「出会いは、求めすぎない時にやってくる」は本当?アラサー女が婚活をやめた途端に掴んだチャンスとは

「出会いは、求めすぎない時にやってくる」は本当?アラサー女が婚活をやめた途端に掴んだチャンスとは

ーこの人と離婚して新しい人と再婚すれば、簡単に幸せになれると思っていましたー

これは、高い恋愛偏差値を誇る男女がひしめき合う東京で、

再び運命の相手を求め彷徨うことになった男女のリアルな”再婚事情”を、忠実に描いた物語である。

時間軸にシビアな女たち、女性に幻想を抱き続ける男たち。

そんな彼らが傷つき、喜び、自らが選んだ運命に翻弄されてゆく…

さぁ、では。彼らの人生を、少しばかり覗いてみましょうか。

夫の不倫によって離婚を決意した秋元カナ。女友達に離婚パーティを開催してもらい何とか立ち直るが、デート相手に暴言を吐かれたり、社内の年下男子に振り回されるなど再婚活はうまくいかない。

そんな中、親友・亜美からルームシェアの誘いを受けたのだった。



「もしもしカナ?ルームシェアの件だけどさ、どこに住む?」

カナは、ハイテンションで電話をかけてきた亜美の言葉に耳を疑った。

「え、亜美、ちょっと待って。私、少し考えたいって言ったよね…?」

先日亜美は、来月部屋の賃貸契約が更新になると言ってルームシェアの提案をしてきたが、カナは「少し考えさせて」と答えたのだ。

確かに離婚後の寂しさを引きずっているカナにとって、ルームシェアは決して悪くない案だと思う。

しかし、カナが渋るのには大きな理由があった。カナは離婚後東陽町に新しく部屋を借りたばかりである。再度引っ越すことになるとは予想もしていなかったのだ。

しかし、亜美は構わず楽しそうに話し続けており、すっかりノリノリである。

そのときカナはあることを閃いた。

「そうだ。そしたら亜美、うちの近くに引っ越したら?ルームシェアまではいかないけど、ご近所って楽しそうじゃない?不動産屋さんに聞いてみようか?」

しかし亜美は、途端に声を曇らせたのだった。

「え、でもカナ、今のマンション東陽町だよね?…実はね、思い切って広尾あたりとかに住みたいなんて思ってるんだけど、どう?2人だったら豪華な部屋、借りれちゃうよね?」

よくよく聞いていると、亜美はこのルームシェアをきっかけに、結婚したいターゲットである年収3,000万円以上の人が多いエリアに引っ越したいのだという。

「だってね、婚活本で読んだの。そういう人と出会いたかったらね、とにかく生活圏内を一緒にしなくちゃダメなんだって。カナも再婚相手は、元ダンナよりもハイスペがいいでしょ?!」

有無を言わさぬ迫力の亜美に流されそうになったが、会社から近い今のマンションは自分では割と気に入っている。

広尾でのお洒落な暮らしに心惹かれないわけではないが、引っ越してまでのルームシェアに対しては即答できなかった。

ー部屋の契約内容も確認しないといけないから、一旦保留にさせて。

そう対応しておいたものの、亜美は後日、さらに驚きの提案をしてきたのである。


親友・亜美の暴走に、カナは…?

自分をもっと大切にするために、離婚したんじゃないの?


「へぇ。2人、ルームシェアするの?」

今日は、亜美、そして離婚パーティ以来会っていなかった奈緒子と、久々に3人でランチをするために『ザ テンダーハウス ダイニング』に来ている。



実を言うと、ルームシェアに対してカナの心は固まっていない。

だが、亜美が気分良く話しているので、「まだ保留だけどね」と付け加えるのが精一杯だ。

「だってさー、奈緒子の住んでるこのあたり、本当に素敵じゃない。やっぱり、歩いている人からして違うって感じ。私もせっかく都内にいるからには、やっぱりこういう場所に住みたくて!」

静岡出身の亜美は目をキラキラさせながら語っている。彼女に悪気が一切ないのは分かっているが、自分の気持ちはどうしてもルームシェアに向かない。

離婚後の寂しさを紛らわすように食事会やデートに行ってきたが、異性関係はもう若い時のようにスムーズにいかず、痛い目を見た。それならば女友達に心の隙を埋めてもらうのも良さそうなものだが、亜美との同居はどうやらそれだけでは済まない予感がしてしまう。

「このエリアって言っても、白金と白金台とでは色々違ったりするし、それこそ色々よ。にしても、ルームシェアって家事とかどうするの?」

6歳の息子がいる奈緒子は、子供が小学校に通い始めたのをきっかけに、週に3日近所のバレエスタジオで講師の仕事をしている。しかし、仕事を始めたことによって家事と育児の両立に戸惑っていると話していた。

「まだ決めてないけど、私は時間も不規則だから、そんなに家事負担は出来ないかな。帰れる時間も微妙だし、自炊はそんな得意じゃないし…」

どこか甘えたような口調で、亜美が答える。

たしかに、亜美の代々木上原のマンションに泊まりに行った時もそんなに部屋が綺麗だった記憶はない。

これでは寂しさを紛らわすどころか、家事を押し付けられてついでに長年の親友まで失ってしまいそうな予感がする。カナは慎重に言葉を選んだ。

「ねぇ、亜美」

そう声をかけると、亜美が長いまつげに縁取られた目でこちらを見つめる。その目を見ていると、ついうっかり言うことを聞いてあげたくなってしまうが、カナはぐっと堪えて口を開いた。

「私、やっぱり離婚後のお部屋契約したばかりで、引越しは難しそうなの。亜美のことは大好きだし、ルームシェアも楽しそう。けど、私やっぱり自分ともっと向き合わなくちゃいけないと思うんだ」

亜美は不服そうな顔をしていたが、「そっか」とだけ言うとすぐに表情を変えた。見る限り、そう気分を害したわけでもなさそうである。

こと女友達に対しては、相手の気分を害してしまうのが怖くてこれまではいつも自分の意見を押し殺しがちだった。そんなカナも、31歳になりようやく女友達とのちょうど良い距離感というのが掴めてきたような気がした。

ーだって私は、もっと自分のことを大事にしたくて離婚したんだもの。

金銭的にも余裕のあったDINKS生活、そして夫の司を捨てたのは、他の誰でもない、自分自身を大切にしたかったからだ。

亜美とのルームシェアを断ったことで少しだけ心の重荷が取れ、その日は久々に3人で喋り通し、幸せな時間を過ごしたのであった。


「自分を大事にする」と決めたカナに訪れる、新たな出会いとは?

本当に良質な出会いは、求めていない時にやってくる?


引越しで随分余計なものを捨ててきたつもりだったが、改めて部屋を見ているとかなりいらないものを部屋に溜めていたことに気がつく。

ブランド物だからと、もう着ていないのに取ってある服や化粧品。

ボディクリーム類は友人たちからプレゼントで貰うことが多いため、手足が何本あっても塗りきれない量があった。

それらを整理しているうちに、心の散らかりまでもが片付いていくようだから不思議だ。

部屋がすっきりしたら、今度は自分が本当に欲しいものに囲まれて過ごしたい、と思うようになってくる。

お気に入りの家具屋を覗いて、自分のために少し奮発して値の張るルームデュフューザーやアロマスプレーを買った。

食事会に行かなくなり金曜日も早く寝るようになったので、週末は朝からヨガに行く。その帰りに本屋に足を運び、自分の感性にピンときた本を選ぶ時間もできた。

夜は半身浴をしながら買ってきた本を読み、贅沢にキャンドルを灯すなど、離婚以来やっと自分らしい生活を取り戻すことができている。



忙しいながらも自分自身と向き合う時間をたっぷりとっているおかげで、カナは随分と精神的に安定した日々を送れるようになっていった。

そして気がつけば、離婚してから半年が経とうとしていた。

ーもうすっかりクリスマスモードね…。

街を歩きながら、すでに煌びやかなイルミネーションに彩られた街を歩く。コートを羽織っても首や耳のあたりに寒さを感じるが、カナはこの季節が1年で1番好きだ。

離婚してからは、寂しさを紛らわすためにいろいろ血迷うこともあった。

だが、カナはやっと”おひとりさま時間”を心から楽しめるようになっている。

クリスマスに近い日程で菜穂子や亜美とクリスマスランチをする約束もしているし、毎日が充実している今、異性の温もりがなくてもそれはそれで満たされる。

DINKS時代よりも使えるお金は減っているというのに、本当に気に入ったものばかりに囲まれた生活のおかげで、カナは以前よりもずっと心が満たされているのを実感していた。

雑貨屋で一人暮らし用のクリスマスツリーを探していると、カナのスマホがブブッと鳴る。

ーねぇ、カナ。離婚したって聞いたよ。あのね、是非紹介したい人がいるんだけど、今度の土曜日のランチタイムって時間作れる?

大学時代の友人・美香からのLINEであった。

そのLINEには、続けてこうも書かれている。

ーその人、同じバツイチなのよね。でも、弁護士さんで超エリートだよ。会うだけ会ってみない?

たしか美香は、ごく若い時に弁護士と結婚したはずだ。ご主人の知り合いか何かだろうか。

「来週か…会ってみようかな」

離婚直後に受けた傷は、少しずつ癒えている。

ーそろそろ男性と会うのを解禁してもいいのかも。

店内には、クリスマスソングが絶え間なく流れている。その陽気な雰囲気に後押しされるように、カナは美香に承諾の返信をしたのであった。


▶NEXT:11月28日 水曜更新予定
降って湧いたようなエリート弁護士とのお食事。果たして、今回こそは運命の相手なのか?



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