろう。

「はい、よろしくお願いします」

私がそう言うと、オレンジの光の向こうで、嬉し泣きしそうになっている日高さんが見えた。

「ちょっと、泣かないでね?」

私がこうして穏やかな愛を選べるようになったのは、洋平のおかげかもしれない。

最後は苦しいだけの恋だったが、彼に傷つけられたからこそ今の私がいる。

そんな風にさえ、思えるようになっていた。

…が、しかし。

この数週間後、そんな思いを吹き飛ばすようなものを、私は目にすることとなる。


数週間後、繭子が目にしたものとは、一体!?

衝撃の事実


−数週間後−

優奈とシバユカとのランチタイムも、ここ最近は随分平和だ。

私が日高さんと結婚前提に付き合うことにした、と話したら、シバユカは「本当に良かった。これで安心してニューヨークに行けます」ともはや姉のように優しく頷いてくれ、優奈も「嬉しいけど…寂しい!」と、多少情緒不安定気味ではあったが祝福してくれた。

「繭子さん、結婚式呼んでくださいね。私、絶対に帰国しますから」

そんなことを言い出すシバユカに「気が早いわよ」と笑いながら、私は幸せを噛みしめる。

その時、たまたま画面にFacebook通知が表示された。

最近まったく見てもいなかったが、私はふと何気ない気持ちで、かなり久しぶりにFacebookにログインをしたのだ。

そして…衝撃的な事実を知ってしまった。



「な…に、これ…?」

タイムラインに突如として流れてきたのは、洋平がタグ付けされた、仲睦まじく肩を寄せ合った女性とのツーショット。投稿者は、“Ayaka Hasegawa”−!?

アップされているのは、どこかわからないが雰囲気の良い素敵なレストランで、店員に撮ってもらった写真だと思われた。

“今日、お付き合いをしている大好きな彼からプロポーズをしてもらいました♡”

−!?

私は、目眩がした。

しかし怖いもの見たさなのだろうか、指は無意識に続きをクリックしてしまう。

“彼がお仕事で急にスリランカ駐在が決まり、私も一緒についていくことに。お付き合い開始から間もないのですが、何もかもトントン拍子で…運命って本当にあるんですね♡私の仕事も、社長の厚意でできる範囲で続けられそうで…”

頭を鈍器で殴られたような衝撃で私は言葉を失い、ただ呆然とスマホ画面を見つめるしかなかった。

異変に気付いたシバユカが私のスマホを奪い、「げっ」とキャラに似合わぬ低い声を出す。

「出た。いますよね、こういう女。Facebookにタグ付け投稿して、彼の周りの女たちを蹴散らす作戦でしょう、これ」

シバユカが吐き捨てるように言った言葉に、優奈も恐る恐るスマホを覗き込む。そして間もなく「ヒェッ」と声にならない声をあげた。

私は、何の言葉も発することができなかった。

…少なくとも私の知っている洋平は、彼女にこんな投稿を許すような男ではなかったから。


洋平が彩花と婚約!?衝撃の事実に動揺する繭子は思わず…

なんでこの女とはスピード婚!?


「なんで…?私、この子に何か負けてるかな…?」

必死で押し殺していた、ドス黒い感情。

しかし止めようもなく溢れ出す嫉妬を抑えることは、不可能だった。

写真に映る彼女は、確かに私より若い。しかし絶世の美女でもなければアイドル級に可愛いわけでもない。

至って普通の女の子なのだ。それこそ、どこにでもいそうな。

「繭子さんは別に、何も劣ってませんよ。…ただこの彼女が強肩で、洋平くんの駐在ともタイミングが合って、うまくいった。それだけです」

穏やかだがはっきりとした口調で、シバユカが私を宥める。

「でも...」

−まだ、結婚は考えられない。

洋平は私に、そう言ったのだ。

それなのにどうして。どうしてこの女とは、こんなにすぐに?

考えれば考えるほど、納得がいかない。

頭を抱えるようにして俯いた私の肩に、シバユカがそっと触れた。

「繭子さん。忘れましょう、終わったことは。繭子さんは、日高さんと幸せになればいいんです。

この彼女が洋平くんと幸せになろうが不幸になろうが、繭子さんの人生に全く関係ない。そうでしょう?」

シバユカは、宥めるように、優しい口調で私を諭す。

「見る必要のないものは、見なくてよし。繭子さんは、未来を見てください」

そう言って私のスマホを勝手に操作すると、“大森洋平”を友達から削除した。

「そうよ、繭子。日高さんが正解だって。洋平くんと結婚したってずっと浮気の心配してハラハラしなきゃいけないじゃない。そんな結婚生活、不幸よ絶対」

優奈も、身を乗り出すようにして私をそう説得する。

「ありがとう。...そうね、動揺したけど…大丈夫。私には、日高さんがいるんだから...」

私は、不愉快なツーショットをメモリー消去するべく、精一杯明るい声を出した。

「…私は、日高さんと幸せになるね」

そう強く言い切ったら、身体中から力が湧いてくるような気がして、私は「ああ、そうか」と心の中で呟く。

私に足りなかったもの...それは、自ら道を切り拓く意志、だったのかも。

「今の繭子さんなら、大丈夫です」

シバユカの力強い声に、私はもう一度、大きく頷く。

幸せは、待っていても訪れない。誰も、与えてはくれない。

自分で、自らの手で掴みに行くしかないのだ。

大丈夫。

私は必ず、幸せになってみせる…!

Fin.



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