異性と出会い、デートをして付き合う。

そんな当たり前だった恋愛のルールが、新型コロナウイルスの出現で様変わりした。

いままでは「レストランや映画デートなどを3〜4回繰り返して付き合う」というのがスタンダードだった人も多いはず。

ではそれがこの時代に、一体どう変化しているのだろうか?

東カレ編集部が、インタビューを通して、その真髄に切り込む。

コロナウイルス出現後、“新しいデート様式”はどうなったのかー?


“新しいデート様式”で失敗した男


爽やかな笑みから見える、綺麗にそろった白い歯が印象的なのは、投資会社を経営している滝川さん(仮名・38歳)。

この日はオンライン取材だったが、モニター越しに見えるさっぱりとした髪型とスーツ(このあと久しぶりのクライアント訪問のためスーツ着用)という格好がサマになっていた。

きちんと整理されたオフィスから見える大量の観葉植物は、ここ何年かで集めたものらしい。プライベートでは南麻布にある低層マンションに住んでおり、現在4年目。

滝川さんは、都内でも有数の進学校である某男子校を卒業後、東京大学からMITへ留学。卒業後は外資証券会社に就職し、そして5年前に起業。

華麗なる経歴だけではなく、人を惹きつけるオーラがある滝川さん。かつ経営者で見た目も中身もよしとなれば、かなりモテるのだろうと思わせる人物である。

そんな滝川さんには、最近交際1か月になるという彼女・奈々さん(仮名・29歳)がいる。彼女との出会いは1年前に、知人が開催してくれた飲み会。それ以来連絡をとっていなかったが、春の緊急事態宣言の最中、久しぶりに連絡をとるようになり、宣言明けに交際に発展したという。

「実はずっと彼女がいなかった」と話す。起業してしばらくは仕事に忙殺されており、彼女を作る時間なんて皆無だったが、そんな生活を、コロナが変えた。

「コロナで対面のアポとミーティングが減って、時間ができたんですよね。いままではオフィスに23時くらいまでいて、そのあとは家の近くのダイニングバーで軽く1杯…という毎日だったのですが、そうもいかなくなって。時間を持て余してしまい、こんな状況も続きそうだし、久しぶりに彼女が欲しいな、と思ったんです」

こんなに優秀で忙しい男性の心理をもがらりと変えてしまった感染症というのは、やはり怖い。

気になる彼女は、それなりに有名なモデルで、見た目は「いままで付き合った子の中で、正直1番可愛くて、中身も優しく理想のタイプ」と話す。

交際1ヶ月なら、さぞかしラブラブなのでは?と聞くと、滝川さんは苦悩した表情でこう言った。

「…いや、それが理想の相手と思ってるんですけど、いまいち盛り上がりに欠けてるんです」


理想の相手と思って付き合ったけど…。男のテンションが上がらないのは、○○と比例する!?

自粛中、彼女のInstagramへDMしたのが交際のキッカケ


2人が出会った初めての飲み会で、滝川さんは奈々さんの美しさに「思わず見惚れてしまった」らしいが、奈々さんには彼がいた。なのでお互いにInstagramやLINEなどは交換したが、その後は特に連絡しなかったと言う。

そんな2人を再び繋げたのは、Instagramだった。奈々さんのストーリー投稿に、滝川さんが反応したことがキッカケ。

「4月の緊急事態宣言のときって本当に誰とも会わなかったから、人とのコミュニケーションに飢えていましたね。そんな時見かけたのが、毎日彼女がアップしていたインスタのストーリーだったんです」

当時は投稿するネタがなかったから、皆料理かペットの写真をせっせとアップしていた記憶がある。そんな中、なぜ奈々さんの投稿を?

「彼女の自炊写真は、いい意味で気が抜けていたんです。こんな言い方失礼かもしれないんですが、僕は何人か、いわゆる“自称モデル”の子もフォローしてます。でもやはりモデル業である程度成功している奈々の投稿は、彼女たちとは違っていたんです」

彼女の投稿の何が、他の女性たちと違ったのだろう?

「見た目だけにこだわっていないところですね。食器はシンプルで、料理も魚の煮つけとか。本当にこの子は体に気を付けて自炊をしてるんだなぁと思いました。まぁあの状況だから、皆本当にしていたと思いますが(笑)」

そんな飾らない奈々さんに好感を持ち、インスタのDMからやりとりが始まり、LINEに移行。気付けば日々の細々したことを連絡し合う仲に。嬉しいことに、奈々さんは当時付き合っていた彼とも別れていたため、フリーだった。

「あのときは楽しかったですね。人と話すことってこんなに楽しいんだと。彼女のことは“理想の女性だ”と思っていたので尚更のこと。メッセージのやりとりだけじゃなくて、LINEのビデオ通話なんかもしていました。お互い早く会いたい、と思ってたはずです」



そして念願叶って、緊急事態宣言が明けてから初めての週末。2人は会うことに。

「宣言が明けてもまだリスクはあるので、初めてのデートはドライブにしました。この時期、ドライブだと女性を誘いやすいな、と思いました。彼女も撮影がなくなり時間を持て余していたようで、人目にもつかないドライブならOKと快諾してくれました」

毎日のように連絡を取り合っていた2人だったので、初デートも楽しく会話して終了した。


初デートで「家に呼びたい」と正直思ったけど、我慢した


「正直、1回目のデートで家に呼びたかったのですが(笑)、もういい年だし、家に呼ぶタイミングはかなり考えましたね。彼女はモデルだけど派手な感じじゃなくて真面目だったというのも大きいです。そのあともドライブデートやカフェデートを繰り返しました。全て車だったので、もちろんアルコール抜きです」

そして5回目のデートで、滝川さんは彼女を家に招待することにした。だがそこで、あることに気づいたという。

「『家でご飯作る?』という流れになって、家の近くにある“ナショナル麻布”に行きました。その日はいいお肉を焼いて、あとはサラダでも作ろうと材料を買うためレジに行って、お会計の時にふと気づいたのが、これまでかかったデート代です」

滝川さんはいわゆる“バブル世代”ではないが、その経済力と、そして女性への敬意から、これまでのデートはかなりの額を使っていたようだ。

「コロナ前にデートした子って、大体1回につき2人で6〜7万使ってたんですよ。もちろん会計は全部僕もち。だから3回にかかるデート費用は20万近くします。でも彼女にかかったデート代って、2〜3万くらい?桁が一桁違うことに驚きました」


かなり安くなった、デート代。だがある事件が起きて…!?

初めてのお泊りで、“同棲3年目のカップル”のような落ち着きに


その時「これでいいのか?」という考えが頭をよぎったそうだが、「家に行く」ということに関しては奈々さんの方が積極的だったっという。

「やっぱりこの時期の一人暮らしって、かなり堪えるじゃないですか。彼女もそうだったみたいで、僕の家に来る?と聞いたらとても嬉しそうにしていました。スーパーで食材を買って2人で料理して、シャワーを浴びた時にはもう“同棲3年目のカップル”の気分。でもその夜にきちんと“付き合おう”と言いましたが」

最初からすっかり落ち着いてしまった2人。付き合ったあとも週に1度くらいの頻度で会っているそうだが、いまいち盛り上がりに欠けると言う。

「家で食事してシャワー浴びて…と通常運転モードに入っちゃうと、そこから盛り上がるのって難しくて。彼女がコロナにかなり気をつけているし、あとは職業柄、家がいいみたいなんですよね。僕の家は女性を連れ込むための工夫なんて特にしていないので、”ムード”は皆無です。間接照明とかインテリアとか、もっと凝った方がいいのかなぁ?でもそういう問題なんですかね……」

この現象に、彼はこう感じたと言う。

「僕はいままで、お金で“ムード”を買っていたのかな?なんて考えちゃって、複雑な気分なんです」



いままで経験したことのない事態に遭遇し、冷静な判断力を欠く人は多い。滝川さんもこれまで何の苦もなかった、デートでの “ムード作り”に苦戦したのだ。

これまではその“ムード作り”に莫大な金額を費やしていたが、これからは良くも悪くも全て自分次第だということだろうか。

見た目も美しく性格もよい奈々さんは、完璧に見える滝川さんにとって「もったいない」というほどの女性。だがコロナというウイルスが、そんな完璧に見えるカップルたちの“情熱”さえも浸食しているように思えてならなかった。

そんな感想を口にすると、滝川さんは取材の最後に、冷静にこう言った。

「いや、でもうまくいくときはコロナだろうが何だろうが、うまくいきますよ。今回は縁がないのかもしれない。理想の女性だと自分で思い込んでいた節もあるし。彼女もきっとそう感じているでしょう。今度、腹を割って話してみます」

そう言った彼の表情は、冒頭よりすっきりしているように見えた。


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