街を歩けば思わず振り返ってしまう。だけど目が合えば、逸らしてしまいたくなる。

誰もが羨望の眼差しを向ける、美しい人。…しかし、美女には美女にしかない悩みがあるのだ。

「オトせない男はいない」と言われ続け、早29年の奈津子もそのひとり。

―誰も本当の私なんて知ろうともしない。

これは、そんな美女と美女に恋した二人の男の物語。

「美女の憂鬱」一挙に全話おさらい!


第1話:「どうせ、私の顔にしか興味ないんでしょ?」絶世の美女が抱える、ひそかな悩み

「そう。私のどこを好きになって告白してくれたの?」
「そ、そうだな…。三条さんは営業成績もトップクラスだし、あとは…なんといっても美人さんだから、かな。三条さんの顔、すごくタイプなんだ」

少しでも、一瞬でも、期待した自分が馬鹿だった。

―結局、顔だ。みんな私の顔が好き。

「…私は早川くんの顔、タイプじゃないから付き合えない」

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第2話:「美人だから仕事もうまくいくんですよね?」営業成績トップになった美女が、受けた洗礼

スパルタな結城のトレーニングには、ついていくのも精一杯。しかしそんな時間は、奈津子の心も体もリセットさせてくれる。

そればかりでなく、結城のおかげで最近の奈津子は、美しさにいっそう磨きがかかっているのだ。

なめらかな曲線を描くくびれに、キュッと上がったヒップ。引き締まり、一切のムダがないスタイルには、男女問わず羨望の眼差しが向けられる。

仕事を忘れ、休みを満喫していた奈津子だったが…週明けの月曜からさっそく“美人がゆえの”災難に遭遇してしまうのだった。

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第3話:「絶対、私のことは好きにならないで」美女がひそかに願うワケとは

今日の映画会に来るまで“山本克弘”という名前にピンときていなかったが、あらためて克弘の顔を見て、ようやく思い出した。小さな目とは対照的に、大きくて不格好な鼻梁。浅黒い肌には、まだ3月だというのに汗がにじんでいる。

「ま、まぁ。よくあるんですよね、ドタキャンも映画会の文化のひとつなので…」

相変わらず個性的な顔だな…と思いながら、ぼんやり克弘の顔を眺めていると、所在なさげにおしぼりを丸めていた克洋が、照れたようにつぶやいた。

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第4話:「あなたの前だと、おかしくなる…」男を惑わす絶世の美女が、心をかき乱されたワケ

人は、美しい外見には、美しい内面を求めるものだ。その期待をたやすく裏切る必要なんてない。

他人の無遠慮な要求にきちんと答えることは、子供の頃から「美人」と言われて育った奈津子には当たり前のように身に着いた習性ともいえる。

「大変と言えば大変ですけど、今は仕事が趣味みたいになっちゃってます。でも毎日いろんな方にお会いして、上を目指していくというのは、なんとも言えない楽しさがあります。それにー」

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第5話:「彼だけが、分かってくれる」男友達との関係に迷う美女が、救いを求めた相手

「ねぇ、晃輔?聞いてる?…大切な友人の大事な恋愛話、もっと興味持ってよ〜」

わざと怒ったように頬を膨らませ、冗談っぽく問いかける。

するとようやく網から視線をあげた晃輔は、奈津子の目をジッと見た。その目は、10年間の付き合いの中で一度たりとも見たことのない、鋭く冷たい目つきだった。

「“友人”とか嫌だわ」

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第6話:「あなたの声を聞くと、いつもの私でいられなくなる…」美女の心を揺さぶる、男の存在

「あぁ、すみません。でも、教えると言ってもLINEで送られてきているリンクをクリックするだけなんですけど…」
「え?そうなんですか?ありがとうございます。じゃあまた映画会で」

ホッ、という声が聞こえてきそうな勢いで克弘が言うと、電話は切られた。

―また映画会で、って…。山本さん、ちゃんとグループに入ってこれるのかな?

克弘のコロコロと変わる声色は表情まで想像できて、“カッコつける”からは程遠かったが、奈津子はそこに少しの心地よさを感じていた。

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第7話:「私のこと、好きだと思ってたのに…」“高飛車美女”の恥ずかしすぎる勘違い

回数を重ねても、真人は奈津子との関係を縮めようとも遠ざけようともしない。真人と出会った日からずっと、一定の関係が続いている。

奈津子は恋愛的な好意を抱いているのに、肝心な真人の感情はまったくと言っていいほど読み取れないのだ。

「な、奈津子さん、こんにちは」
「…えっ?」

表参道のレストラン前で真人を待っていると、とある人物から不意に声をかけられた。

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第8話:「私、彼氏がいるのに…」全く相手にしていなかったはずの男に、気持ちが揺らいだワケ

【奈津子さん、昨日は偶然でも会えて嬉しかったです。今度、映画会とは別でご飯にでも行きませんか?】

ーえっ?どういうこと?

奈津子は克弘から送られてきたメッセージを目で追う。真人と待ち合わせをしている場所で、偶然にも克弘と出会ったのは事実だったが、隣には克弘のことを「かっちゃん」と呼ぶ女性がいたはずだ。

それなのに奈津子を食事に誘うとは、克弘は一体なにを考えているのだろう…。奈津子の中に、克弘を疑う気持ちがムクムクと頭をもたげてくる。

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第9話:「私のどこが好きなの…?」美女の質問に恋人が返した、残念すぎる答え

仕事終わりに会おうと思えば会えないこともないが、真人より仕事の優先順位の方が上になってしまうのだ。

「いやいや、仕事がんばってる奈津子ちゃんも素敵だと思うし」

そう言いながら真人は、右手でハンドルを握り、左手で奈津子の髪をさらりと撫でる。手慣れた真人の仕草に、奈津子は頬を赤く染めた。奈津子自身、真人に対してちゃんとドキドキしていることに少しの安心感を得ている。

しかし次の真人の言葉で、自分の気持ちが急激に冷えていくのを自覚してしまったのだ。

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第10話:「キミが美しくなかったら、声を掛けてなかったかも…」女がガッカリした彼氏の言葉

克弘がバーにいたことは予想外だったが、克弘の姿を見た瞬間どこかホッとした気持ちになる。しかしすぐに、先日の克弘からの告白が頭をよぎった。告白されてから会うのはこれが初めてだ。

バーテンダーに、克弘から2席空いた場所を案内され、奈津子は腰を下ろしながらちらりと克弘を見る。

克弘とは、最初に「偶然ですね」と軽く言葉を交わしたものの、「一緒に飲みましょう」とも「隣にどうぞ」とすすめてくる様子もない。

ここでまったく会話をしないのも不自然かと思い、奈津子が何か話しかけようとした瞬間、克弘が先に口を開いた。

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第11話:「チヤホヤしてくる男なんてイヤなのに…」彼氏から離れる決意をした、美女の本音

「別れてほしいです」

真人とレストランでの食事中。奈津子は勢いに任せて言ったものの、本当に後悔はないのかと少しだけ心が揺れる。しかし一瞬の迷いのあと、はっきりとした口調で言い切った。真人の目は、明らかに泳いでいる。

「…どうして?こんなこと言っちゃうとアレだけどさ、俺たちカンペキじゃん。容姿のことは、まあ気にさわったなら謝るよ、ごめん。

でも、容姿のことを除いたとしても、俺ら2人なら世間的に恥ずかしくない、むしろ羨ましがられる勝ち組のカップルになれるよ?」

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