思いもよらず、家にいることが多くなった2020年。

東カレではそんな「おうち時間」を充実させる男女に注目し、外食が減っても食のレベルを決して落とさない男や、在宅でも自分を高めることに妥協しない女を紹介してきた。

今回は、夫婦の物語。飲食店の営業時間短縮が緩和され、外食に行く機会も増えてきているけれど、今年の妻の誕生日は自宅で。

毎年必ずレストランでお祝いをしてきた男が、愛する妻を喜ばせるために実行したサプライズとは?



「今年は自宅だから」と妥協はしたくない。たとえ家でも妻を高揚させてみせる

付き合い始めたのは10年前、結婚7年目。つまり、妻の誕生日を祝うのは今年で10回目になる。

三ツ星レストラン、温泉、鮨etc.毎年、色んな場所へ連れて行き、プロポーズも誕生日だった。

特別な笑顔を見られる日だから、僕にとっても一年で一番大切な日と言える。だけど今年は……。当日、彼女はいつも通り家で仕事。

普段着なのは何も期待していないことの表れ。18時に声をかけた。

「そろそろ夕食にしよう」

食卓に妻を連れ出す。そして、席につかせるとデリバリーが来た。



「お誕生日おめでとう」

気恥ずかしくて外では持てない大きなブーケを渡す。

彼女は両手で顔を覆い、次の瞬間、「びっくりした! ありがとう!」と、あの笑みをみせてくれた。最大の驚きは次に続くと知らずに。



花をデリバリーしたのは、人気フローリストの越智康貴さんがプロデュースする店『DILIGENCE PARLOUR(ディリジェンスパーラー)』。

SNSで見つけた表参道の花屋は、1輪からでも購入できるようでラッピングもお洒落だ。

今回は妻の好みを伝えて誕生日用に、とまとめてもらった。


『NARISAWA』のディナーをデリバリー。今、東京で最も艶やかな食卓はここだろう


何が始まるのか不思議がる妻のグラスにシャンパンを注ぐ。

乾杯し、ほどなくして玄関のチャイムが鳴った。出ようとする妻をとめて荷物を受け取りに向かう。

そして、それを卓上に広げると、妻が箱のロゴを見て驚いて言う。

「『NARISAWA』のデリバリー!?」



ふたりで結婚記念日に訪れているレストランのデリバリー、それもメニューのなかで一番いいものを奮発してお願いしておいたのだ。

箱を開けると、日本全国から厳選された旬の食材が目に飛び込む。メインは季節ごとにカスタムメイドされる8種の料理。

メインを囲むのは、キャビアや神戸牛の特製ビーフシチュー、18時間かけて出汁をとったスープの特製ラグジュアリーエッセンス&アワビ。

贅を極めた料理が食卓を彩る。



「日本中の旬を一気に楽しめるなんてお店が家に来てくれたおかげだね」

ひと口ごとに幸福な笑みを浮かべ、妻が言う。先月予定していた国内旅行も延期で、そんな背景があったからなおさらだ。


一歩も外に出ないデートの締めくくりに男が選んだものは?


「今日は本当にありがとう」

毎年、結婚記念日にいただいているケーキを食べ終えて、妻は言った。これで終わりと思ったようだが、実はまだ続きがある。

リビングに誘って部屋の明かりを消す。ふたりきりのレイトショーの始まりだ。

最新のプロジェクターが映し出すのは、初デートで観たピアニストの映画。大画面かつ最高の映像が臨場感を伝える。



食後酒の酔いも手伝って、10年ぶりに観たその映画はさらに名作に感じられ、当時と同じく、ふたりで泣いてしまった。

観終わって再び感想を言い合っていると、この瞬間に見惚れていたことを思い出す。10年後、いまの彼女を何倍も魅力的に感じているのだから僕は幸せ者だ。

「いままでで一番嬉しい誕生日かも」片付けをする僕にそんな声がかけられた。

「これからもよろしくお願いします」と返す。

家での時間も、レストランも、旅行も、すべてが彼女と一緒であれば満たされる。


■衣装
【男性】シャツ¥23,000、メガネ¥30,000〈共にソフ TEL:03-5775-2290〉、パンツ¥23,000〈スリードッツ/スリードッツ青山店 TEL:03-6805-1704〉
【女性】ニット¥14,000〈エリオポール/エリオポール代官山 TEL:03-3770-6438〉、ジーンズ¥19,000〈ミューニック/ピーチ TEL:03-5411-2288〉、ネックレス¥66,000〈アガット TEL:0800-300-3314〉