前は、なんでもしてくれる夫だったのに。夫に突然見放され、妻が向かった場所とは

前は、なんでもしてくれる夫だったのに。夫に突然見放され、妻が向かった場所とは

—女は、愛されて結婚するほうが幸せ。

その言葉を信じて、愛することよりも愛されることに価値を見出し、結婚を決める女性は数多くいるだろう。

めぐみも、夫からの熱烈なアプローチを受けて結婚を決めた女のひとりだ。

だけど、男女の愛に「絶対」なんて存在しないのだ。

好き放題やってきた美人妻・めぐみ(30)は、夫の様子がおかしいことに気づく。夫を大切にすることを完全に忘れてしまった妻の行く末は…?

◆これまでのあらすじ

夫・弘樹が不在の間、自由を謳歌し過ぎためぐみは、義母からの連絡を無視してしまう。義母の逆鱗に触れてしまったが…?



−なんで電話に出ないのよ…!

めぐみは、プルルルルと呼び出し音が鳴り続けるだけで一向につながらない電話に苛立っていた。

2分以上呼び出しても応答しない。仕方なく中止ボタンを押すと、すぐにLINEにメッセージが届いた。

“ごめん、打合中。夜にでもかけ直す”

−よ、夜…?昼休憩くらいあるでしょ!?

昨日電話に出なかった自分のことは棚に上げて、めぐみは“大至急!”と返信を打つ。

義母を怒らせてしまったため、すぐに対応策を相談したかったのだ。

義父の入院を知らせる連絡を無視し続け、夫の出張を把握していない嫁。義母の自分に対する評価は最低だ。

事実、吐き捨てるように「とんでもないわね」と言われてしまった。

一刻も早く汚名返上しなければならない。

どうして良いか分からずめぐみが苛立っていると、緊急事態を察したのか、弘樹から電話がかかってきた。

「ねえ、お義母さんから連絡があったんだけど、私…」

応答しためぐみは、弘樹の言葉も聞かずに、義母を怒らせてしまったことなどを次から次へと、興奮気味に話し始める。

しかし、15秒も経たないうちに、弘樹は「俺忙しい。自分でどうにかしてくれ」と告げて、一方的に電話を切ったのだった。


弘樹に突き放されて動揺するめぐみ。次なる一手は…?

自分で判断しない女


−信じられない…!

まさか、自分でどうにかしろなんて言われるとは、思ってもみなかった。

これまでの弘樹は、「俺がどうにかしておくから」とか「迷惑かけてごめんな。あとは任せて」と、善処してくれた。

今回もそういう対応をしてくれるものだと思って相談したのに、全くの想定外だ。

−じゃあ、私はどうしたらいいの!?

めぐみは、軽いパニックに陥った。



自分は、指示通り動くのは得意だが、自発的に何かをするのは苦手だ。

それに、気は強いが自分から主張することはない。提案されたことに、YESかNOで答える立場だと思っているからだ。

“今の気分はイタリアンだな。イタリアンはどう?”→“NO”

“じゃあ、和食はどう?”→“YES”

こうやって、周囲がめぐみの気持ちを察して提案してくることに答えるだけで生きてこられたのだ。

だから、あまりにもストライクゾーンを外した提案をしてくる男は、「外す男」と判定、お断りしてきた。

自分の趣味は別に、個性的なわけではない。ヴァンクリのアルハンブラ、セリーヌのラゲージ、モンクレールのダウンのような、いわゆる王道が好き。そんなに難しくはないはずだ。

そうそう。弘樹と付き合う前の話だが、衝撃的に外す男がいたっけ。企業弁護士で、ルックスも悪くなかったのだが、とにかく外しまくる。

「大自然に囲まれた場所で癒されよう」と小旅行を提案され、てっきり軽井沢や伊豆周辺の温泉だと思ったら、千葉の牧場でのキャンプだった。

「限定品なんだ」と、某有名ブランドのショッパーを渡された時には心踊ったが、開けて見たらアバンギャルド過ぎて、着て行く場所のないワンピースとか。

なんかこう…、違うのだ。

−そんなことどうでも良いわ。早くお義母さんのこと、どうにかしなくちゃ。


頭で考え、自発的に動くことのできない妻。めぐみの行く末は・・・。

謝罪しなくちゃ


−まだ未読なの!?ASAPなんだけど!

掃除機をかけ終えためぐみは、ソファに戻ってスマホをチェックした。

困り果てた挙句、ひとまず友人の千春と樹里に意見を求めることにしたのだが、返信はきていない。

よくよく考えてみれば、平日の昼間、すぐに返信がこないのも当然だろう。

めぐみはため息をつくと、スマホで“義母 怒らせた”と検索した。するとそこには、義母との関係に悩む嫁たちの悲痛な叫びが溢れている。

義母とうまくいっていない嫁というものが、世の中にこんなにもいるなんて。めぐみは、それらの投稿を読みながら、同志を見つけたようで少しホッとしていた。

結局あれこれ調べた結果、まずは義母に謝罪するという最も基本的で当然の回答にたどり着いたのだった。

−直接会いに行って謝罪するしかないか…。

弘樹の実家は、三軒茶屋にある。門前仲町のマンションからは少し遠いが、1時間もあれば行ける距離だ。

それに、電話で聞きそびれてしまったから、義父の入院先や病名、深刻度合いも分からない。

義母がバタバタしているのであれば、それを手伝うことで許してもらえる可能性も高まるのではないか。

苦手な義母に一人で会いに行くのは勇気がいるが、この状況で静観しているのも気が引ける。

−よし!

義母も大好物の『梅花亭 深川不動尊仲見世店』のどら焼きを持って実家に行くしかない。

めぐみは、シックなワンピースに着替えて出かける準備を開始した。



弘樹の実家のマンションエントランスで、めぐみは、何度も深呼吸をした。インターフォンで部屋番号を押すだけなのに、なぜかものすごく憂鬱なのだ。

不審に思ったのか、管理人に「お伺いしましょうか」と声をかけられてしまったため、慌てて部屋番号をプッシュする。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。

呼び出し音が響くだけで、部屋から反応はない。

−外出しちゃったのか…。

連絡もせず来たのだから、仕方ない。近くのカフェで時間をつぶして、数時間後に改めて来ようと踵を返した次の瞬間。

「めぐみさん?」

背後から声をかけられ、めぐみが振り返ると、そこには義母が立っていた。

「ご、ご無沙汰しております」

まずは謝罪をと頭の中でイメトレしてきたのに、驚きのあまり定型文しか出てこなかった。

「どうかしたの?」

めぐみは、振り絞るように声を出して、深々と頭を下げた。

「あの…。申し訳ありませんでした」

そろそろ顔を上げようかと迷っていたところ、義母の声が頭上から降りかかってきた。

「電話に出ないほどって、何かあったの?」

「えっと…その…勤め先の人と飲みに行っていました」

うまい言い訳が思いつかず、めぐみは、ありのままの事実を口にしてしまった。

すると、義母の顔が見る見るうちに曇っていく。

「既婚の女性が深夜までなんて、信じられないわ!」

義母は、夫に尽くし、良妻賢母を地でいくようなタイプだ。深夜まで飲み歩いていたなんて、軽蔑されても仕方ないだろう。

めぐみは、「病院に行くわ」といって立ち去ろうとする義母に、無言のまま付いて行くことしか出来なかった。


▶︎Next:10月22日 火曜更新予定
ついに弘樹が出張から帰ってくる。義母、夫ともに関係が最悪のめぐみはどうするのか…?













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