「絶対に許せない...」大好きな男が二股されていた。彼を救うため、整形美女がとった行動とは

「絶対に許せない...」大好きな男が二股されていた。彼を救うため、整形美女がとった行動とは

美人は不美人より、生涯で3億円の得をする。

容姿にコンプレックスを抱いていた美咲麗華は、大学時代に学年一のモテ男・平塚勇太に恋をし、あっさり失恋したことである決意を抱く。

−“美しさ”を金で買い、人生を変えてやる−

社会人となり整形で“美人”の仲間入りを果たした麗華は、ハイスペ美男子の俊介から言い寄られちやほやされ調子に乗る。

そんな中、大学時代からの親友・大山恵美を通じてついに初恋の彼・平塚くんと再会。

しかしその場で平塚くんに彼女がいることを知った麗華は、傷心のまま俊介の元へ走り、彼からの告白を受け入れるのだった。

ところが偶然、平塚くんの彼女が大して美人ではなく、さらには別のフィアンセまでいることを知ってしまう。



彼が私を好きな理由


週末の朝を、私は俊介の部屋で迎えた。

そっと体を動かそうとすると、目を閉じたままの俊介が、まるで逃すまいとするように私の肌を抱き寄せる。

こうして一晩中、私は彼の腕の中にいた。

俊介は私をとても丁寧に、優しく扱ってくれる。温かく、幸せな夜だった。

…それなのに、どうして。目が覚めた瞬間から、私は別の男のことを考えてしまうのだろうか。

「どうした?」

小さくため息をついた私に気づいたのか、俊介がそっと髪を撫でる。

「ねえ。俊介はどうして、私を好きでいてくれるの?」

微睡みの余韻の中で、私はずっと聞きたかった質問を投げかけてみた。

俊介の周りには、私なんかよりもずっと綺麗な女がうようよいる。それなのになぜ、彼は私にこだわるのか。ずっと不思議だったのだ。

私の問いかけに、俊介はさして興味もなさそうに「さあ、なんでだろ」ととぼけていたが、しばらく黙り込んだあとで、唸るような低い声を出した。

「…麗華、他にずっと好きな男がいるだろ?」


俊介は、やはり全てを知っていた。それでも彼が麗華にこだわる理由とは?

「…知ってたの」

彼の言葉に私は小さく息を飲み、そして諦めたように呟いた。

「あんな風に店に置いてきぼりにしておいて、よく言うよ。俺がそんなに鈍感なわけないだろ。だいたいわかるよ」

…それもそうだ。

あの夜の私の行動は、いくら我を忘れていたとはいえ、自分で思い返してみても俊介の気持ちを踏みにじるものだったという自覚がある。

気まずさから彼の目を見ることができぬまま、しかし私は「でも、じゃあどうして」と問いかけずにいられなかった。

私が他の男に心奪われていることを知っているなら、どうして。どうして俊介は私に優しくしてくれるの…?

すると彼はとても彼らしい、屈折しているようで、しかし非常にまっすぐとも受け取れる回答を私にくれた。

「俺はさ、これまで誰かを一途に好きになったこととかないし、そんな風に想われたこともないから。…羨ましいなって思ったんだ。麗華に、そこまでさせる男が」

「…そう」と応えはしたけれど、私には俊介の考えがまるで理解できなかった。けれど一方で、そういうものなのかもしれない、とも思うのだった。

なぜならきっと他の人には、私が平塚くんにこれほどこだわる理由だって理解できないに違いないから。

人が誰かに強く惹かれるときというのは、何も相手の長所や美点だけに吸い寄せられるわけではないのだろう。

もっと心の奥深い場所で共鳴する何かが、心を捉えて離さないのだ。

そんなことをぼんやりと考えていたら、ふいに俊介が起き上がり、私の顔を真上から覗き込んだ。

「…だけど、そろそろ俺だけを見てよ」

決して責めるような口調ではなく、むしろ穏やかな声色だった。だがその目は笑っていない。

私はなんだか怖くなり、流されるようにこくり、と頷いてしまった。


許せなかった噂話


ところがそれから間もなくして、私の心を再びかき乱す事件が起きた。

それは、銀座の『天香回味』の個室で新しいスタッフの歓迎会をしていた時のことだ。

花音が広報部に異動になった後、交替要員として、名古屋の路面店にいたというスタッフが銀座ブティックにやってきたのだ。

その彼女は私と同い年なのだがすでに結婚しており、夫の東京転勤に伴い引っ越してきたのだという。

「もし異動が聞き入れられなければ、辞めるつもりでした」

そんなことを幸せそうに語る彼女の話を、私はどこか夢物語のように聞いていた。

彼女の結婚相手がどういう人だか知らないが、その人のために住む場所を変え、仕事まで辞めるつもりだったというのだから、それは素敵な人なのだろう。少なくとも、彼女にとっては。

…私だって、もし平塚くんと結婚できるなら、何もかも捨てたっていい。平塚くんが、私を選んでくれるのなら。

そんな、まるでリアリティのない妄想を止めたのは、私の斜め前に座っていたある同僚の囁き声だった。

「ねぇ。そういえば私、面白い話聞いちゃった」

周りにいる数人だけにしか聞こえないような、小さな声。含んだ表情を見せる彼女の顔を、私はそっと横目で伺った。

なになに?と問いかける別の同僚とともに、私も聴き漏らさぬよう、耳に神経を集中させる。

すると彼女は、あろうことか平塚くんの名を口にしたのだ。

「ほら、前に花音が話してた広報部の岸さゆりさん、平塚ってアナウンサーと付き合ってるらしいよ」


平塚くんのことが同僚たちのネタに。それを聞いた麗華は、俊介の忠告も忘れ、一か八かの賭けに出る

「平塚って…最近、朝のニュースでスポーツやってる、あの爽やかイケメン?私、実はかなりタイプなんだけど」
「え、でも岸さゆりさんって、政治家の息子かなんかと婚約してるって花音が言ってなかった?」
「何それ。ってゆーか、どっちに転んでも羨ましすぎない?」

キャッキャと盛り上がる皆の声が、どんどん遠くなっていく。

皆が「平塚」と呼び捨てにするたび、美しく高貴な存在の彼が汚されていく気がした。

−許せない。

こんな風に、平塚くんがネタにされている元凶の岸さゆりが、平塚くんのことを他の男と天秤にかけるような真似をする彼女のことが、どうしても許せなかった。

だいたい、平塚くんをその辺の男と一緒くたにするなんてあり得ない。

政治家の息子だろうが財閥の御曹司だろうが、平塚くんに敵う男なんていないのに。

私はまるで自分がバカにされているような気分になり、怒りで身体が小刻みに震えてしまうほどだった。

そしてその時にはもう、私は俊介の忠告など完全に忘れてしまっていたのだ。



私は恵美が作ってくれたグループLINEで、平塚くんの連絡先を知っていることを思い出した。

“この間は、途中で帰ってしまってごめんなさい”
“平塚くんに話したいことがあって、よかったら近々会えませんか?”

おしゃべりに夢中になっている皆に隠れ、私はテーブルの下でひとり黙々とスマホをタップした。

そして勢いのまま、怖気付く心を振り切って送信ボタンを押す。

断られるかもしれない。無視されるかもしれない。…しかしどのみち、私は平塚くんに相手にされていないのだ。

断られたら、返信が来なかったら、それはやはり落ち込むに違いない。が、だからといって例えその状況になったとしても、悲しいかな今と大差はないのだ。

それなら一か八かの賭けに出てみよう。そんな風に、ほとんど投げやりな気持ちで送ったメッセージだった。

しかし予想に反し、すぐに新着通知が光った。まさかこんなにすぐに返事が来るなんて思ってもいなかったから、私はむしろ慌ててしまい、息をするのも忘れてLINEを開く。

“美咲さん、久しぶり”
“急だけど、明日とかは?少し遅くなるけどそれでも大丈夫なら”
“六本木辺りなら、21時には行けるかな”

連続して届いた平塚くんからのメッセージを、私は何度も何度も読み返す。

そしてようやくその意味を理解したとき、私は心の中である決意を固めていた。

“大丈夫です。じゃあ明日21時に、『マデュロ』で”


▶NEXT:11月22日 木曜更新予定
平塚くんをマデュロに呼び出した麗華の思惑とは…?



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