「俺たち、そういう関係じゃないだろ…?」感情を抑えがちな乙女座の、酷い男との過去

「俺たち、そういう関係じゃないだろ…?」感情を抑えがちな乙女座の、酷い男との過去

人生には思いがけない出来事が、いくつも用意されている。

良いことばかりが人生ではない。

受け止めきれずに取りこぼしてしまうこともあるだろう。時には呼吸ができないほど苦しい時もある。

そんな困難に直面し、心が折れてしまいそうになった時、ほんの少しだけ背中を押してくれる存在に出会えたなら、人生は好転していくのかもしれない—。

これは生まれ月の違う12星座の女たちが、ある存在をキッカケに自分を取り戻していくストーリーである。

前回は、離婚を決意した“獅子座の女”を紹介した。今回は―。



名前:丹羽綾子(31歳)
誕生日:9月5日
職業:衣料品メーカー マーケティング部
住居:中目黒


Case.6 感情を抑えがちな乙女座の女


「じゃあ、また連絡するよ。」

いつも通り、彼はそう言ってほほ笑む。デートの終わりに、必ず。

最近のデート相手である庄司清太は、食事した後に必ず綾子をマンションの前まで送り届けてくれるのだが、綾子の家に上がろうとしたことも、その逆もない。

―また、今日も食事だけ…。

知り合って半年、二人きりでデートをするようになって2か月も経つというのに、彼との関係は一向に進展する気配を見せない。

食事も、映画も、美術館にも行った。しかし体の関係どころか、手をつなぐことさえない。平日の夜か、休日の夕方から2人で出かける、ただそれだけなのだ。

今までデートしてきた男たちとは全く異なる庄司の不可解な行動に、綾子は頭をひねらせていた。

外資系メーカーに勤める傍ら、自らも起業しコンサル会社を経営する彼が多忙なことは十分承知している。

LINEはなかなか既読にならないし、必要最低限のメッセージしか寄こさない。けれど、たまに会って話をすれば、きちんと綾子の目を見て熱心に話を聞いてくれる。

年上の男性らしいスマートさを兼ね備えた彼に、綾子はあっという間に心を奪われてしまったというのに。

歳を重ねるごとに、恋愛というものがどんどん難しくなっていくことを実感する。

エレベーターのドアが閉まると同時に、綾子は深いため息をついた。

―結局、また都合のいい女扱いされてるってことかな…。


前に進めない綾子の、過去のトラウマとは…

年齢を重ねるにつれて“恋愛”はどんどん難しくなっていく。友人と恋人の境目が曖昧になり、愛の告白なんてもう何年も縁がない。

ただ何となくデートをして、気が付くと恋人のような関係になっている。わざわざ言葉で確かめなくても、大人の恋愛とはただ何となく“恋人のような空気”に流されているだけなのかもしれない。

いつの間にか“身を焦がすほどの恋”というものから、綾子は遠ざかっていることに気付いていた。

いや、意図的に遠ざけているのだ。

間違いなく、庄司という男に心惹かれている綾子だったが、その関係を自分から進展させることがどうしてもできない理由があった。





「私、あなたが好き。」

ちょうど一年前、梅雨入りが発表された日のことだった。

音もなく雨が降っていたその日、綾子はさらさらと心地の良いサテンのシーツにくるまり、隣でうとうとしていた同僚の男に、その想いを伝えたのだった。

勢い余っての言葉だったが、改めて口にするとやけに恥ずかしくて、年甲斐もなく顔が赤くなっていくのが自分でもよく分かった。

しかし、綾子が愛を告白した男は、予想もしなかった言葉で彼女の心を見事に打ち砕いたのだ。

「え…、俺たち、そういう関係じゃないだろ?」

寝ぼけた声ではぐらかされた綾子は、咄嗟に作り笑いを浮かべ「冗談に決まってるでしょう、友達として好きって意味よ」と答えたのだった。

その男に未練があるわけではない。

けれど、思い切って伝えた自分の想いを、自ら「冗談」にしなければならなかったことを思い返すと、庄司との関係をどう進めたらいいのかなんて、少しも思いつかない。

窓を開けると、五月の湿った空気が部屋に流れ込む。

もうすぐ、雨が降るのだろう。

綾子は憂鬱な気持ちを振り切るようにスマホを取り出し、ある人物にメッセージを送った。


過去のトラウマに苦しむ綾子がメッセージを送ったのは…

『ねえ、今日も何もなかったわ』

泣き顔をした猫のスタンプを添えて、綾子は友人の瞳に連絡を入れる。

すると金曜日の夜だというのに、メッセージはすぐに既読になり返信をしらせる着信音が鳴った。

『また!?今時珍しいくらい草食ね』

『ね…。『イルボッカローネ』のリゾットは最高だったけど』

それからしばらく他愛のない会話が続いた。瞳もまた、綾子と同じく何度デートしても振り向いてくれない男に恋をしていたのだ。

『私、女として魅力ないのかな…』

『綾子と違って、私は誘われもしなかったんだから。むしろ諦めるのは早いんじゃない?』

そんな瞳の一言に、思わず返信に詰まる。“でも”と、打ちかけて、思い出したのは、本気の告白を冗談にせざるを得なかったあの日の出来事だ。

しばらく固まっていると、瞳から「おまじないみたいな感じだけど、結構いいこと書いてあるから読んでみてよ!」と、あるURLが送られてきた。



乙女座 5月の運勢


まずは、お疲れ様です。今年に入ってから、特に3月ごろから忙しくしていた乙女座の方も多かったかと思います。ひとまず、無事に5月を迎えられたことに一息つくタイミングです。

ただ身近な人の言葉によって気分の上下が激しい1か月となりそうです。そんな時は自分自身を見つめなおし、様々な方法で前に進もうと努力を重ねた自分を、ぜひ誉めてあげてください。ご褒美に、身に着けるものを新調するのもいいかもしれません。

5月後半からは、年始から蒔いた種が少しずつ芽を出す時でもあります。今まで半信半疑だった自分の行動にも結果が伴い始め、大きな自信へと繋がってゆく気配です。

気を付けてほしいのは“約束事”を大事にする、という事です。一度決めたことをたやすくひっくり返さず、じっくりと向き合い微調整しながら物事を進めると、より良い結果となるはずです。

21日以降は、あなたにスポットライトが当たるタイミングが訪れそうですが、いつも通り気楽にしてください。

あなたは十分、準備してきたのですから。

ラッキーデイ:5月21日

Horoscope:J・ミナト


5月の運勢を知った、綾子だったが…

『ごめんね、あんまりピンとこなかった笑』

綾子は瞳に正直な感想を伝えた。

J・ミナトの占いには「5月後半からは、年始から蒔いた種が少しずつ芽を出す時」とあったが、その兆しは全く感じられない。

『まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦だからね』

『そうだね、ありがとう。もうそろそろ寝るね。』

長引きそうなLINEを切り上げ、綾子は布団にもぐりこむ。

―私に、褒められるところなんか一つもないわ…

これまでの日々を振り返っても、失敗ばかり。自分のペースを乱さず、また傷つかないように必死で、頑張ってきたことなど何も見当たらない。嵐のような毎日が過ぎ去るのを、ただジッと息を殺して待っているだけなのだ。

ルーティーンから外れたことをすれば、きっとあの日のようにバカを見る。

“冗談に決まってるじゃない”

苦々しい気持ちであの日の出来事を思い返していたちょうどその時、スマホが鳴った。

『今日はありがとう。いきなりで悪いんだけど、今週末会える?』

庄司から、突然の連絡だった。

綾子は戸惑いながらも、「ゴールデンウィークも過ぎたから、空いているうちにドライブしよう」という彼からの提案に「もちろん」と即レスした。



そして、約束当日―。

いくら進展していないといえど、好きな男性からの誘いに心を躍らせながら、新調したばかりのワンピースに袖を通す。

綾子は、待ち合わせ時間ぴったりに、マンションの植え込みの前で彼を待った。

軽やかな新品のワンピースが風になびくたびに、心が跳ね上がるのを感じる。連絡があった翌日、慌てて表参道ヒルズまで買い物に出かけたのだ。付き添ってもらった瞳はいたずらっぽく微笑み「J・ミナトに影響されてるじゃない」と言っていた。

「確かに」と笑って、新調したワンピースの入ったショップバッグを持つと、意味もなく落ち込んでいた自分が嘘のように消え去っていったのだった。



「それ、すごく似合うね。」

会うなり、庄司は綾子のワンピース姿を何度も誉め、そのたびに顔が赤くなっていくのを感じた。

優しく穏やかな庄司の声は、綾子を心底安心させてくれる。

「突然だったのにありがとう。予定本当に無かったの?」

「ありませんよ。私を誘ってくれるのなんて、庄司さんくらいですから。」

綾子はわざと不貞腐れたように答える。少しだけ開いた窓から、さわやかな5月の風が入り込み、髪の毛を揺らした。

「綾子ちゃんと昼間に会うなんて、新鮮だなあ。」

不意にそんなことを口にする庄司に、綾子は意を決してあることを告げた。

「私たちが恋人になったら、昼間でも会えますよ?」

『J・ミナト』の言う「十分に準備してきた」という言葉の通り、綾子はもう自分自身が十分庄司という男に恋をし、そして今まで傷ついた分、正直でいようと思えたのかもしれない。

「私たち、付き合ってみませんか?」

意を決してそう言うと、庄司は今まで見たことのないような、困惑の表情を浮かべた。綾子は緊張で胸がはちきれそうになったが、彼は一瞬の間のあと、穏やかにうなずいてくれたのだった。


▶Next:5月27日 月曜更新予定
いつも一対一で失敗してしまう、天秤座女の恋。


<乙女座について>

英語名:Virgo
エレメント: 地
誕生日:8/23〜9/22

・責任感が強く、頼りがいがある
・几帳面で、やや神経質
・年上や年配に好かれる
・自分に厳しく、他人にも厳しい



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