「誰と浮気してるの・・・?」男がシャワーを浴びている隙に知った、辛い現実

「誰と浮気してるの・・・?」男がシャワーを浴びている隙に知った、辛い現実

女には少なからず人生に一度、“大人の男”に恋する瞬間がある。

特に20代前半、社会人になりたての頃。

だが場合によっては、その先にはとんでもない闇が待っている場合も…なくはないのだ。

◆これまでのあらすじ

圭太との関係を絶ちきれずにいた咲希。勇気を出して本当のことを聞き出そうとするが、圭太にあっさりとかわされてしまった。

そんな中、大学時代の親友の晴香から突然の連絡が。付き合っていた彼氏に浮気され、別れたという。自分も大好きな先輩の浮気相手になっていることを自覚した咲希はついに夏休みを迎え、大阪に帰省することとなる。



―もう、会っちゃいけないのに……。

咲希は大阪に帰る荷物を持って、圭太との待ち合わせ場所の恵比寿駅へと向かっていた。

夏休みに大阪に帰る前に、圭太にランチに誘われていたのだ。

梨江子に対する罪悪感は日増しに強くなり、自分でもどうしていいか分からなくなっている。

「咲希ちゃん、おはよう」

待ち合わせ5分前に着いたのだが、今日は圭太が先に改札の前で待っていた。圭太の私服はもう見慣れたが、それでもやはり心が惹かれるのを感じる。

「お待たせしてすみません」

「全然大丈夫。咲希ちゃんに早く会いたくてさ」

圭太には梨江子という彼女がいる。

それは揺るぎない事実なのだが、圭太と話していると、その瞬間だけは圭太にとって世界に一人だけの存在になれるような気がした。

もしかしたら、圭太は昨日梨江子と別れたのではないかー。

そんな甘い妄想は、手を繋ぐ素振りも見せない圭太にかき消された。圭太の存在は咲希の気持ちを明るくする反面、心をぐしゃりとさせるのだった。

「咲希ちゃん、今日も可愛い」

ニッコリと微笑む圭太を見ていると、先ほどまであった胸の突っかかりはすっと消えていく。

しかしそれは、圭太と別れた瞬間にまたやって来て咲希を苦しめることを、もう知ってしまっている。それでも会っているうちはそのどす黒い気持ちからは解放されるため、咲希はまた圭太に会いに行ってしまう。

「美味しかったね」

圭太と咲希は『ビストロ アム』でランチをし、駅へと向かっていた。

「ご馳走様でした。あんな素敵なお店、はじめて行きました」

「そっかそっか。喜んでもらえて良かったよ。今日はこれから大阪に帰るんだよね。忙しい時にありがとう」

圭太はそっと咲希の髪を撫でながら言った。

「また夏休み明けね」

駅には多くの人がいたこともあり、圭太の別れはあっさりしたものだった。

咲希は改札に向かって歩き出そうとするがその瞬間、圭太と別れた後にいつも襲ってくる暗い気持ちを感じた。


圭太と離れた瞬間感じたいつもの嫌な気持ち。その気持ちを抱えた咲希が取った行動とは?

―無理だ。

このまま一週間も圭太の存在をそばで感じられないと思ったら、とてもではないが耐えられる気がしなかった。

咲希は慌てて振り返り、すでに背中を向けて歩き出している圭太の元へ駆け出した。そして人目も憚らず、バサッと圭太の背中に抱きつく。

「わ、びっくりした。どうしたの?」

「あ、いや…」

圭太は、うまく説明できずモゴモゴしている咲希に目線を合わせるように少し屈んだ。

「もしかして寂しくなっちゃった?可愛い。帰って来たらいつでも会えるんだからさ。気をつけて行っておいで」

そう言って今度は、改札まで送ってくれた。改札を通って圭太の方を振り返ってみたら、もう圭太は後ろを向いて歩き出していた。

その背中を見ていると、心が地下深くに吸い込まれていくように、虚無感でいっぱいになった。



「咲希!久しぶりやん、元気してた?」

帰省初日、大学時代の仲良しグループの4人で食事をすることになっていたが、先日電話をした晴香は遅れてくるからということで3人で会話に花を咲かせていた。

大阪に向かう新幹線の中は落ち込んでいた咲希だったが、久しぶりに気のおけない友人たちに会って少しばかり圭太のことを忘れることができていた。

お酒もすすみほろ酔い気分になって来た頃、晴香が遅れてやって来た。

楽しい時間を過ごしていたのだが晴香の顔を見た瞬間、ついこの前の電話を思い出し、咲希は一気に現実へと引き戻される。

咲希の心にまた黒い波が押し寄せて来た。



「は!?」

酔いも手伝って、咲希は友人たちに全てを打ち明けた。咲希の話を聞いた友人たちは、一斉に非難を浴びせる。主には、圭太に対してだ。

「よく考えて。その圭太っていう奴には好きだとは言われてるけど、付き合おうなんて言われてない」

「うん」

「デートって言っても、おしゃれなレストランに連れて行ってくれるだけ」

「うん」

「手も繋いでくれないし、バイバイしようとして振り返ってももうおらん」

「うん…」

「挙げ句の果てに彼女がいる。しかも職場の先輩」

「うん…」

3人から一斉にため息が漏れた。

「咲希、そんなんオトナな男ちゃうで。ただの悪い男やん。いや、浮気男やな」

あははと冗談半分で笑っている晴香たちだが、咲希の心にはぐさりと刺さった。

「しかも悠くんとまで別れて…。悠くんから咲希と別れたって電話かかって来たで。なんか泣きそうな声してた。いや、あれは泣いた後の声やったな」

一方的にまくし立てられて最初は腹を立てていた咲希だったが、目の前に並べられた情報を整理すればするほど、なんて惨めな女なのだと悲しくなって来た。

別れて泣いてしまうほど思っていてくれていた悠とももう戻れない。

「そんな最低な奴、さっさと振ったり。こっちから振ったらびっくりされるで。いい気味やん」

言うのは簡単だよ…と咲希は一人悲しい気持ちになるが、友人たちに散々言われた後ようやく冷静になった。

自分は浮気相手であり、しかもその彼女は、お世話になっている先輩なのだ。

咲希はサッと立ち上がり口を開いた。


友人たちに散々言われた挙句、立ち上がった咲希が放った言葉とは?

「みんなありがとう、東京戻ったら圭太さんと別れる。よくよく考えたら私遊ばれてるだけやん」

咲希はスゥと息を吸うと一気に言った。

「そうこなくっちゃ!」

咲希の言葉を聞いて喜びの声をあげる友人たちを横目に、足早に化粧室へと向かった。

1人になると、我慢していた涙が溢れて来た。大好きだった圭太に遊ばれていたという悲しさなのか、悔しさなのか、怒りなのか、恥ずかしさなのか。

おそらくその全部が一気に押し寄せて来たのだ。

ひとしきり涙を流し、化粧を整えみんなの元へ戻ろうとする頃には、咲希はもうすっかりオトナの表情をしていた。

「すっきりしたみたいやな。イイ顔してるやん」

友人の声に咲希はにっこりと頷いた。


梨江子の本心


……最近、圭太の様子がおかしい。

最初はなんとも思っていなかったが、誰と、とも言わず飲みに行くことが多くなり、毎日のようにどちらかの家に泊まっていたのに仕事が遅くなるからと自分の家に帰ることも多くなった。

それに、そういう日に限って梨江子の予定を確かめてくるのだ。

今度は誰と浮気してるの?

梨江子は考えを巡らす。圭太の浮気に勘づくのが早かったように、その後の行動も早かった。

「梨江子、お風呂はいってくるね」

そう言ってスマホをベッドの上に置き、圭太はシャワーを浴びに行く。圭太が浴室に入ったのを確認すると、梨江子はそっとスマホのロックを解除した。

「……ふぅん、咲希ちゃんかぁ」

圭太の浮気相手を知った梨江子は、咲希をランチに誘ったのだ。

圭太と付き合っているという事実を告げると案の定、顔から色が抜けていくのがわかった。彼氏とまで別れたというから驚きだった。

端正な顔立ちとスラッとした高身長、その上仕事ができると来たら、年下の女はオトナに見える圭太にコロッと落ちる。圭太自身もそれがわかっているから余計にタチが悪いのだ。

梨江子は、よりによって圭太が直属の後輩の咲希に手を出したことに腹を立てた。

―許せない。

咲希とのランチの帰り道、梨江子はとあることを思い浮かべながら歩いていた。

「ま、どうせもうすぐ、いなくなるんだし」

ポツリと呟いた梨江子の言葉は、夏の湿った風に絡め取られていった。


▶︎NEXT:11月28日 木曜更新予定
実は圭太の浮気を知っていた梨江子と別れを決意した咲希。圭太はついに二人の女から別れを告げられる…!?



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