華麗なるアラフォー妻たち:夫の年収3,000万円。全てを手に入れた39歳女が抱える、密かな苦悩

華麗なるアラフォー妻たち:夫の年収3,000万円。全てを手に入れた39歳女が抱える、密かな苦悩

20代、30代の頃とは比べ物にならないほどの悩みを抱える、東京のアラフォー妻たち。

肌や髪の衰えだけではない。夫との関係、子育ての苦悩、女としての様々な葛藤…。

だが、彼女たちには、強さがある。若い時期を貪欲に生き、濃厚な時間を過ごしてきたからこそ、小さなことではくじけないのだ。

華やかな世界の裏で繰り広げられる、アラフォー妻たちのリアルな日常を、少しだけ覗いてみようー。



<今週の華麗なるアラフォー妻>

名前:真由子
年齢:39歳
職業:専業主婦、娘一人
夫の年収:3,000万円
家:渋谷区のコンシェルジュ付き低層マンション


年収3,000万円の夫を手にした、真由子の華麗なる日常


ー私は、人よりも恵まれている。

毎朝起きるたびに目にするすべてのものが、私にそんなことを思わせてくれる。

この家の中は、私が時間をかけて集めた"ときめく"ものだらけ。

たとえば、眠りから覚めて一番に目に入る、フレンチシックなピローケース。カーテンの色も、寝室のインテリアとバッチリ合っている。ベットカバーも、シーツも、全てが私のお気に入りだ。

午前5:30。

中学2年生になる娘のお弁当を作るため、まだ薄暗い部屋でガウンを羽織り、ウォークインクローゼットを開けた。

YOKO CHAN、FOXEYなどのお気に入りの服たちに、厳選して購入してきたシャネルやセリーヌ、フェンディのバッグ。今日は私の39歳のバースデーだ。今夜のディナーには何を着て行こうかと、お気に入りのコレクションをうっとり眺めた。

まだ眠っている夫を起こさないようにそっと着替え、長い廊下の先にある広いキッチンへと向かう。

「お願い。どうしても、アイランドキッチン付きの家がいいの」

6年前。当時33歳だった私は、ずっと前から抱いていた、料理教室を開きたいという夢を実現するため、必死で夫を説得した。

だが引っ越してきて1年後には、娘の中学受験のサポートが始まってしまい、その夢をすっかり忘れてしまう。

それでも私は満たされていた。

無事に私立の中高一貫校に入った娘のために、毎日こうしてお弁当を作る生活にも、心から満足していたはずだった。


満たされた生活を送るアラフォー妻が、ひそかに抱える悩みとは…?

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「ママ、お誕生日おめでとう」

『ピャチェーレ/シャングリ・ラ ホテル 東京』で、愛する家族に囲まれ、私はとても幸せだった。

今日39歳になった私は、中学生の娘がいるにも関わらず、日ごろから30代前半に見える、と言われる。

夫と娘の顔を交互に見つめながら、思わず笑みがこぼれた。

美男ではないが清潔感があり、世間では高級品とされるものをきちんと身につけられるだけの経済力を持つ夫。

私立の中学に入り、成績も上々で、素行不良の心配もない娘。

何か文句を言ったら、バチが当たってしまうだろう。



だが。

私はさすがにもうSNSの類はやらないが、娘の小春はスマホに夢中だ。さっさとメニューをオーダーしてしまうと、すぐにスマホの画面を凝視し、こちらを見ようともしない。

仕方なく私は夫の方に向き直るが、彼もスマホを弄っている。

平日は仕方がない。2人ともそれぞれ、仕事や学校生活で日中は忙しいのだから、自由に時間をつかわせてあげたいと思う。

だが、今日だけは別だ。私の誕生日の夜くらいは、家族で会話をしたい。

いつもは望まないが、今夜だけ。

少しでいいから、いつも家族の生活を一番に考え、陰で支えていることへのお礼を言われたい。

私がこんな風に思ってしまうのは、贅沢なのだろうか。

「ねぇ、二人とも。今日くらいはスマホをやめて喋りましょ」

夫は、案外素直にテーブルにスマホを置いてくれたが、小春はあからさまに嫌な顔をしている。

私は、なんとかしてその場を盛り上げようと思った。

「ねぇ、パパ。最近小春、吹奏楽部の練習すごく頑張っているのよ。顧問の先生が、高橋先生だっけ、なかなか面白いのよね」

小春は、機嫌が良い時には学校の話をしてくれるので、私も娘のことはよく把握しているつもりだ。そしてこの会話をすることで、娘をよく気遣っている母親だ、と夫にも評価して欲しかった。

しかし次の瞬間、私の幸せな気持ちは一気に萎えてしまう。

「違うよ、高梨だってば。ママヤバイ。39歳になって、もうボケてるんじゃないの」

娘の小春とは昔から何でも喋る仲だったが、最近では母親を小馬鹿にした態度をとるようになっている。

母としてムキになるわけにもいかないが、夫がこちらをかばうそぶりも見せないため、誕生日の夜だというのに私の心にはふつふつとフラストレーションが溜まってゆく。

小さい頃はあんなにも可愛く、どこへ行くにも「ママ、ママ」とついて回り、無邪気にいろいろなことを話してくれたのに…。

それも、小学校5年生くらいまでだっただろうか。

少しずつ少しずつ私から自立していき、何が不満なのだろう、こうして私の言葉に突っかかるようになった。

これまでの人生、こんなにも娘のために尽くしてきたのに。小春は、まるで自分だけの力で今の中学に入り、豊かな学校生活を送っているかのような態度なのだ。

娘の発言に気を悪くし私が黙ってしまうと、二人はここぞとばかりに再びスマホの方に向き合う。

寡黙な夫と思春期の娘は、特にお互い会話をすることを必要としていないようで、それはそれで成り立っている。

家族がまとまっていないことを私だけが気にしているようで、寂しくなってしまったが、食事を終えてケーキがやってきたときは、無条件に心がはずんだ。

しかしちらりと目に入ったHappy 39th Birthday と書かれたプレートに、思わずため息をついてしまう。

もう、39歳。

40歳まで、あと1年を切った。欲しいものは何もかも手に入れたと思ったのに、こんな生活を続けたまま、40歳にはなれないと思った。


反抗期の娘、自分にあまり関心を向けなくなった夫。39歳の真由子は、どう乗り切る?

妻・母親としてだけでは満足できない女たち


誕生日の夜から数日経った日中の昼間、見たこともない番号からの着信があった。

「宅配便かしら?」

なんの気無しに応答すると、電話の主は木下と名乗る。

「突然ごめんなさい。真由子ちゃん、覚えてる?私今ね、仕事でインテリア雑誌の副編集長をしているの」

おぼろげな記憶が戻ってきた。大学時代に何度か話したことのある友人・妙子だ。

自宅のインテリアを取材させてくれる人を探していた時に、共通の友人から私の名前が出たという。

たしかに我が家のリビングは、Minottiの家具を中心に、インテリアコーディネーターと相談して作り上げたお気に入りの空間だ。

ママ友たちにも常に褒められるが、雑誌に載せるようなたいそうなものではない。

そう謙遜しても、妙子は一向に引かなかった。

雑誌の編集をある程度任されている人ともなると、こうも人を乗せるのがうまいのか。

次第に私は、自分自身が雑誌に出るわけではないし、お気に入りの空間を見てもらえるなら…という気持ちになってきたのだ。

結局、「夫に確認してから」という条件付きで、やっとの事で電話を切ったのだった。



「ねぇ、だからね、いいかしら。おうちに雑誌の取材の方をお招きしても」

帰宅し、赤ワインを飲みながらくつろぐ夫の機嫌の良い時を見計らって声をかける。夫は数秒宙を仰いだように考え、すぐに承諾してくれた。

「うちの家具、金かけたもんなぁ。真由子がそれで満足するなら、俺の方は構わないよ」

そう言って、また視線を手元のスマホに戻す。だが、今夜はそれも気にならなかった。

私は嬉しくなり、早速「返事は何時でも構わないから早く貰いたい」と言っていた妙子に電話をかける。

「ええ、そうなの、構わないって…そんなことないわ。ええ、大丈夫。来週ね」

思わず弾んだ声が出てしまう。

ふと、部屋全体のインテリアを見直した。

掃除にはかなり気を使っているから、家はモデルルームのように整っている。これなら、雑誌の人が来ても大丈夫だろう。

ソファを点検していると、寝ころびながらスマホをいじる娘の横に、お菓子の食べこぼしが落ちているのが見える。

「小春、ここのソファにお菓子こぼさないように気をつけて」

すると小春は、さも面倒だ、といった表情になった。

「…雑誌の取材が来るからって浮かれてて、キモいんだけど。あとでちゃんと掃除するからいいでしょ」

スマホに夢中だと思っていたが、話を聞いていたのだろうか。だが、娘のあまりの言い草に、例えようもないほどに悲しくなった。

あれだけ手をかけて大切に育ててきたというのに、いつの間にか母親に対してこんな口の聞き方をするようになってしまった娘。

私はどこで、育て方を間違えたのだろうか。

そんな娘の発言を聞いても、聞いていないのか流している夫にも鬱憤が溜まってしまう。

…やっぱり私は、こんな状態のまま40歳になれない。

時刻を確認すると、まだ20:00である。そのとき、ある考えが頭をよぎった。

私は、先ほど通話を終えたばかりの妙子に、もう一度電話をかけたのだった。


▶NEXT:1月30日 水曜更新予定
雑誌の取材を受けたことがきっかけで広がっていく、真由子の世界。



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