「このまま、一生結婚できないかもしれない…」

そんな不安や焦りに、押しつぶされそうになったことはないだろうか?

見た目は悪くないし、モテなくない。これまでに、結婚しようと思った彼氏だっている。

「でも、どうして"結婚”できないの?」

そんな不安を抱える全ての女性に贈るストーリー。

◆これまでのあらすじ

元カレが3ヵ月で結婚したことをキッカケに婚活を始めるが惨敗続き。そんな時、占い師マダム・カミーリアに出会い、言われるがままに“目黒への引越し”を果たした。次は「スペースを作りなさい」と言われたが−。



−やだ、もうこんな時間!

金曜の夜、叶実は仕事が終わると洋服を着替えるため、急いで家に戻っていた。

まだ、元カレ聡と付き合っていた頃、2人で行くつもりで予約していた白金台にある『長谷川稔ラボ』の予約日だったから。

聡とは一緒に行けなくなったが、女友達を誘って行くことにしていたのだ。

こうして、会社帰りに一旦家に帰って、服を着替えてから出かけられるのも家が近くなった醍醐味だと感じながら、浮かれ気分でクローゼットの中からお気に入りの白のワンピースを選び、さっそく着替えて鏡の前に立つ。

「げっ…、こんなところに皺が…。それに、よくみるとなんか裾が少しほつれている気がする…」

叶実は、急いで裁縫セットを取り出し裾をとりあえず補正し、スチームアイロンを取り出し必死で皺を伸ばす。

「ふぅ、なんとか間に合った。バッグは…えっと…」

パンパンのクローゼットを見る限り、お目当てのバッグは見当たらず、壁際に置かれた段ボールの中だと気づく。

「まだ段ボールの中だぁぁぁ」

踏んだり蹴ったりで、思わずため息まじりの声が出てしまう。

−マダムが言ってたのは、こういうことなのかも…。私、確かに余裕ないわ…。こんなんじゃ、幸せが入る“隙間”すらないよ。


婚活中の叶実が、夜中にコソコソと部屋であることを開始

山手通り沿いでタクシーを降り、マンションまで歩きながら、叶実は「ふふふっ」と笑みがこぼれる。

2人のシェフのそれぞれの特色を楽しめるお料理ばかりで、大満足だったなぁと、素晴らしい食事の余韻に浸りながら歩いていた。

だが、コンビニの前を通るとワンピースを着た自分の姿がガラスに映り、急に現実に引き戻される。シワシワだったワンピースに必死でアイロンをかけ、裾を直した情けない自分の姿を思い出した。

−こんなんじゃ、急なデートの誘いにも応じられないよね。クローゼットの中、なんとかしなきゃ…。

部屋に戻ると、どうせなら今やってしまおうとクローゼットや段ボールを整理し始めた。

だが洋服を手に取る度に、元カレ聡との初デートや告白された日のことなど様々な出来事が思い出される。どれも大切な思い出ばかりで、どれを捨てればよいかと、途方に暮れクローゼットの前で座り込む。

それでも整理していると、“奮発して買ったのに、一度しか来ていない服”とか“靴ずれが出来てしまってほとんど履いてないブランドの靴”がたくさん出てきた。「いつか着るかも」「もったいないから」と引越しのとき実家から全部持ってきていたのだ。

自分が『過去にしがみ付いている女』になっているのではないか、とまだアルコールが少し残った頭で考える。

−マダムも整理整頓してスペースを空けなさいって言ったし。今の自分に必要なものだけを残して処分しよ。

叶実は、次々と仕分けし必要なもの以外は、スマホで写真を撮りながら、フリマサイトにアップしていった。

アップした途端、30秒もかからずに売れてしまうものもあり、次の日には今日の食事代くらいになっていた。





−この贅沢な時間たまらないわ♡

叶実は、仕事の帰りに目黒のスターバックスで『バタースコッチ ラテ』を飲みながらゆっくりパソコンで作業をしていた。一人暮らしを始めて、通勤にかけていた時間が大幅にカットされたことで、仕事後は1人の時間を楽しむことができる余裕ができたのだ。

そんな叶実が『婚活』以外に気になっていることが実はあった。

最近、会社の先輩たちと話すと必ず話題にのぼる『副業』についてだった。叶実の会社は副業オッケーなので、みんなオープンに今後のキャリアや副業についての話が出てくる。

ー今年で33歳。

マダムを信じて「3ヵ月で結婚する」と目標は立てているものの、世の中そう簡単にうまくいくとも限らないのもわかっている。だから、婚活に精をいれる傍らで「もしかしたら一生独身かもれない」という状況に備えて、“会社にしがみつかない生き方”についても考え始めているのだった。


「一生結婚できなかったらどうしよう…」。そんな不安が副業への想いを強めるが…

ー結婚したからって離婚するかもしれないし。一人で生きていける力をつけておいて損はないし…。

会社では、Webサイトの制作をしている叶実は、先輩に勧められた、クラウドソーシングサイトにWebサイト制作のエンジニアとして登録しようとネットサーフィンをしてみる。

作業に没頭してしまい、気づくと22時になろうとしている。さっきまで人が沢山いたのに、今はチラホラといる程度に減っている。どうせやるなら、ちゃんと責任をもって継続的に副業ができるようにしたい、そう思って調べ始めたらあっという間に時間がたっていた。

ふと、隣の席を見ると、『事業計画書』と書かれた資料が机に置かれている。

−私も、エンジニアとして副業を本格的に始めてみようかな…。

叶実はそう思うと、軽い気持ちでグーグルの新しいタブを開き、“事業計画書の書き方”とググる。すると見慣れない用語が目に入ってきた。

ー3C?SWOT?5Forces?…何これ…?

なんとなく知っている言葉もあるけど、よく分からない。気軽に副業とか考えていた自分の浅はかさに愕然とする。会社で言われたことはできるが、いざ自分でやっていこうと思うと自分一人じゃ何もできないことに気付かされる。

ーイチから勉強しなきゃだな…。

そう思っていくつかのサイトを見ていると、あるビジネススクールの事業計画策定コースに行き着いた。ビジネススクールに通ってエンジニアとして独立ってのも悪くないわね。単純な叶実は、自分の未来像を思い浮かべて思わず笑みが溢れる。

−平日1日と土曜日の授業か…大変だけど今なら出来そう。でも、婚活と両立できるかしら…。

今、ビジネススクールに通ったら、もしかしたら婚期を逃してしまうかもしれない。でも、今後のためを考えると、スクールに通いたい、と考えがまとまらず、なかなか決めきれずに2日間経ってしまった。

叶実は、「3ヵ月で結婚させてあげるわ」と言ったマダムの意見が聞きたくなり、マンションの一室に来ていた。

「マダム、この前はありがとうございました。大量のいらないものを処分したら本当に自分に必要なものは何か?って少しずつですが、考えられるようになりました」



マダムは、相変わらずゴージャスな雰囲気を醸し出しており、胸元の空いた光沢のあるドレスを身にまといながら、嬉しそうに眼を瞑り、頷く。

「そうね、物が沢山あることは一見幸せだけど、自分が管理できる以上の物を持ちすぎると、本当に必要なものが分からなくなってしまうことがあるわ」

さらに、マダムは続ける。

「それに、今日のあなた。この前とは違って、洋服に余計な皺もなく綺麗よ」

ーやだ、恥ずかしい。この前の服皺がついてたのね…。

「…ありがとうございます」

叶実は、もう一度お礼を言い今気になっていることを相談してみた。

「実は、今、挑戦してみたいことがあるんですけど、そんな暇があったら、婚活に励んだほうが良いのかって迷っていて」

叶実は俯きながら、ビジネススクールに通うか迷っているという話をする。

その間、マダム・カミーリアは、「あら!そんなことまで始めていたの!」、「んまぁ、素晴らしいわっ!」といつものように合いの手を入れてくれるので、気持ちよくなって、ついつい正直な気持ちまで話してしまう。

「ぜひ挑戦するといいわ。パブロ・ピカソがね『行動がすべての成功への基本的な鍵である』と言っているの。今のあなたが“それが必要”と感じることは全ておやりなさい。そういう生き方をしていれば、後悔のない人生を過ごせるわ」

マダム・カミーリアの言葉が心のモヤモヤを綺麗に吹き飛ばしてくれているのを感じる。

「そうそう、イイことを教えてあげるわ。行動すればすればするほど、多くの人に出会うことにも繋がるのよ。こ・う・ど・う・よ!」

そう言って意味深にウィンクをしてくるのだった。


【マダム・カミーリアの9ルールズ】
ルール1 余裕が必要。引越しをしなさい。
ルール2 スペースを空けよ。身の回りの整理整頓をすること。
ルール3 行動せよ。“必要”と感じることは全ておやりなさい。


▶Next:4月2日 木曜更新予定
「“必要”と感じることはやってみる、行動が成功の鍵」挑戦した先に待っていたのは…