一生に一度であるはずの、結婚。

できれば妥協はしたくない。

だが経験者たちは口を揃えて、「どこか妥協した方が良い」と言うものだ。

何かを諦めないと、結婚は決められないのだろうか?本連載では、その核心に迫る―。

前回は、専業主婦となりキャリアを諦めた女を紹介した。今週は?



【File11:生活スタイルに拘っていた女】

名前:加奈
年齢:32歳
職業:デザイン会社勤務
結婚歴:4年
夫の職業:外資系投資銀行勤務


「実は結婚前から悩んでいたことがあったんです…」

今回話を伺った加奈さんは、長い手足が印象的な美人。

現在は飲食店などの内装を手掛ける大手デザイン会社に勤務し、仕事も家庭も順調なようだ。

一方、ご主人の潤さんは、アメリカのボストンに生まれ育った。その語学力と頭脳を活かして、現在は外資系投資銀行に勤務している。

しかも潤さんは高身長のイケメン。美男美女で才能溢れる2人は、非常にお似合いである。だが意外にも、加奈さんは悩んだ末の結婚だったそうだ。

「夫とは、交際3年の期間を経て結婚しました。でも結婚する直前まで結構悩んでいたことがあったんです。一緒に生活をしていく上で、本当に大丈夫なのかなって…」

一見完璧な夫婦に見える二人。しかし二人は内側にある、とある“ズレ”を抱えながら結婚したそうだ。


その男女の“ズレ”、直せますか?夫婦になる上で決めた覚悟とは

予定を決めない男、予定を決めたい女


二人が出会ったキッカケは、潤さんの同僚である男性からの紹介だった。

「元々私はその夫の同僚と、友人として仲が良くて。ある日彼が連れてきてくれたのが、潤だったんです」

初めて会った時からお互い感じるものがあり、最初はグループで遊ぶ仲から徐々に二人で食事へ行く仲に。そして半年くらいデートを繰り返し、正式な交際に発展したそうだ。

一見順調のようだが、加奈さんは主張したいことがあるという。

「最初の半年間は、“私たちの関係って何!?付き合っているの、付き合ってないの、どっち!?”ってかなりモヤモヤしたんですよ」

けれども、そんなモヤモヤは序の口だった。正式に交際に発展した後も、加奈さんの違和感は続く。

「何せ約束ができない(笑)週末のデートの約束とかもしたいのに、彼は当日起きてからその日の予定を決めたい人。忙しいから予定が見えない、ということも大きいとは思いますが、事前に約束するのを嫌うんです」

その一方で几帳面な加奈さんは、事前に予定をきちんと決めたい人だった。

「女性には色々と準備もあるし、デートに合わせて綺麗にしたいなぁと思うじゃないですか。でも彼の予定が見えないから、かなり振り回されていました」



多忙な潤さんは平日は仕事に追われているため、疲れていることが多く基本的にデートは週末のみ。

しかも週末でさえ予定が立てられないので会えない時間が増えていく中、交際1年半で潤さんの方から同棲のオファーをされた。

「“家に帰れば会えるんだったら、もう僕の家に住んじゃえば?”と。結婚前の同棲はできればしたくないと思っていたのですが、予定が分からなくて振り回されるのが嫌だったので同棲を開始しました」

だがここで、加奈さんは結婚に対して迷う事実に直面する。


「あまりにも、私と彼の生活スタイルが違ったんです」


外資系投資銀行勤務の潤さんの朝は非常に早い。早朝6時前には出社するため、5時半前には起きて会社へ行く日々。

一方の加奈さんの会社はフレックス制なので、10時過ぎくらいに出社していれば良い。

「とにかく、朝が苦手で…でも向こうが一生懸命起きて会社へ行くのに、隣でこっちだけ寝ているのも気まずいし、一緒に起きないわけにはいかない。だから必死に起きて、とりあえずすっぴんで見送りだけはしていました」

笑顔で見送った後、扉を閉めた途端に眠くて半目状態でベッドへ戻る日もあれば、一度起きてしまった以上家事をする日も。

加えて、潤さんは帰宅時間も遅い。しかも平日はお酒を一滴も飲まず、食事をしたら会話もなくさっさと寝てしまう潤さんの生活スタイルに戸惑ったそうだ。

週末の過ごし方も、全く異なっていた。

「私は昼過ぎまでダラダラ寝ていたいのに、向こうは朝からランニングとか行くんです。せっかくのお休みの日なのにすごいですよね」

とにかく生活スタイルがズレていた二人。そんなズレを抱えて結婚した2人は、幸せなのだろうか?


結婚する上で気にすべき“ズレ”と、気にしなくても良い“ズレ”とは

結婚生活は、お互いの歩み寄り。


結婚して約4年になる二人。生活スタイルがズレたまま結婚した二人の夫婦生活は、順調なのだろうか?

「結論から言うと、順調です。結婚前はこんなにも生活スタイルが違う二人が結婚して大丈夫かな?とかなり心配しましたが、案外なんとかなるもので」

お互いの生活スタイルが変わったわけではない。

けれども結婚して夫婦になった際に、お互いに譲れる点と譲れない点を譲歩しあったという。

「相変わらず潤は朝早いし、予定も組めないし、帰国子女特有の独特の“ゴーイングマイウェイ感”はあります。でも夫婦となって、その不安定さはあまり気にならなくなりました」

加奈さんからのお願いは、予定は見える範囲で良いから早めに教えて欲しいということだった。今のところ、彼なりに努力して予定を伝えてくれているそう。

そして問題の、朝早く起きて見送りの件はどうなったのだろうか。

「別に向こうも早朝からの見送りなんて期待していなかったみたいで(笑)だから起きられる日は起きるけれど、起きられない日は無理して起きないことにしました」



最後に、加奈さんは結婚に対して感じていた不安をこんな風に解説してくれた。

「血が繋がっていない男女が一緒に暮らし、夫婦になるってすごいことですよね。でもそもそも赤の他人同士なんだし、合わないことが多々あって当然だと思うんです」

そこでいかにお互いが歩み寄り、相手のことを思いやれるか。自分の意志を伝えながらも、向こうの希望を叶える努力ができるのか。

良い夫婦関係には、お互いの努力が必要なようだ。

「簡単なことのように聞こえるけれど、意外に難しい。でも“この人のためなら、何かを妥協してもいいかな”って思えるような相手と出会えて、そして結婚できること自体が、とても幸せなことなんだと思います」

恋愛においても、結婚においてもつい相手のアラを探して責めがちである。

でもそこだけを見るのではなく、自分の中で妥協できる点を見極め、譲る精神を持つことが夫婦円満の秘訣のようだ。

「夫に対して言いたいことなんて、山ほどありますよ(笑)でも一緒に暮らしていたら、不満なんて出てくるのが当たり前。それよりも、プラスの面を見ていけたらいいなと思っています」

そう語る加奈さんの瞳は、幸せそに満ちてキラキラと輝いていた。


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