「スペックより愛が大事」は嘘だった。女友達の助言に従った結果の、大どんでん返し

「スペックより愛が大事」は嘘だった。女友達の助言に従った結果の、大どんでん返し

この街では、誰しもが“コンプレックス”を抱えて生きている。

あなたも身に覚えはないだろうか?

学歴、外見、収入…。どれだけスペックを磨き戦闘力を上げても、どんなに自分を取り繕っても、何かが足りない。「劣っている」と感じてしまう。

…そう、それがコンプレックスだ。

先週は「裕福すぎる隣人」にコンプレックスを抱える女を紹介した。

今週は、「彼氏から愛されていない」というコンプレックスを持つOL・莉乃(27歳)の日常をお届けする。



山口莉乃のコンプレックス:「もっとドラマティックに愛されたい」


私のストレス解消法の一つは、海外ドラマを観ることだ。

NetflixにもAmazon Primeにも入会していて、リビングにいるときはテレビで、バスルームではスマホで、いつでもお気に入りのドラマが観られる環境を整えている。

平日は広尾の実家と神谷町にある会社を往復する毎日だから、仕事の疲れをドラマで癒すのが私にとって至福の時間。

一応私にも、付き合って2ヶ月になる彼氏がいる。しかし周囲の友人たちと違って、常にデートで忙しいわけじゃない。

彼氏の啓介は2つ上の29歳。大手商社勤めだから忙しいのは理解している。ただ、いまいち私を大切にしようとか、喜ばせようという意識が足りない気がしている。

LINEの連絡は1日に1件あればいい方。

たまにデートをしても、それなりのランクの店にご飯を食べに行って、彼の家に行って…という、私からすればなんとも味気ないもの。

だから私は寂しさを紛らわせるために、今夜もゆっくりバスタブに浸かり、リラックスしながら大好きなドラマを見る。

私は、若くて美人で、でも少し屈折していたり一筋縄ではいかないタイプのヒロインを好む。

だって、そこそこ可愛い程度の普通の女の子...つまり私のような女がハイスペ男子に熱烈に愛されるなんていうストーリーじゃ、全く共感できない。

そんなの、全然リアルじゃないから。


ドラマティックに愛されたいと願う莉乃が、“愛され女子”から受けたアドバイスとは…?

“愛され女子”からのアドバイス


「えー!啓介君、それはさすがに淡白過ぎる!」

『和光アネックス ティーサロン』で、友人・あやのが大きく目を見開いた。



あやのと知り合ったのは、1年ほど前に参加したとあるお食事会。

彼女とはお互いの外見レベルが一致していて、しかも好みの男性が被らない。一緒にいて害がない私たちは、大人になってから、しかもお食事会という場で知り合ったのにも関わらず急速に仲を深めた。

裏表なく自分の意見を言ってくれるあやのを、私は信頼もしていた。

彼氏の啓介に出会ったのも、あやのと共に参加したお食事会。それゆえ必然的に、啓介の愚痴はあやのに零すことになるのだが…。

「ともかく、莉乃。女は愛されてこそじゃない。啓介さん、たしかにめっちゃイケメンでハイスペックだけど、はっきりいってサボってるわよ。莉乃レベルの女の子の彼氏っていうポジションを得てるのに、それにふさわしい努力をしてないわ!」

10層構造で見た目も美しい名作のチョコレート・パフェを目の前に、あやのは私のために力説してくれている。

彼女の、迷いのない熱弁を聞いていると、やはり自分は啓介にそこまで愛されていないんだろうなぁ、という気がしてしまうから不思議だ。

「別に、大きな不満ってわけじゃないのよ。必ず奢ってくれるし、ちゃんと好きとは言ってくれるし…」

ただ絶望的に情熱に欠けるだけ、という言葉は飲み込む。

そんな私に、あやのは何かを思いついたようにため息をつく。そして自身のスマホを私の前に突き出した。

「見て。これなんだと思う?」

見せられたのは、あやのと彼氏がやり取りをしているLINEトークのスクリーンショット。あやのが彼氏から、毎日ものすごい数の愛の言葉を囁かれていることが分かった。

「う、うん…あやのいいね、愛されてるじゃん」

思わず感じたままの言葉を放つと、あやのはまたも力説を始める。

「私ね。そりゃ昔は啓介さんみたいな、ハイスペックで顔のいい男が好きだったわよ。でも、今の彼と付き合って分かったの。大事なのは、相手のスペックでも買ってくれるものでもなくて、どれだけの情熱を自分に注いでくれるかなのよ!」

そして、見て!と言わんばかりに、少し小太りで、決してイケメンとは言えない彼氏とのラブラブなツーショット写真をスマホに表示する。

お人形のような美貌のあやのと彼が並ぶと、まるで美女とぬいぐるみのようだ。

「ね、莉乃。彼の仕事、和菓子職人よ。お給料は役員秘書の私と同じか、それ以下って月もあるわ。けどね、お金なんて関係ない。彼の情熱的な愛の言葉で、私本当に幸せなの!莉乃も啓介さんに訴えてみるべきよ。もっと私を大切にして!って」

和菓子職人とはいえ、あなたの彼は老舗の和菓子屋の2代目じゃ…?という言葉はスルーされた。

啓介には、確かに物足りなさを感じていた。しかしあやのにも言った通り、大きな不満を持っているわけではなかったのだ。

だがこんな風にあやのに力説されてしまうと、熱烈に愛されていない私は、“愛され女子”あやのより劣っているのかもしれない。そんな風に感じ始めたのである。


思い切って彼氏に訴えてみることにした莉乃。その結果は、いかに?

「ね、啓介」

金曜日の夜。

シンプルで余計なもののない彼の部屋。私は、いつも通りのやり方でシャツに手をかけようとする啓介の手を止めた。

ご飯を食べに行って、啓介の家に来て、泊まって。

その一連の行動はたしかに恋人同士だからこその営みだ。けれど、やはり物足りない。情熱が足りない。すべてが予定調和で、特別感がない。



思い切って打ち明ける。

「私、啓介と付き合っていてもあまり愛されてるって感じしないんだよね」

啓介の手を戻しつつ、しっかり目を見て伝えた。

話すタイミングが良かったのか悪かったのか。男モード全開になっている啓介は、とにもかくにも私の望む通りの言葉を言ってくれた。

「わかった。これからはもっと愛情表現をするよ」

その言葉を聞いて私は彼をようやく受け入れ、そしていつも通り朝を迎えた。

「ねぇ。こういう時も私と付き合えて良かった、とか言って欲しいの」

まだ夢うつつの啓介。私はシーツにくるまりながら、あやののアドバイスに従い甘えた声を出してみる。すると啓介は、素直にそれを実行してくれた。

「莉乃と付き合えて、俺は幸せだよ」

...なんだ、こんな簡単なことだったの。私は心底拍子抜けしてしまう。

あまりに思い通りに事が運ぶものだから、私はついつい調子に乗ってしまった。



“愛され女子”のアドバイスに従った結果...予想外な結末が訪れる


私は啓介に、LINEはできれば1日3回はして欲しいこと、常に愛の言葉を囁いて欲しいと伝えた。デートの内容にも工夫を凝らして欲しいし、もっと情熱を感じたいのだと。

あやののアドバイス通り、男性に伝わりやすいよう的確に、手短に伝えたつもりだ。

その甲斐があり、実際に啓介は、初めのうちはしっかりその要望を満たしてくれた。私も満足していた。

しかしそれは最初だけだった。しばらくすると啓介のLINEは以前のように1日に1回に戻り、それどころか、デートの約束さえ途切れがちになっていったのだ。

一体、どういうこと?

せっかく本音でぶつかり、分かり合えたと思ったのに。私は啓介に説明を求めたが、曖昧にはぐらかされてしまう。

どうしようもなくなった私は、“愛され女子”あやのに相談した。彼女の回答は「だから、それまでの相手だったのよ。莉乃はさっさと自分を愛してくれる人を探すべきだわ」というもの。

その通りだ、と思った。

啓介は所詮、私のことを大して愛してはいなかったのだろう。であれば、新しい彼氏を探すのみだ。


私は再びお食事会へと繰り出し、今度は自分の言うことを最優先してくれるような男性を狙うことにした。

すでに彼氏がいるあやのは新しい恋人探しに協力してくれ、そのおかげで私は非常にスムーズに、新しい出会いを見つけることができた。

「莉乃ちゃん、莉乃ちゃん」

新しい彼氏は、有名とは言い難い精密機器メーカーに勤める同い年の洋平。

だがあやのの言った通り、彼は私を決して落胆させなかった。

私が右といえば右に従ってくれるし、LINEの連絡も欠かさず、寂しさを感じる暇もないほど常に愛の言葉を囁いてくれる。あやのの彼氏と一緒に、4人でもよく遊びに行った。

妹は「…前の彼氏の方が良くない?」と言ってくるが気にしない。大切なのはスペックではない。私への情熱なのだ。


だが...ようやくたどり着いたはずのその答えに、再び疑問を抱くことになる事件が起きた。


ある日、急にあやのと連絡が付かなくなった。

連絡先を知っていた和菓子職人の彼にも事情を聞いてみたが、なんと彼もある日突然あやのからLINEをブロックされてしまったというのだ。

仲の良い友人だと思っていた。しかし所詮お食事会で出会った関係なんて、こんなものなのかもしれない。一抹の寂しさを感じたが、しかし深追いしようとまでは思わなかった。

だがその数ヶ月後。私は別のお食事会仲間から、信じられないニュースを耳にしたのだ。

なんと元彼の啓介が、最近付き合いだした彼女と結婚するという。結婚の馴れ初めは授かり婚で、相手の女性は役員秘書をしている美貌の女...名前は「あやの」というらしい、と。


▶NEXT:4月26日 金更新予定
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