男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「彼氏が気づかぬうちに愛想を尽かされていた理由とは」という質問。さて、その答えとは?



新一と出会ったのは、去年の夏のことだった。

友人の亜希から誘われ、彼女の学生時代からの仲間が集うキャンプに参加したのが出会いだった。

「新一さんって、お料理が上手なんだね」

みんなが楽しく飲んでいる中、せっせと料理を作ってくれている新一。そんな彼のことが気になり、私は声をかけてみた。

「実は学生時代、イタリアンでキッチンのバイトをしていて。そこで覚えたんだよね」
「そうなんだぁ。料理ができる男性って、素敵だなぁ」

少し日に焼けていて背の高い彼は、“爽やかなスポーツマン”という代名詞がぴったり。しかも実際に話してみると、気さくでとてもいい人だった。

彼が作ってくれたお料理は美味しくて、私はその1日の間に、“美味しい”を何度連呼したことだろうか。

そしてその後、彼と交際することになり、半年ほどお付き合いをしたのだが、彼の性格でどうしても気になる点があったのだ。


女が“合わないな”と思った彼の言動とは?

A1:小さなことまで細かい。


キャンプから数週間後、新一は青山にある素敵なフレンチレストランのデートに誘ってくれた。

「すっごく素敵なお店・・・!!新一さんって、いつもこんな素敵なお店でご飯を食べているの?」

新一が予約してくれていたお店は内装も雰囲気も素晴らしく、テンションが一気に上がる。

「いやいや、さすがに毎日とかじゃないよ。特別な日というか、今日みたいな大事なデートの時のみかな」
「そうなんだ。嬉しいなぁ」
「里穂ちゃん特別だから」

—この人、素敵な人だなぁ。

心からそう思った。さりげなく褒めてくれて、エスコートも完璧。

まさに私の理想の男性だと思っていたのだ。…この時までは。



「そう言えば、亜希とは会ってる?」
「亜希は、先週末に電話で話したよ。相変わらず元気だけど、新一さんによろしくって言っていたよ」
「おぉ、そうか。今日のこと、後でLINEしとくか」

そんな何気ない会話をしているうちに、あっという間にデザートタイムになってしまった。

一緒にいるのが楽しかったため、“もう少し一緒にいたいなぁ”と思っていた矢先、急に新一が真面目な顔をしてこちらを見てきた。

「あのさ、突然なんだけど。里穂ちゃんって今彼氏いないの?」

—あれ?まさかのこのパターンがキタ!

大人になってデートを繰り返してくると、男性が急に真剣な眼差しでこの質問をしてくる意図は必然的に分かる。

「今、いないよ。新一さんは?」
「僕も今フリー」

そして想像通り、新一はきちんとこう言ってくれたのだ。

「もし里穂ちゃんが良ければ、僕と付き合ってほしいなと思って」
「え?私でいいの?も、もちろんです・・・」

—こんな素敵な人と付き合えて、幸せだな。

感謝しつつ、私たちはお店を後にして青山通りを歩く。今夜の月は、いつもより少しだけ明るく見えるのは気のせいだろうか。

「あ〜美味しかった!思い出のお店になったね。新一くん、ありがとう」
「そうだね。でもさ、せっかくの雰囲気なのにちょっとパンとスープが冷めていたのが残念だなぁ」
「そっか。嬉しすぎて、全然気づかなかった」
「これから、美味しいお店たくさん一緒に行こうね」


これが、私たちが交際を開始した日の出来事だ。

でもこの日に、私は気がついておくべきだった。彼の性格に・・・


男が知らぬまに放っていた、NGワードとは!?

A2:せっかく作った料理に勝手にアレンジを加えられるのは、すごく嫌だ。


彼の性格が目につくようになったのは、交際して間もなくだった。小さなことはなるべく流すようにしていたのだが、どうしてもスルーできない事件が起きてしまったのだ。

それは、我が家に新一がやってきた日のことだ。

その日は新一の誕生日が近かったこともあり、朝から何を作ろうかずっと悩んで考え抜いた結果、とにかく彼の大好物を作ることにした。

ワクワクしながら新一が家に来るのを待つ。きっと、彼は嬉しがってくれるに違いない。準備は、バッチリだ。

「早く来ないかなぁ」

胸の高鳴りを抑えながら待っていると、仕事を終えた新一がうちにやってきた。

「あれ?何かいい匂いがする・・・」
「おかえり〜。今日は新一の大好物を作ってみたんだ!お誕生日も近いし、頑張ってみたよ」
「うっそ、すごい嬉しい」

ダイニングテーブルの上に並べられた料理を見て、新一は目を輝かせている。

「これ、全部里穂が作ってくれたの?」
「そうだよー」
「本当にどれも美味しそうだね。ありがとう!」

そんな彼の様子を見て、私まで嬉しくなる。だが、事件はこの食事中に起こってしまった。



「里穂、ありがとう。やっぱりムニエルって最高だなぁ」

新一の大好物。それは、鮭のムニエルとポテトサラダだった。

「なんでムニエルが好きなの?男の人で珍しくない?鮭のムニエルが一番の大好物って(笑)」
「なんでだろう・・・理由はないけど、とにかく昔から好きなんだよね」

そんな会話をしている時はまだ良かった。

「ねぇ新一。これさ、ちょっと味薄くない?塩鮭買ったから大丈夫だと思うんだけど」

新一がさっきから美味しいとも何も言わずに黙々と食べ続けているので、心配になって聞いてみると、やはり味が少し薄かったようだ。

「うん、そうだね。塩取ってもらってもいい?」

薄味に対しての意見は仕方ない。それは私も勉強しよう。けれども気に障ったのは、この行動だった。

ーえ・・・そんなに塩かけるの!?

一生懸命、朝からメニューを考え、張り切って作った鮭のムニエル。それに何の躊躇もなく、トゥーマッチなほど塩をかけていく新一。

お皿の上で、私が頑張って作った鮭のムニエルが泣いている。

でも、本当に泣きたいのは私自身だった。

人が一生懸命思いを込めて作った料理なのに、目の前で平然と味付けを変えられる虚しさと、時間を返せと言いたくなる思いをこの人は分かっていない。

断っておくが、私の作った料理だってマズイ訳ではない。むしろ友達が来た時は皆から好評なくらいだ。

「新一ってさ、本当に舌が肥えているよね。すごい」
「いやいや、ただ美味しいものが好きなだけだよ。せっかく食べるなら、美味しいものを食べたくない?」

—何その言い方。私の料理がマズイって言いたいの??本当に失礼なんだけど!!

そう叫びたくなる気持ちをグッと抑えた私は、自分でも偉いと思う。

そう。新一はとにかく食にうるさく、そして無神経なのだ。

それは彼の舌が肥えているからなのか、本人が料理上手だからなのか、性格なのかは分からない。

ただ家での食事だけでなく、外食をしても一つは必ず難癖をつけようとする。

初デートの時の“パンとスープが冷たかった”という指摘もだし、まるでうるさい小姑といるような気分になる時がある。

そして自分が作った料理に対して、平気でアレンジを加えられ、“美味しい”と言ってもらえない悲しさ。

そんな彼に、私は段々嫌気がさしてきてしまったのだ。


—今は料理だけだけど、彼と結婚したら、掃除とか、引き出しの中身の整理整頓レベルまで言われそうだな。

半ば諦めつつ、私はそう悟ったのだ。


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男性に、どう注意するのが正解なの?