男に甘えるとか、媚びるとかあり得ない。高学歴・美貌の女が男嫌いになった理由

男に甘えるとか、媚びるとかあり得ない。高学歴・美貌の女が男嫌いになった理由

この街では、誰しもが“コンプレックス”を抱えて生きている。

あなたも身に覚えはないだろうか?

学歴、外見、収入…。どれだけスペックを磨き戦闘力を上げても、どんなに自分を取り繕っても、何かが足りない。「劣っている」と感じてしまう。

…そう、それがコンプレックスだ。

先週は「彼氏に愛されていない」というコンプレックスを抱える女を紹介した。

今週は、「男が嫌い」というコンプレックスを持つ起業女子・横田樹里(28歳)の例をお届けする。



横田樹里のコンプレックス:「男が嫌い。それでも、上手に甘えられる女になるべきなの...?」


今の時代、ちょっと本気で頭を使えば、何だって独りで出来ると思いませんか?

女だからといって、男に頼る必要なんて微塵もない。

わざわざ自分の能力を押し殺し、何もできないフリをして、男に甘えたり媚びを売る必要がどこにあるのでしょう?

Amazonを使えば、重たい荷物を抱える必要もない。地頭の良さと度胸さえあれば、男なんかに媚びずともお金は稼げる。

誰に頼ることなく起業で成功した私が何よりの証拠。女だって、十分に自立して生きられるんです。


私の母は専業主婦で、父はいわゆるエリート官僚でした。

実の父を悪く言うのはなんですが...これがものすごいモラハラ男だったんですよ。

母の体調が悪い時でさえ、7品以上のおかずを用意するのが当たり前、とか。潔癖症の父がすぐに文句を言うから、家の中は常に異様なほど整えられていました。

しかも、高給取りの癖に家族に使うお金は渋るんです。父は頻繁に車を買い換えていましたが、母や私たちには節約を強要。母がドラッグストアで口紅1本買うのを躊躇していたこと、今でも忘れられません。

いつも家族の誰より遅く寝て、誰よりも早く起きている母。それなのに父の機嫌一つで怒鳴られたり、自分の意思を持つことさえ許されなかった。

そんな母の姿を見ていた私は、幼心に「絶対にこうはなるまい」と誓ったんです。

猛勉強の末、父と同じ大学に入学。在学中にスマホアプリ事業で起業し、順風満帆の人生を送ってきました。

けれど25歳を過ぎた頃でしょうか。次第に"生きづらさ”を感じるようになったのです。


男に頼るなんてまっぴら御免。そう思っていたはずの樹里が、生きづらさを感じるようになったきっかけとは?

もうお分かりだと思いますが、私は男性が好きではありません。

生育環境が影響しているのでしょうね。

...男性との交際経験ですか?ありますよ、一応。多くはありませんが。自分で言うのもなんですが、私の外見は美人の類に入るようで、まったくモテないわけではないんです。

大学時代には、話の合う男友達もできました。

ただ私は男性と話すとき、一切媚びを売れません。男って、どうしてああも自慢話が好きなんでしょうね。ドヤ顔で語り出されると、逐一正論で突っ込みを入れてしまいます。

その結果、大半の男性からはライバル視されるか、ディベード仲間として見られるか。けれどそれが私の性分ですから、仕方がないと思っていました。

けれど...そんな自分に、危機感を覚える出来事が起きたんです。



あれは...忘れもしない、半年ほど前のことです。

外資系コンサルティングファームに勤める友人・陽子と、彼女が連れてきた同僚の男性数人と飲みに行く機会がありました。

媚びることが壊滅的に苦手な私は、男性陣が自分の担当しているプロジェクトの金額を自慢しあっているのが、どうにも気に障ってしまって。

ついうっかり「まあ...どっちにしろ会社に所属していないければ、その仕事できてないよね」と発言。その場をすっかり白けさせてしまったんです。


男性陣がいなくなった後、陽子は私にこう言いました。

「樹里、あのね…。男性に媚びたくないっていうのと感じが悪いっていうのは違うのよ」

控えめな物言いでしたが、彼女の言葉はぐさりと刺さった。

媚びる必要などない。下手に出る意味がわからない。しかしそれは私の主張。私側の理屈です。

そんな私の態度を相手がどう感じるか。どのように受け取るか。それについて考えを及ばせてこなかったことに、恥ずかしながら私はこの時初めて気がついたのです。

これまでは、このままでいい、これが私なのだからと思って生きてきました。

しかし年齢を重ね、大人の女性として社会でうまく立ち回るには、人との付き合い方...特に男性とのコミュニケーションを考え直した方が良いのかもしれない。

もしかすると、自分の会社の社員にもワンマンだと思われてしまっているのかも...。

「私は樹里に幸せになって欲しい。結婚は別に樹里の自由だけどさ、もう少し肩の力を抜いて、少し甘えるくらいいいじゃない。お母さんに甘える感じで。ね?」

諭すように続けた陽子の言葉に、私は大きく頷きました。

そして危機感を感じた私は、物腰柔らかなやりとりを学ぶためにも、今までは断り続けていたホームパーティの類に顔を出してみることにしたのです。


男性とのコミュニケーションを円滑にしたい。手慣らしにホームパーティーに参加した樹里だったが...。

「お〜来たか。さ、入って入って」

広尾駅からほど近い、高級低層マンションの一部屋。

私は、同い年の起業家仲間が主催したホームパーティに参加していました。

まるで海外のような雰囲気のテラスや開放的なリビングで、20人を軽く超える男女がパーティに興じています。



「お。美人だねー。あいつの友達なの?」

さっそくある男性から声をかけられた私は、今こそ自分を変える時だと決意を新たにします。

「あ…じゅ、樹里です!」

男性受けを意識したファッションに身を包む周囲の女の子たちを真似て、下の名前で自己紹介をしてみました。

彼女たちの仕草を盗み見ながら、彼に続いてソファに腰掛け、足を組んで座ってみせます。

しかし...ものの数分で、私は飽き飽きしてしまったんです。彼の話があまりにもつまらなくって。

起業ってまだ1年目だったの。自慢げに語ってるけど、そのサービス、突っ込みどころ満載じゃない。あぁそんな説明、いちいち言われなくても分かってる…!

...苦痛でしかありませんでした。

それでも必死で笑顔を作り、突っ込みを入れたくなるのも堪えじっと我慢したのです。

しかし私の反応が「すご〜い」など、わかりやすい賞賛でなかったのが引っかかったのでしょう。

ひとしきり話したあと、彼は「…なんかスゲーつまんなそうだよね」と言い放ち、さっと私の元を去りました。

しかも、その様子を見ていた他の男性までが信じられないような発言をしたのです。

「お前さ、いくら美人でもそれじゃあモテねーよ。もう30になるんだろ?20代のうちになんとかしとけよ」

酔っ払っていたのだとしても、あまりの侮辱。失礼極まる発言に耐えかね会場を後にした私は、怒りに震えながら帰路に着いたのでした。


やっぱり生き方は変えられない。けれど...


「それでは、スマートフォンはこちらで回収します」

あのホームパーティの後。

どうしても自分というものを捨て切れなかった私は、尊敬する女性起業家の先輩の勧めで、瞑想道場なるものに参加してみることにしました。

というのも、"マインドフルネス”と呼ばれる瞑想が流行っており、人の上に立つ人間こそ、瞑想を通して自分を内観することが大事だという意識が起業家仲間で高まっているらしいのです。

都心ではあるものの、静かな環境のお寺で3日間ずっと瞑想し続けるという、まるで修行のようなプラン。

最初は私も気乗りしませんでした。しかし先輩の言葉が背中を押したのです。

「私ね、事業で数千万円の損失を出してしまったことがあって。瞑想でメンタルを整えられたわ。悟りが開けるというか...自身を苦しめている問題の根本にたどり着けるのよ。なんとか軌道修正を図ることが出来たのは、絶対に瞑想道場に参加したおかげだと思う」

問題の根本にたどり着ける...?もしかして、私を苦しめ続けている“男嫌い”の解決法が見つかるかもしれない。

それならば...!と、参加を決意したのです。


そして3日間、ひたすら瞑想に打ち込んだ結果...私はある結論にたどり着きます。

「私、やっぱり無理」

モラハラで傍若無人だった父親のことも、自分の実力でもないのに自慢げに語る男のことも、ホームパーティで暴言を吐いた男も。好きになれるはずなんかない。

媚びたり甘えたりして彼らに気に入られる必要が、一体どこにあるというの。

何もかもを吹っ切り、以前のように強気な自分を取り戻した私は、晴れやかな気持ちで道場を後にしました。

すると目の前に、見事な新緑が広がっています。

その美しさにしばし感動していると、背後からある男性が声をかけてきました。

「綺麗ですよね…」

振り返ると、見慣れた顔がありました。この3日間、道場でともに過ごした男性です。

「本当に。凛としていて立派で、軸がしっかりとしていて、ぶれない強さを感じます」

感じたままを言葉にすると、彼も「そうですね」と深く頷いてくれました。

「...私も、こんな風でありたい」

思わず呟いて、私は初対面の人に何を言っているのかと恥ずかしくなってしまいました。

照れ笑いで俯いていると、そんな私に彼はこう続けたのです。

「僕はあなたのことをよく知りませんが、とても凛とした方だなぁと思っていました。意思の強さを感じるというか...。まさに今、目の前に広がる緑のように」

私たちは、自然と笑顔を交わしました。

彼との会話は何らの無理をせずとも楽しく、そしていつまでも途切れることがありませんでした。


▶NEXT:5月3日 金更新予定
恵那、24歳、モデル。美しいことが正義の世界で生き抜く女が、コンプレックスの闇に迷い込む。



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